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続「小説家におすすめの神社」に行ってみたら、手が異常に熱くなった話~お礼参り編~

作者: ミズアサギ
掲載日:2026/11/01

 

「そうだ、神社に行こう」



 2026年春。体調不良によりやる気を消失していた私は、執筆どころか大好きな読書すらままならない日々を過ごしていた。

 活字中毒から活字を取った、ただの熟女となった私に突然回復の兆しが現れた。ゴールデンウィーク前の出来事。


 急に外に出たくなったのだ。


 では、どこに行こう。ガバッと縦になっては、またすぐ横になりながら検索した結果、これはという行き先に辿り着いた。

 それが、前回書いた「小説家におすすめの神社」である。


 久しぶりにウキウキしながら、暇を持て余していた大学生の長女とデート気分でその神社の鳥居をくぐる。その神社の作法に則って、授かり物を両手に挟んで二礼、二拍手、一礼と共にお願いをする。

 普段はご挨拶しかしない私だが、せっかく「願い事をするように」と言われたので、黒く醜い欲をドロドロと心の中で必死に呟いた。


 ——書いたものが賞とか獲れたらありがたい。あわよくば、出版、コミカライズからのアニメ化とかお願いします……


 溢れ出す煩悩に、自分でもドン引きした。頭の中で慌てて言い直す。


 ——嘘です、すみません。ものを書く人としての第一歩を踏み出せますように……


 そして、異変は起こった。


 手が熱い。異様に熱い。授かり物が使い捨てカイロのように熱くなっている。手を開く。手も赤い。ひえっ!

 声を上げる私に、母親が神に縋り付く姿を面白そうに見ていた長女が歩み寄る。私、しどろもどろで説明する。


「え、熱い。指先は冷たいのに、なんで?」


 授かりものを二人で触る。熱くも冷たくもない常温だ。「不思議だねー」とすんなり受け入れる長女。

 逆鱗に触れた? やだ何、怖い……。答えが知りたい私は、普段引かないおみくじを引いてみた。


『任せとけ』


 要約すると、おみくじには神からのそんなアンサーが書かれていた。


 面白いなと思った私は、この出来事をエッセイとして投稿した。

 それが、「「小説家におすすめの神社」に行ってみたら、手が異常に熱くなった話」である。

 もし願い事が叶ったら検証になるし面白いな、そう思った私は何となく、そのエッセイの締めにこう書いた。


『このエッセイの続きがあるとすれば、「お礼参り編」

 その日が来ることを楽しみに、次はどこの神社に行こうかなとウキウキ』




『任せとけ』


 そんなことなんてすっかり忘れていた私だったが、幸せなことに「お礼参り編」を書くことができた。


「神頼み最高! 他力本願最高!」


 忘れていたにも関わらずそんな不謹慎なことを考えながら、2026年秋の日、私は再びその神社を訪れた。


「お礼参り」は大切。

 神社では挨拶専門に徹するのであまり考えたことはなかったが、受験や何か祈願をした時のお礼参りはとても大切だと考えている。

「縁切り神社にお礼に行かなかったせいで不幸が起こった」なんて話はよく聞くし。それが怖くて、小心者の私は簡単に願い事が出来ないのだけれど。



 実は、同行してくれた長女にもそんな体験がある。

 中高時代、長女はとんでもない人物に絡まれて大変な目に遭った。近所にある有名な厄除け神社を参拝したところ、悩んでいたのが嘘のように解決したのである。

 もちろん、神様だけのおかげではない。それでも、お礼は必要だ。

 しかし長女は、再三「お礼参りに行け」という私の言葉を聞き流した。喉元過ぎれば何とやら……である。


「現代っ子かよ」


 そういう私も所詮は他人事。長女のお礼参りの件はすっかり頭から消え去ってしまった。


 それから半年ほど経ったある日。


 とんでもない人物は、以前よりパワーアップして長女の前に再び現れたのである。長女が再び、神社に走ったのは言うまでもない。

 すべて解決した後は、言われるまでもなく、きちんとお礼参りに行ったようだ。


 お礼参りとの因果関係があるとは言えない。しかし、人に置き換えて考えれば納得できる。

 ある日、知らない人から急にお願い事をされる。「いいよーん」と引き受けたが、お礼の一つも言われないとやはりいい気がしない。



 こうして私は、当然のようにあの神社を訪れた。

 お礼の仕方にも変わった作法がある。

 近所か、海や川で石を一つ拾い、それに油性ペンでお礼の言葉を書く。そして本殿前の指定の場所に納めるのである。

 私は近所で見つけた小さな石に小さな文字でびっしりとお礼を書き、納める場所へと向かった。


「もっと、でっかい石にすればよかった……」


 山積みになった石を見た私が最初に思ったのは、そんな後悔だった。

 石の大きさが感謝と比例している訳ではないだろう。いや、でも皆さん、納める石が大きい。中にはレンガにお礼を書いて納めている人もいる。

 うちの近くにはレンガは落ちていない。逆にレンガがそこら辺に落ちている環境がすごく気になって仕方がない。

 なぜか負けた気になったが、気を取り直して石を納め、また新たに願い事をして神社を後にした。


 ちなみに、今回は手は熱くならなかった。


 おみくじには、「引き続き楽しく頑張れ。油断注意」と書いてあった。

 楽しく気を引き締めつつ、何もなければ一年後、またお礼とご挨拶に訪れようと思う。



 帰りにふらりと寄った、ご夫婦でされている小さな喫茶店のランチがすごく美味しかった。このご時世、680円であのハンバーグがいただけるなんて……。

 お礼参りに来て、本当に良かったと思った秋の出来事だった。



 信じるも信じないも、あなた次第……な、そんなお話でした。

 もちろん、神頼みだけですべてがうまくいくなんて少しも思っていません。

 でも、私の実力だけでこんなことが起こるなんてのも信じられないし、烏滸がましい……そこで出た答えが「運が良かった」でした。

 そうすると、運を上げてくれたのは神様なのかな、でも、運も実力のうち、いや、それはだいぶ烏滸がましい……をエンドレスで考えつつ、この辺で失礼致します。















 

お読みいただきまして、ありがとうございました。

今は、中性脂肪を落とす神社を探しています。

有益な情報をお持ちの方も「それは内緒」という方も、応援していただけると幸いです。


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