11/57
11.愛憎
君のことが好きすぎて、好きだから苦しい。
僕の想いに気づきもしない君。
僕以外の男と話して、僕以外の男に笑いかける君。
純粋? 無垢?
ただ子どものように考えなしなだけだ。
愛情は積もり積もるほど、憎悪に姿を変えていく。
愛おしさと、憎しみ。『愛憎』という言葉を痛いほど思い知らされる。
綺麗なままではいられなかった自分が、悔しくて、哀れで。
この変質した想いを抱えながら、今日も僕は君に微笑みかけるんだろう。
君は何も知らずに、僕の笑顔にだまされるんだろう。