友紀は運命だと思った。千尋は…。いびつな出逢い、 ふたりの未来は…。ふたりの時間が、 ゆっくりと動き出す。
友紀は、
ドキドキしながら携帯を操作する。
千尋の、あの笑顔が 浮かぶ。
~今朝は楽しかったよ。
ありがとうね。 ちゃんと寝ましたか?
また、逢えるのを楽し みにしています。 ~
あれこれ考えたが、 シンプルなメールを
送った。返信が来た。
お互い、短い
単発のメールだった。
2日に1回ぐらいの
メールのやり取りが
始まった。
~次の休みはいつ?
どこか行こう。~
~どこ行こう? 楽しみ。~ 七夕に逢う約束をした。
待ち遠しかった。
前日のメールで 待ち合わせ時間、 場所を決めた。
友紀はなかなか寝つけなかった。
気がつくと、
外は明るく なりかけていた。 友紀の家から
千尋の街まで
車で1時間。
早く家を出た。 千尋の住む街に着く。
あの日、
千尋にナビしてもらった道を思い出しながら、 千尋を下ろした場所を 目指した。
目印の大きな工場が 見えた。
“逢える。”
ドキドキした。 でも、ここからが…。 千尋に電話をした。
「すごい!そんな所まで 来たの?
その道を…。」 電話で場所を 教えてもらった。
待ち合わせ場所が 見えた。
待ち合わせ場所に 車を止め、
千尋の来るのを待った。
千尋の姿が見えた。
友紀は大きく
手をふった。
千尋も気付く。 手をふりかえした。