表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

3話「王様の御前で」

応接室を出て15分くらいだろうか?


ここまで見てきた扉も十分高そうだったが、ひときわ高そうな、とゆうか渋いのに豪奢な感じのするような、矛盾した感想を思い浮かべてしまうほど凄まじい扉の前に到着した。


高さ僕二人分くらいだろうか?


170ジャストくらいある僕二人分の高さだ、もしかするとこの世界はワ○ピースみたいに人間だけど身長が千差万別みたいなことが起こっているのかもしれないな、などと考える。


考えてみれば応接室を出て何度か登った階段もそうだし廊下もそうだが、僕が5人横並びになっても窮屈感がないほど広く取られているし、天井もなんだか高めに設定されてる気がする。


冗談のつもりだったけど、あながちない話でもないのかな??


「これより王の間に入ります。 皆さんこの国の礼節など知らないと思うますのでリラックスして貰って大丈夫です。 私たちが勝手にお呼びしたのですから、礼節を重んじるべきは私達です。 皆さん質問があればなんでも聞いてしまって大丈夫ですからね!」


エリス様がそんなことを言うのだが、正直そんな傲慢な感じで行ける気はしない。


うちのクラスになろうアルアルのすぐ突っかかっていくような奴は居ないのだ。


エリス様は僕たちの表情から肯定を読み取ったのか、小さく頷くとゆっくり扉に手をかける。


「ラグナホル国王陛下、勇者御一行様をお迎え致しました」


「入ってくれたまえ」


エリス様の消して大きくない呼び掛けに、しかし部屋の中の人物は威厳たっぷりのよく通る声を返す。


声の感じからして扉の向こうもまだまだ先に続いていそうなのによく聞こえるものだ、もしかすると異世界特有のマジックアイテムみたいなのが有るのかもしれない。


「失礼致します。 さっ、皆さん私に続いてくださいね」


エリス様の指示通り、僕たちはわけも分からぬままエリス様の後ろを1列になって着いていく。


僕は最後尾から4番目を、春夏は5番目、つまり僕の一つ前だ。


「うぅう、緊張かがが、、、」


「シーっ、静かにだよ春夏。 」


緊張のあまり声が漏れてしまったらしい春夏の背中をトントンと叩いて落ち着かせる。


春夏は一見ハツラツとしていてウブなので緊張とかとは無縁にも思えるのだが、しかし実際のところは1度緊張してしまうと何も思ったようにできないような有様であり、またクラス日直の挨拶なんかをするだけでもちょっと緊張して呂律回らなくなるような所がある。


そうゆう所も見方によれば可愛げがあっていいのかもしれないが、しかし本人的にはたまったものでは無いだろう。


実際今も少し落ち着くと今度は恥ずかしさなのか後悔なのか、急速に真っ赤になってしまった。


「勇者御一行殿、よくぞ参られた。 この部屋は存外に遠かったであろう、足労かけて申し訳なく思っている、」


会って早々、まず謝られてしまった。


30代後半ほどに見える目の前の王、ラグナホル王はエリス様と同じく白銀の髪に薄く赤みのある綺麗な金色の瞳をした人であった。


体格はガッチリとしていて、僕たちと同い年くらいに見えるエリス様の父親にしては随分と若々しい。


少し離れてはいるが、玉座は変な飾り付けなどは一切なく黄金で出来ているらしいそれだけで、他の何者をも寄せつけない迫力を醸し出していた。


そしてそんな椅子に全く負けないどころか勝っていそうな迫力ある姿は、さすが一国の王と思わせてくれる。


「私がこの国、ブルムント王国の現国王、ラグナホルン・エネオノール・ブルムントである。 改めて、我々の勝手な都合から呼び出してしまったこと、深く謝罪すると共に、その力我が国のため使っていただければ嬉しく思っている」


ラグナホルン王の威厳と言えばいいのだろうか、なんだかもう凄すぎて言葉が出てこない、、


春夏なんて今にも泡吹いて倒れそうになっている。


「まず、我が国の現状について、簡単な説明をしたいと思う。 もちろん詳細な説明は別日に教育担当の方から行われるので安心して欲しい、今日は召喚に至った概略と、貴殿らの教育を担ってもらう者たちを紹介する日としたく思う。」


ラグナホルン王の言葉、理解はできるが、飲み込むには少し時間がかかりそうだ。


分かったのは、どうやら明日から僕らは本格的に教育を施される流れになるらしい、とゆうことだけかな。


「まず、我が国ブルムント王国の現状について、いや、この世界全体の情勢についてだが、この世界フリューメナは現在、未曾有の混沌時代を迎えている。 各地に乱立するダンジョン、そこから溢れ出す魔物による被害は年間数百件にも及び、世界各地で発生したダンジョンの攻略、消滅が急務とされる自体になっている。もちろん我が国も例外では無い、無数のダンジョンは我が国にも大きな打撃を今現在も与え続けている。 もちろん騎士たちが攻略に動いてはいるが、到底間に合うようなものではない。 そこで過去の文献から偶然に発見された勇者召喚の儀式、とゆうものに希望を託す選択をした。 それが貴殿らだな、召喚の際には、なにぶん古い文献から見つけたばかりの物であったため魔法陣上にいては召喚者が異世界に飛ばされてしまった可能性もあったもので、部屋に置くことが出来なかった。 これに関しては、こちらがことを急ぎすぎたために起こったことである、本当に迷惑をかけて申し訳ない。 貴殿らを召喚した理由についてだが、我々は貴殿らに我が国、引いては同盟国のダンジョンの攻略を頼みたい。 もちろん直ぐにとは言わない、半年間我々が誇る最高戦力たちによって万全の教育を受けてもらい、安全が保証された状態で望んでもらうことになるだろう。 ここまでの話を聞いて、我々に手を貸してくれるとゆう者がいるのならば、是非前に出て欲しく思う。 もちろん、手伝えない、と言われれば我々に止める権利は無い。 もちろん元の世界に返す方法も我々は持っているのでそうゆう場合は速やかに送還いたそう。 どうだろうか、?」


王様の話は、正直半分も理解出来なかった。


難しかったとかではなく話が入ってくるような精神状態じゃないってだけなんだけど、でも僕は、せっかく異世界に来たのだからダンジョン攻略とゆうのを試してみたいと思った。


多分同じように思った人が全員じゃないと思う、この場の空気に支配されてだったり、なんとはなしに面白そうだからだったり、きっと色んな理由があるとおもう。


そんな中で、僕は高鳴る鼓動を収めることもせずに1歩前に進み出た。


隣では春夏もなにか決心したような目を僕に向けると1歩前に出る。


気付けばクラスメイトは全員、31人が横一列に戻っていた。


つまりは全員がこの世界のために動いてみたい、と思ったとゆうこと。


「本当に、感謝しかない、、本当にありがとう、、! 貴殿らの勇気にむくいるため、万が一にも貴殿らの命が脅かされないため、最前のサポートを約束させてもらう!! 」


ラグナホルン王の声に魂が震えるのを感じる。


ラグナホルン王の目尻に涙が浮かんだように見えたのは、果たして幻視だったのか。


その声音に、確かに感情の滾りを感じたのは、間違いないだろう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ