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4・黒猫
原文では、この章は長いんで、続きは次の話として分けますわ。短くて堪忍。
「…うん…」
草の匂いを鼻に感じて、紅蓮は目を開けた。視線の先には青空が広がっていた。
「転送…されたのか…」
紅蓮は上半身を起こし、辺りを見回してみた。四方には草原が広がっており、遠くの方には山が見えた。
「これじゃあ、地球なのか異世界なのか分からないなぁ…」
地球にも在りそうな景色なので、そう呟きながら何気に自分の体を見ると、異変があった時に着ていた、中学の制服姿だったが…黒い毛皮に包まれた手があった。
「…はっ?」
紅蓮は試しに手を握る動作をすると、手は握った。
「いや…まさか…」
紅蓮は立ち上がって、自分の背中越しに後ろを見た…細長い黒い尻尾が見えた。
「いやちょっと待てちょっと待て!? もしかして…」
紅蓮は急いで制服のポケットからスマホを取り出し、インカメラで自分の顔を映した…其処には青い瞳をした、黒猫が写っていた…。
「……」
無言でカメラに手を振ると、画面の黒猫も手を振った…。
「何で猫なんだぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」
草原に黒猫になった紅蓮の叫びが響いた。