26・グレンの拘り衣装 1
『マスター、宜しかったのですか?』
グレンが街中を歩いている時、リアが話しかけてきた。
「何が?」
『あれだけの大金があれば、暫くはマスターは安泰出来た筈ですが?』
それを聞いて、グレンは呆れる様な声で語る。
「さっきも言ったじゃないか、僕はマイルスをお金目的で助けた訳じゃないんだ…あそこで受け取ったら、どっかで認めてしまう事になるじゃない」
『しかしマスターは、この世界の金銭を持っていないのでは?』
冷静ながらも、何処か不安気に語るリアに、グレンは苦笑しながら言う。
「確かに今僕は事実上の無一文だよ…けど、此処にあるじゃないか?」
そう言ってグレンは、首にあるアイテムボックスを触った。
『ゴブリンから手に入れた武器ですか?』
リアが作られたのは、ゴブリンとの交戦後の夜であったが、誕生時に瞬時にグレンの記憶を見ていたので、アイテムボックスにあるのが、ゴブリンから頂いた戦利品だと知っていたのだ。
「まあ、大した金額にはならないと思うけど、此処なら買い取ってくれるでしょう」
そう言って示したのは、武器屋であった。グレンは武器屋の中に入る。
「らっしゃい」
グレンに声を掛けたのは、店のカウンター奥に居る、店主らしき恰幅の良い中年男性だった。
「武器を売りたいんだけど」
グレンが言うと、店主はグレンの腰に差している、夜月に目を落とした。
「これじゃない」
グレンは否定すると、手をカウンターの上に置いた。すると次の瞬間、店主の目の前に数本の剣等が現れた。
「えっえっ!? いっ一体何処から!?」
突然使い古された剣が数本現れた事に、店主は動揺するが、詮索されるのが嫌な為、グレンは無視して話を進める。
「ゴブリンを倒して得た戦利品。幾らかで買い取ってほしい」
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