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31.覗き込む空
「明日は青空が綺麗ね」
歌うように君は予言を紡ぐ。
《神の欠片》の言葉は絶対だ。
予想でも予測でもなく、必ず言葉通りの未来になる。
「あなたの瞳の色と同じ。気持ち良さそう」
君は優しく微笑む。
僕はなんと答えればいいかわからなかった。
《神の欠片》は青空の下になんて出られない。
陽の暖かさも、春の風も、感じることはできない。
――世界の均衡を崩さないため。
そんな詭弁で、彼女はこの北の果ての塔に封ぜられている。
ふざけるな、と思うのに。
何の力もない僕には、君を救うことなんてできなくて。
だから、せめて。
僕の瞳に慰められると言うのなら、僕はずっと、君の傍にいるから。