42・不快な騎士
PV13000超えおおきに
「…あれ?」
目を覚ましたグレンは、何時の間にか寝ていた事に気付いた。
「やれやれ…僕もうたた寝しちゃうなんてな…」
そう呟きながら、グレンは寝返りを打った…其処には、眠っているマイルスが居た。
「…ニャアアアア!!!???」
「えっ、な、何!? モンスターの襲撃!?」
グレンが変な悲鳴を上げた為に、マイルスが目を覚ました。
「あ、おはよう、グレン」
「ななな、何でマイルス様が寝ているんですか!?」
戸惑いながらも、マイルスに尋ねるグレン。
「えっと、君の寝顔みてたらさぁ…何かボクも眠たくなっちゃったんだ。自室に戻るのも面倒くさいから、君の隣で寝ちゃたんだ…それよりもさ、グレン」
マイルスが真剣な表情で尋ねてきた。
「な、何ですか?」
「…ボクの正体を知る前みたいに、話してほしい」
マイルスに言われて、グレンは戸惑ってしまう。
「…それは無理です。貴方はこの国の王女。僕は何処の誰かも知らない一般人。立場だ違います」
「それは分かっているよ。でもグレンには…普通に話してほしいんだ。これは王女としてはなく、マイルスというボク自身の願いなんだけど…駄目…かな?」
「……」
マイルスに言われて、グレンは考える。本心ではグレンも普通に話したかった。この世界に来て初めて会ったのがマイルスだったからか、それとも身分違いの恋心を抱いているのか分からないが、グレンはそうしたかった。そして…。
「分かったよマイルス。けど、二人っきりとかの時だけだからね」
「やった! ありがとうグレン♪」
マイルスは喜びのあまり、グレンに抱き付いた。抱き付かれた衝撃でベッドに倒れ込むグレン。胸に柔らかい弾力のある感触を感じてしまう。
『ちょっと当たってる当たってる!? こんな所見られたら、僕は吊るし首にされてしまう!?』
感触に魅了されない様に、何とかマイルスを引きはがして、落ち着かせるグレン。
「ごめんごめんグレン」
笑顔で謝るマイルス。その表情は出会った時と似た感覚を感じるグレンだった。
「良かったら、今夜は城で夕食を食べていきなよ。シェフに頼んで腕によりをかけて作ってもらうからさ」
「分かった。ありがとう」
そう言うとグレンは、ベッドから立ち上がる。
「どっか行くの?」
「少し散歩。折角の御馳走だから、お腹でも減らしておこうと思ってさ」
「成程…あ、そうだグレン」
マイルスは一枚の紙を渡してきた。それは人間だった頃のグレンや琉季や遥人と共に映った写真だった。
「!」
「ベッドに落ちてたよ。グレンのだよね」
「う、うん。ありがとう…『…写真が何なのか、聞かないのかな…?』」
この世界のカメラの事を知らないグレンは、そう思うのであった。
「じゃあまた夕食の時。うろうろしてたら、誰かに声を掛けてもらえると思うから」
「うん。それじゃあね」
そう言うとグレンは、部屋を出て行った。
「……」
グレンが出て行くと、マイルスはグレンが寝ていたベッドに、俯せに倒れ込んだ。
「…グレン…」
グレンの名の後、何かを呟いたが、それは誰にも聞き取れない声であった。
※ ※
「リア!? 何でマイルスが来た時に、起こしてくれなかったの!?」
廊下を歩いているグレンが、リアに尋ねる。
『マスターが熟睡していましたから。マスターは前日不眠不休で居られましたから、休むのが優先だと判断して、起こさないことにしました』
「うぐ、それはそうだけど…」
図星のうえにリアなりの気遣いであった為、グレンは何も反論出来なかった。
「!?」
すると目の前から、立派な鎧を着た騎士が歩いてきた。しかしその表情は嫌な物を見る様な目つきだった。
グレンは構わず騎士の方に足を進めると、やがてグレンと騎士は一歩間を空けた状態で立ち止まった。そして…
「ふん…獣風情が…」
吐き捨てる様な口調で、騎士がグレンに言った。
「…何ですか?」
内心ムカッと来たが、なるべく平然とした口調で返答した。
「陛下や姫様に気に入られているみたいだが、図に乗らない事だな。所詮貴様らの様な獣人は獣同然なんだからな…」
「でも此処の騎士団の団長さんは、獣人の方ばかりでしたけど?」
グレンは、ロイナスやラインが団長である事を述べた。
「この国は実力主義が認められているからな…あんな下賤な奴らと同格とは腹立だしい…申し遅れたが、私の名はルカナス=ロイベルト。エルディア騎士団第4軍軍団長だ」
「…僕はグレン」
「貴様の名などどうでもいい」
「……」
自身の仲間であるロイナス達を『下賤な奴』と称したり、どうでも良いと言われたりと、グレンはこのルカナスという騎士が嫌な感じだと思った。
『誰かを連想させるな…ああそうだ…神山だ』
グレンは人間だった頃、散々自分に説教紛いの事を言っていた少年を思い起こさせた。
「これだけは言っておく。貴様の様な獣が城内をうろつくな。さっさと去れ!」
それだけ言うと、ルカナスはさっさと立ち去ってしまった。
「……帰るか」
城の夕食をご馳走になろうと思っていたグレンだったが、そんな気を失せてしまった。
その後グレンは、城内に居た兵士に対して、マイルスに帰る様に伝えてほしいと告げて、城内から去って行った。
※ ※
その夜、不貞腐れた様子でマイルスは、寝間着姿で自室のベッドで仰向けになっていた、
「何でグレン、夕食食べていくって言ってたのに、帰っちゃったんだろう…」
グレンが帰った事を兵士から聞いた為、マイルスは不機嫌になっていた。
「…グレン…不思議な子だな…」
グレン。黒猫獣人でありながら戦闘力を持った少年。父であるジルガの『鑑定』をレジストした上に、唯一認識出来たのは、『グレン クロサキ』という部分だけであった。
「そういえば、『クロサキ』の事について聞くのを忘れてたな…あとあの写真の男の子の事も…次に会ったら聞いてみよう」
そう決心するマイルスであった。やがて部屋の明かりを消して眠りに就くのであった。
感想・誤字あったら頼みまっさ。ほな(追記・不快な騎士の2が短すぎたので、1と合併しましたわ)




