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16.いつか届いて
「好きだよ」
何度も、何度でも、僕は告げる。
馬鹿の一つ覚えのような僕の言葉は、君の心に届いているのかな?
「好きだよ。君が好きだ」
繰り返し、呼吸のように、僕は告げる。
情けないくらい震えた僕の声は、君の心に響いているのかな?
「……ありがとう」
君は笑う。寂しそうに。
まるで自分はいらない存在だとでも思っているかのように。
僕の深い想いも、痛いほどの熱情も、欠片も伝わってはいないというように。
僕の愛は、君のその凍った心を、解かせるのかな?
君の本当の笑顔を、いつか、見ることができるのかな?