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26.ふわふわスフレ
「スッフレ~、スッフレ~、ふっわふっわスッフレ~♪」
音階を持った声が、楽しげに跳ねる。
バッグをぶんぶん振り回しているところを見ると、ケーキは僕が持って正解だったらしい。
「嬉しそうだね」
チーズスフレなんて、ケーキの中では安物なのに。
値段でおいしさが決まるわけではないけれど。
てっきり、あの店で一番人気のチョコレートケーキや、季節のタルトを選ぶと思っていた。
値段を気にされたのかな、と勘ぐってしまう、複雑な男心だったりする。
「良ちゃんと一緒に食べられるのが嬉しいの!」
僕の一番大好きな、まぶしい笑顔。
……それはちょっと、反則。