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41.ちゃんと恋だもん
彼のことが大好きです。
告白どころか、ちゃんと話すこともできないけど。
見ていられるだけで幸せなんです。
「それってホントに恋なの?」
「恋だもん!」
友だちの言葉に、ギクッとした心には気づかないふり。
これはちゃんとした恋だもん。
だって、彼のことを考えるとすごくドキドキする。
毎日学校で見かけるだけでうれしくなる。
それだけで、しあわせだから。
――告白しちゃうのは、もったいない。
そんなふうに思ってたなんて、自分でも気づいてなかったのに。
どうしてあなたはわかったんだろう。
私の恋が、ちゃんとした恋じゃないことを。
どうしてあなたは泣きそうな顔をしてるんだろう。
悲しそうな、痛みをこらえているような顔で、私を見据える。
「俺のこと、ちゃんと見ろよ!」
ドキドキ、じゃなくて、ズキズキ。
罪悪感で、心臓が悲鳴を上げる。
どうしよう私。
すっごく失礼なこと、してた。