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イレモノ  作者: お゛ぉ゛ん
2/2

鏡の中なんて

続きです。楽しい

暑い。


さっきから空間の気温がやけに高い。

ブランはというと、久しぶりの身体だわ!と言ってあの暗いおんぼろ屋敷を走り回っている様だ。


流石に意識が朦朧としてきたので ブランにそのことを伝えると、ごめんなさい!と咄嗟に走るのをやめてくれた。


そしてこの空間は、相手の心によって気温が変わることを教えてくれた。


『…本当に、何も覚えてないのね。』

暫くするとブランは悲しそうに言った


「うん。だけど別に悲しむことじゃないし、心配しなくて大丈夫。」


ブランはそれもそうねと笑ってみせたが、それも何処か悲しそうな笑みだった。


『それじゃあ、行きましょうか。』


「行くって、何処に?」


『探し物のある場所よ。』


「でも外は真っ暗だし、そもそもここは山奥じゃないか。」


そう言うと、ブランはきょとんとした。

『何を言っているの?確かにここは木や雑草は多いけれど、山奥じゃないわ。』


「そんなはずないよ、おじいちゃんの車に乗って険しい山道を来たはず…」


ブランが屋敷の裏側へと向かい、ほら。と見せてくれた景色には、大きな坂道の下に住宅街が星のように広がっている。


「嘘…でしょ…」

信じられない光景に、混乱して頭が痛くなってきた。


『誰だか知らないけれど、あなたはそのオジイチャン…?とやらに騙されたのよ、きっと。』


「つまり、見捨てられたって事?」


『さあ。あなたを護るためにした事かもしれないし、そうじゃないかもしれない。』


嫌われる様な事は何もしていないはずだった。けど護られるような事をした覚えもない。くよくよと悩んでいたら、ブランが言った。


『もう過ぎたことを悩んだって仕方ないわ、先を急ぎましょう。』


「急ぐことないんじゃない?もう夜の8時なんだし、睡眠をとって明日に備えた方が…」


『朝になるとあなたと入れ替わるの。つまり私がこの身体を使って活動できるのは夕方から夜の間だけ。』


「朝から昼の間は、どうすれば?」


『私がその空間から指示を出すから、従ってくれれば問題ないわ。』


「なるほど。なら急がなくちゃね。」


そう言うとブランは歩き初めた。


道中暇だったので、ブランのいた鏡の中について聞いてみた。


「鏡の中って、どんな感じ?やっぱり寒かったりするの?」


『どうしてそんなこと聞くの?』


「暇だもん。」


『そうね…寒くはないわ。むしろ気温とか無くて快適よ。でも…』


「…寂しい?」


『ええ…誰もいないの。寂しいに決まってるわ…独りぼっちだもの、鏡の中って。』


またブランを悲しませてしまったかもしれない。けれど彼女のことをひとつ知ることができたからか、安心感の方が強くあった。


そうこう話していると、他と比べて少し大きな家の前についた。


「ブラン、ここはきみの家かい?」


『違うわ、けれどここに用事があるの。』


そう言うと、ブランはインターホンを強めに押した。


少し、気温が下がったような気がした。

また暇な時に書きます

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