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13.夢
ガバッと、俺は跳ね起きた。
起きたと認識できたのは、ここが自分の部屋だと気づいてからだったけど。
「夢、か……」
両手で顔を覆う。熱い。
ありえねぇ。なんであんな夢見るんだよ。俺にどうしろってんだよ。
心中でいくら悪態をついても、鳴り響くチャイムは俺に現実を突きつけてくる。
「亮~、もう起きないと遅刻するよ~!」
玄関の向こうからは元気な声。狭いワンルームでは嫌でも聞こえてしまう。
彼女の紅潮した頬や、やわらかな唇の感触がリアルに思い出されて。
俺は熱を追いやるように息を吐いた。
どんな顔をして出ればいいのか。
考えてる時間は、もうない。