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37.年違いの雪だるまの対話
「いらっしゃい、今年の雪」
「まさかお会いできるとは……望外の喜びです、去年の雪」
「ははは、一年も冷凍庫で眠っていた甲斐があったというものだよ。
君も、私と同じように長い時を過ごすのだね」
「どうやらそのようです」
「幼子を、恨んではならないよ」
「ええ、心得ております」
「私たちは、元は流動する存在。
確かな形を得て、人の子の夢を背負うことのできる時は、幸いにも近しくあった」
「あなたのその御心を、私も継げればと思います。
せめてもの縁に、マフラーを貸してくださいますか?」
「ああ、お安いご用さ。
ではそろそろ、老いぼれは土に帰るとするよ」
「……お休みなさい」