35・黒猫無双 1
数分後、ギルド前には人だかりが出来ており、その中心にはグレンと、武器を構えた冒険者A・B・Cが居た。
冒険者Aの武器はロングソードで、Bの武器はバトルアックスであり、Cの武器は槍であった。
『全員接近戦タイプか…中距離、遠距離攻撃の敵と遭遇したらどうするんだ? 見たところ魔法は使えそうに思えないし…』
『恐らく、その様な敵と戦闘を行う場合は、臨時のパーティを組むか、戦闘離脱すると思われます』
グレンの疑問にリアが答える。
『それにしても決闘か…喧嘩なら小学生の時、よく琉季を守ってやったけど…遥人と一緒に十人の上級生とやり合ったっけな…まっ、今は思い出に浸るより…』
鞘から夜月を抜くグレン。
「この決闘に勝つ方が大事だね」
夜月を構えながら言うグレンであった。
「へっ…余裕ぶっこいて、少し痛い目に合わなきゃ分からねぇようだな、子猫ちゃん?」
と、冒険者Aは挑発する様に言うが、グレンはどこ吹く風といった感じに返した。
「御託は良いからさ…早くしてくれない? こっちはあんた達に付き合ってるだけなんだからさ」
「ッッ!!! ぶっ殺す!」
逆上したAが、ロングソードを構えながら走って来た。その動きを見てグレンは思った。
『…遅い』
グレンが思うと同時に、Aが切りかかってくるが、グレンはそれを軽々と避ける。
『何だ? ゴブリンより若干速い程度じゃないか…リア、こいつらのランクってどれ位?』
あまりの動きの遅さに、グレンはAの冒険者ランクが気になった。
『三人ともEランクです。因みに最低ランクはFです』
『何だ威張ってた割には、下から二番目…ブービーじゃないか…』
そんな風に思いながら、グレンは徐に夜月を鞘にしまった。
「はぁ?」
A達はその行動を不思議そうに見た。
「あんまりにも遅いからハンデあげる…僕は武器を使わないし、三分間攻撃もしない…」
「…んだと!?」
つまらなそうに言うグレンに、Aは激怒して再び切りかかってきた。
『今の言葉でキレるなよ…単細胞か…』
内心呆れながら、グレンはAの攻撃を避け続ける。実を言えば、グレンの着ている武道着なら、これくらいの攻撃は余裕で防げるが、今はまだ自身の作成した武道着のチートを見せたくなく、ただひたすら避け続けた。その内傍観していたBとCも攻撃に加わってきたが、グレンは全く動じることもなく、宣言通りに攻撃を行わずに、避け続けるのであった。
ぶっちゃけ言うと、グレンは人間だった時から、喧嘩がめっちゃ強いんやで!




