19/57
19.電話の向こう
電話の向こうから君の声が聞こえる。
心地良くて、ずっと聞いていたくなる声。
「じゃあ、また明日」
少し寂しそうに君は言う。
また明日、と返す僕の声も負けず劣らず沈んでる。
名残惜しいけれど、もう充分長電話をしてしまったし、切るしかない。
「優ちゃん」
一言、伝えたくて、僕は君の愛称を呼ぶ。
「好きだよ」
毎日言っても、足りない思い。
君のやさしい声が好き。君のかわいい笑顔が好き。君のきれいな心が好き。
誰より、君が好き。
「……私も」
小さな返事が、嬉しかった。