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2話「王家の威厳」

横穴を潜りながら周りを見渡す。


どこもかしこも、見れば見るほど普通の洞窟にしか思えない。


違うのはやたらと綺麗な床だけで、壁面は凸凹した自然のままといった様子。


誰かの趣味を感じるな、こうゆう自然造形が好きな人が設計したのかもしれない。


そんな風なことばかり考えつつも、数十分ほど歩くと目の前に光が見え始めた。


自然光じゃなく電灯とも違う、なんだか不思議な光。


その光が否応にもここが、少なくとも日本では無いのだと言っているような気がした。


進んでいくとその正体が壁に取り付けられたランタン?のようなものに点る火の光だと分かった。


蝋を使っているのはかつての地球人が広めたからなのか近しい世界だし元々あった技術なのか、定かではない。


また先を進んでいき、いよいよ横穴の先に扉が見えてきた。


豪華では無いが頑丈そうな扉だ、もしかすると有事の際の避難場所として使うのが本来の使用用途なのかもしれないな、この洞窟。


「凄いね、アタシこんなの初めて見たよ、洞窟ってこうゆう感じなんだね、?」


「な、ランタンみたいなの使ってるし、何世紀かタイムスリップした気分」


「え、なんかドキドキしてきた、、すごい、!!」


「ちょっ、声でかいぞ春夏? 恥ずかしいやっちゃのう」


「んなっ、なんだとぉ、!?」


静寂に我慢できなくなったらしい春夏と軽口を交わして気を紛らわせる。


ランタンがあっても仄暗いのだ、少しくらい気を紛らわさなきゃおかしくなりそうなんだよ。


この状況も正直訳分からないわけだし。


よくよく聞けば他のクラスメイトも隣合ったやつと何か話してるらしい、考えることは同じってことか。


そんな風にして気を紛らわしていると、ついに扉の目の前にたどり着く。


やはり遠目に見た感じとさして変わらず、華美な装飾のない質素な鉄の扉だ。


下手したら監獄の扉みたいな風格を感じる。


「皆さん、この扉の先は王城内の応接室に繋がっています。 ここからもう少し上り下りの激しい道成となりますが、どうか着いてきてくださいね?」


エリス様が扉を開けるすんでで、振り向きざまに言った。


こちらの心配が伝わっていたのかもしれないな、と少し反省。


そしてエリス様が扉を開き、その先に躍り出たのを確認すると、みんな恐る恐るとゆう感じで歩みだす。


期待半分、不安半分、そんな気持ちではあるものの、やはり未知の何かへの好奇心とゆうものは否応にも鼓動をはねあげるわけで、どこかワクワクするのを抑えもせずに僕は扉の先に進み出た。


「ふわぁ〜、きれい、、」


春夏の感想は、この光景を表すのにピッタリだったろう。


部屋の中央には豪奢でこそないものの、すこぶる高そうな長机と同じく高そうな椅子、この感じだと6人くらいで集まる想定なのかな?


椅子が6個しかないし。


地面には純白の絨毯が敷かれていた。純白の中に薄く黒い模様が描かれていて、それがなんとも言えない芸術性を感じさせた。


壁には数枚の絵画が飾られ、入ってきた扉と左手側のもうひとつ扉が設置されている。


右手側には窓があり、目の前に絵画が飾られている感じだな。


右手側の窓枠は木製だと思うんだが、しかしなんだろうか、異様に迫力がある。


一言で言うなら圧巻、これが王家が客人を招く時に使うレベルなのか、と思うと唖然としてしまうのも無理からぬことだと思う。


部屋の迫力に呆然としていた僕たちに気付いたのだろう、エリス様はギョッとしたように左手側の扉を開いた姿勢で固まると、なにか納得したように頷いて話す。


「こちらの扉から王の間に向かいます。、、、あの〜、? 、、、落ち着くまで待たせていただきますね、」


王女様が困ったように笑って言ったのを聞きつつも、しかしなかなか動き出せない。


この空間を、もう少し見ていたいと脳が叫んでいるのだ。


美術館なんかに行ってもこんなふうに思ったことは無いけど、この部屋ひとつが芸術品のようなこの感じが、忘れたくないと思っている。


きっとクラスメイトみんなそうなんだ、春夏もそうなのだろう。


唖然と口を半開きにして固まっている。


、、、僕たちが再起動して本格的に王様の元に歩き出したのは、呆然と立ち尽くすようになってから20分はしないかな?位の頃になった。


さすがの優しそうなエリス様も張り付いたような苦笑いの奥では目が困惑1色に染まっていたのが印象的だった。

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