24・聴取と報酬と捻くれ行為 3
それからは、グレンへの聴取は滞りなく続いた。主に聞かれた内容は、旅の目的やマイルスとの出会いからエルディルに来るまでの間の事なのであり、出身地等答えられない事は、基本的に山で誤魔化した。最もロイナスは不信感を持っていた様だが…。
コンコン
聴取も終わり掛けた時、部屋の扉をノックする音が響いた。ロイナスは席を外して、ノックの主に対応する。その間グレンは、心の中でリアに尋ねる。
『リア…リアはマイルスが王女様だって知ってたでしょ?』
『はい、知っていました』
グレンの質問に、リアは平然とした口調で答える。
『どうして、教えてくれなかった?』
『…マスターが、マイルスから知るのを望んでいたからです』
『…そっか』
リアの言葉に、グレンは反論出来なかった。リアはリアなりに気付かってくれただけだからだ。
「…イ、オイどうした?」
「!?」
何時の間にか応対を終えたロイナスが、小さ目な革袋を持って立っていた。
「何ボーッとしてるんだ?」
訝しげな眼でロイナスが尋ねる。
「あ、いや…少し疲れてて…」
愛想笑いを浮かべながら返事をするグレン。強化された肉体故か、実際はグレンは全く疲れていなかったが、まさか『自分にだけ聞こえるナビゲーションと会話していた』とは言えず、適当に誤魔化したのであった。
「まあ疲れたなら、まだ早いが宿でも取れば良い…それからホラ」
ロイナスは手に持っていた袋を、グレンの前へと置いた。
「? これは?」
「陛下からマイルス様を護ってくれた事による褒美だ。金貨で十万リルスある」
「…『リア。十万リルスって、僕の世界のお金で、どれくらい?』」
『マスターの国の単位で表現すれば、一円=一リルスなので、十万円ですね』
リアに情報をもらい、グレンは内心驚いた。まさか一五歳の自分がこんな大金を得られるなんて思いもしなかったからだ
『これだけあれば、暫くは大丈夫だと思うんだけど…』
そう考えたグレンだったが…
「…要らないです」
口から出た言葉は、グレンの意思とは全くの逆であった。
「はぁ?」
ロイナスは呆気に取られた表情をするが、グレンは構わず続ける。
「だから要らないです。マイル…王女様はお金目的で助けたわけじゃないので」
「いやちょっと待て! いくらなんでも、一国の王女を助けた奴に報酬を渡さないのは、一国の王としても問題だろ!」
「本人が要らないって言っているんですから、別に良いでしょう」
そう言いながらグレンは、袋をロイナスの方に押すが、直ぐに押し返される。
「そういう問題じゃないだろ! 受け取らなきゃ陛下だって納得しないぞ! どう報告すれば良いんだ! 俺の立場も考えろ!」
「意地でも受け取らなかったとか、適当な言い訳でっち上げれば良いでしょう」
「…なんて捻くれたガキだ…良いから受け取れよ!」
「…分かりましたよ」
強引に渡してくるロイナスに、グレンは不満を感じながらも、渋々と受け取った。
「じゃあ聴取も終わったし、もう出ても良いですね」
「ああ、王女様の事はありがとうな」
ロイナスの言葉を背中に受けながら、グレンは部屋から出て行った。
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