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07.綺麗な別れ方
「綺麗な別れ方ってどんなだろう?」
彼女は唐突にそう言った。
「何? 別れたいの?」
僕は平静を装いながら訊く。
内心は、気が気じゃなかったけど。
「さようなら、あなたのことが好きでした。
とでも言われたい?」
それが彼女にとっての綺麗な別れ方なんだろうか。
好きなら別れなきゃいいのに。
そう思ってしまう僕は、絶対に綺麗になんて別れられないんだろう。
「勘弁してクダサイ」
おどけつつも、かなり本気だったりする。
僕の答えに楽しげに笑う彼女を見て、別れは当分来なさそうだと、安堵した。