第四章 黄昏時の誘惑
今日は、大きく関係が変わる回です。
一語一句、読み込んでみてください!
「葵くん!」
「あ、美良ちゃん。」
「ぼーっとしてんじゃねーよ!!ってチ〇ちゃんに叱られちゃいますよ!」
「古いって」
「え、そんなあ、、、いいこといったとおもったのにぃ、、、」
そんな平和すぎる会話を、また、交わした。
僕らはあれから、かなり話し合った。どのようにすれば篠とちゃんと付き合っていけるかとか。
(恋愛の話ではない方の)正直、美良ちゃんは関係ないのだが、付き合ってもらった。(恋愛では(以下略))
当然ながら仲良くなったので、呼び名も変わった。飛山さん→飛山くん→葵さん→葵くんに。最終的には呼び捨てで呼んで欲しいな、と下心なく思っている。因みに、美良ちゃんの方は、音暖さん→音暖ちゃん→音暖→美良さん→美良ちゃんになっていった。将来的には呼び捨てで呼びたい。
こんなにも上手くいっているし、調べの方も完璧。「ひやのん」飛山の「ひや」に、音暖の「の」の愛称でよく呼ばれ、事あるごとに頼られる、絶対的な存在になってしまった。
が、少し不満に思っていることが、実はある。
好きな人、いる?と聞いたある日の事。
「葵くん、ずるいです!」
「葵くん!人の内情に触れるのは男子としていかがなものかと!」
「葵くん!女と言うのは(以下略)」
と散々言い訳をした後、とうとうネタが切れたのか、
「えっと、ですね、、、。」
と顔を真っ赤にして切り出したその時!
姿勢まで前のめりになっていたその時!
―プルルルル、プルルルル、プルルルル、、、、、
着信音が響いたのだ。一瞬驚くような何かバレてしまったような表情をしてから、電話に出た。
口に手をあててひそひそ声で話していて、何か大きな事情があるようだった。
「すみません!」
途端に頭を下げだした、美良ちゃん。
「急用が入ってしまって、今日はここまでで。家でしっかり借りた本、読みこんでおきますので!すいません!」
何度の謝るものだから、こちらとしても申し訳なくなって「じゃあ、切り上げよう」とOKをだして、その日は終了。
その時は好きな人の話だったからだと思っていたけど、それからというものの何度のそんなことがあって、本当に事情があるんだなって、思った。
まあ、その時から「めいべす!」が最盛期といえるほど売れだして全国ツアーも決定した時期だったから、僕としても都合が良かったので、潔く休暇期間を作った。
あっち側もこっちも、お互いその分隙間時間を見つけて調べ込んでいたから問題はなかったけれど。
気になる!あまりにも気になる!
学校から始まってあらゆる角度からみても問題は何もないけれど、誰とそんなに話しているのかが。
今日、聞いてみようと思うのだ。
さっきのような会話も交わせたし、順調。
「久しぶりだな、こうして調べるのも。」
「確かに、そうかもしれないです。」
「今日はしっかり調べないと。時間、大丈夫だよな?」
脅し半分で聞いてみる。
「あ、は、はい。もちろん、、、。」
目を泳がせながら答える。
やっぱり。あの電話のことを心配してるんだ。
「つ、着きましたよ!」
焦ったように図書館を指さした美良ちゃんは小走りで入口へと急いだ。
おーおー、いい調子じゃないか。僕。美良ちゃんは完全に怯えちゃってる感じだし。
「さ、始めようか。」
「はい!」
席を確保したところで、宿題になっていた、「過去10年分の花よ、ヒラケ。を読んで要約する」を早速開き始める。10÷2=5ということで1人5年分ずつやることに。
「えっと、、、美良ちゃんが、遅い方の5年分だよね、多分。」
「あ、はい、、、。」
「ん?どうした、、、って、要約文は?」
「、、、。」
「忘れてきた?家に?犬見本庄から、、、えっと、家は猿原だったよね?それだと、」
サイトで検索をしようとしたその時だった。
「すみません!」
立ち上がって、腰を直角に折り曲げて謝る美良ちゃん。
「え、もしかしてやってない?」
「す、すみませんでした!」
またまた直角腰折り曲げの術。
「別に怒っているわけではないんだけど、、。え、もしかして図星だった?」
「はい!すみません!」
「えー、、、、。」
「本当に、すみません!」
「じゃ、とりあえず僕からいくね。これ、コピーだから蛍光ペンで引きながらいって。」
「はい、、、。」
「新しい方の5年分の方は代表執行部員、体育祭実行委員が大きく変更があった年が含まれているんだ。たしか、代表執行部員会長が変わったとか言ってたな。そのせいで、書体とかテンプレートも全く違って、少し読みづらかったんだけど、まとめといた。同じものとして。
えっと、体育祭の売り上げ表について何だけど、5年分通して女子メインのアイドル、男子は運営が人気だね。男子が学校全体の7割を占めているから。
ジャンルは、基本的に恋愛系の歌をかけるのが響くみたいだよ。さっき言った女子メインのアイドル、男子は運営のやつでも恋愛系の歌をかけているのが9.8割。
女子メインのアイドルのやつではやっぱり男子生徒が6割だね。女子はそこまで多くないみたいだよ。逆に女子は少数派ではあるものの、男子メインのアイドルの方に惹きつけられているみたいだ。大丈夫?ついていけてる?」
美良の方を見てみると、瞳は震えていて、手は膝元にあった。
「えっと、線引けた?」
「、、、。」
「あのさ、ちょっと厳しい事言うと、要約の宿題やってないんだからさ、それぐらいちゃんとやろうよ。てか、やれない?」
「、、、。」
「お願いだよ。ホントに。僕の宿題、増えてんだから。」
雫が、一つ、落ちた。
「ごめんなさい、、、、。」
「いや、怒っているわけじゃ、、。」
「怒ってるじゃないですか!」
顔を赤くした美良ちゃんは立ち上がった。
「ごめん。」
「いいです。私が悪いので。」
「あのさ、一つ、聞いてもいい?宿題忘れたお詫びって思って聞いて。」
「はい。」
「あの、いつもくる電話?あれ、誰から、、、?」
みるみる美良ちゃんの顔が怖くなっていって、遂には大声を出しだした。
「ふざけないでください!」
「え、、。」
「ふざけんな!」
「っ、、、。」
初めて聞いた。こんな言葉遣い。
空気が凍り付いていく。よくきいた冷房の音が、図書館に響き渡る。
見ていた巣瀬さんが駆けつけて、美良さんに、
「落ち着いてください。お気に障ったのは良く分かりますが、相手の気持ちにもなってあげて下さい。そんな毎度毎度電話が来て、約束がなくなるなんて、そりゃ、気になりますよ。」
正論をしっかり述べた後、美良さんを抱いて、図書館を出ていっていく。
「ちょっと、待ってください!」
「何ですか?」
巣瀬さんが振り向く。
本当は、電話の正体を聞きたい。だって、僕は多分二度と聞けない。
でも、今は違う。そんなことを聞くために女子高生を抱いた女子大生を呼び止めたなんて可哀想以外の何者でもない。
聞かなきゃいけないことは、もっと、もっと、他にある。
「また、二人で、無邪気に笑えますか!」
響き渡る声が、巣瀬さんに本心のまま届いたかは、分からない。でも、それでもいい。
「あなた、次第です。」
巣瀬さんは少し微笑んだかと思ったら真顔に戻り、一礼をして図書館を出た。美良は、静かに眠っていた。
**
真の信用なんて、ないのかもしれない。
人一人にも色々な感情が存在していて、全てが純粋なひとなんていない。
皆、真っ黒な、色では表せないくらいの黒さをもっている。
何かを、企んでいる。何かに、嫉妬している。何かを、恨んでいる。
それが、人間だ。
人間は一番強くて、一番弱い動物なのだ。
それを許さないんじゃなくて、減らしていけばいいと思う。
そのきっかけの一つに、許す理由の一つに、
少しでも僕が入っていたら、、、。
何よりも嬉しいんじゃないかなと、夢を見るように、思った。
今日はなかなか頑張りました、、、。
空白・改行含む→3230字
空白・改行含まない→3092字
すごーい!!最多だああ!!!
嬉しいです!
このお話の続きの予想や、こういう結末がいいんじゃないか。とかありましたら、コメントからお願いします。高評価もお願いします。レビューもしていただくと、嬉しいです。
細心の注意を払っておりますが、誤字・脱字等ありましたら、ご報告下さい。
今回は私の私世界をご覧いただき有難うございました。
また、甘酸っぱいレモネードをご一緒に飲めることを心から願っております。
byみーらん。
#無断連載禁止#一部連載禁止#全話連載禁止
無断転載が確認出来たら、コメントさせていただくことがございます。




