第1章 拗らせた令嬢は報復を決意します。(加筆修正済)
拗ねらせ令嬢メイソンのお話です。
皇女様以上に拗ねています。
※文章を修正しております。
メイソンは許せなかった。
尊敬するセシリアに殴打された原因が、憎きキャルとガランスにあると思っているからだ。
実際は、周囲の空気を読めない彼女が原因なのだが、彼女にはそんなことは関係なかった。
メイソンもセシリア同様、ある意味で拗らせていた。
その性格は歪んでおり、一度でも相手を見下すと徹底的に苛め抜くタイプであった。
典型的ないじめっ子であるメイソンは、セシリアのことを崇拝していた。
学園で初めて美しきセシリアと出会った日以来、メイソンは彼女が女神の降臨だと信じて疑わなかった。
それほどまでに、メイソンのセシリアへの想いは屈折していた。
セシリアがヘラス王国へ嫁いだ時には侍女として彼女の後を追おうとした。
ヘラス王国のメルヴィス第一皇子と離婚してからダキア公国へ戻った時には、メイソンは発狂するほど喜んだほどだった。
だが、ヘラス王国出身の者には報復をした。
王都にいるヘラス王国出身の者を知ると、老若男女問わず暴漢を送り怪我をさせるほど苛烈な行為さえ行った。
そして、セシリアが王の命で降嫁としてバーニー家の長子たるキャルと婚約をした時は、彼に対して逆恨みとも言える恨みを覚えた。
・・・この男がセシリア様の伴侶だと。
メイソンはキャルを見た時から不快感を抱いていた。
キャルと言う男が何故、ティベリウス王の御眼鏡に適ったのかまったく理解できずにいた。
実際は、ダキア公国の有力貴族であるバーニー家出身であり、しかも騎士団の将来を約束された人物であり、なにより、セシリアがキャルに好意を寄せているのが理由ではあったが。
結果として、キャルを誰にも渡したくないセシリアの歪んだ意図も知らずに、メイソンは彼を誹謗中傷で傷つけ続けた。
キャルに嫉妬する貴族の子息たちに、キャルに決闘を申し込むよう指示したのも彼女であった。
キャルがセシリアのことを考え、どの決闘も受けることができるはずもないと、貴族階級の一員であるメイソンはわかっていた。
しかし、キャルはメイソンたちの誹謗を我慢し、何も抵抗せずにセシリアに寄り添っていた。
メイソンがセシリアの元を訪れれば、キャルが皇女に寄り添っていた。
何度も見せられる光景が、メイソンは腹立たしかった。
メイソンも理解している。
セシリアがキャルが好いていることを
それも腹立たしいことであったが。
だからこそ、キャルとセシリアを早く破局させたかった。
その願いは叶うことになる。
あの日、セシリアが交流会の場で、皆の前でキャルと婚約を破棄した時はメイソンは歓喜に震えた。
こうなれば、キャルをもっと苛めてやろうと考えた時、有り得ないことが起こった。
キャルがこれまで届け出を受けていた決闘を受け出したのだ。
キャルはまず騎士団のマンブルズとビクターを再起不能にした。
二人はメイソンが利用していた手駒だった。
その時、メイソンは思い出した。
キャルが騎士としてとんでもなく強いことを。
メイソンは初めて恐怖した。
・・・キャルは私の名前を聞いているかもしれない。
実はマンブルズとビクターにキャルに決闘を申し込むよう促したのが自分であったのだ。
マンブルズとビクターが自分に好意を抱いているのを知っての行動だったが、もし二人が自分の名前を話していたらと考えると焦りを覚えてしまった。
しかし、キャルから動きはなかった。
彼はメイソンそのものを無視する態度を取った。
実際は、メイソンと関わると面倒だと考えていただけだったのだが。
・・・女だからって馬鹿にしているの!!
メイソンはキャルが追及してきた際に、最後まで抵抗してまで罵声を浴びせようと思っていたのだ。
しかし、キャルは何もしなかった。
そればかりか、キャルはバティスタの妹であるガランスと婚約したのだ。
バティスタは一体、何をしているのか。
メイソンは、セシリアへの当てつけのような行動をするキャルが、さらに許せなくなっていた。
その上、談話室でキャルの悪口を言っただけで、セシリアに殴打され突き放されたのだ。
メイソンは、セシリアに拒否されたことに絶望した。
とにかく、セシリア様に許してもらわなければいけない。
彼女が考えたのは悪手だった。
キャルとガランスに報復する。
そのためにも、セシリアの取り巻きの一人である騎士階級のローラントに相談をした。
ローラントはメイソンの考えた策に賛同した。
二人は、キャルたちが死んでも構わないと思っていた。
そうすれば、セシリアは喜ぶと確信していた。
・・・必ず後悔させてやる。
次話はガランスの兄、バティスタのお話です。




