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第1章 拗らせた皇女様と隣国からの使者(加筆修正済)

今回はセシリア皇女の回です。

セシリア皇女は拗らせています。キャルに対して、拗らせ過ぎかもしれないです。


※文章を修正しております。

キャルが、ドゥラーノ家にガランスとの婚姻を正式に申し込んだのは翌日のことだった。


突然のことにガランスの両親は驚いたが、幼い頃からキャルの人となりを知る彼らは、二人の婚姻を喜んで認めた。


ただ、ガランスの兄であるバティスタだけはこの婚姻に反対した。


そもそも、バティスタはキャルのことを嫌っており、これまでもセシリアの元で彼と対立した立場だった。


しかも、キャルがガランスとの婚姻を願い出ること自体がバティスタには全く理解できなかった。


確かに、妹であるガランスがキャルに想いを寄せていることは知っていた。


そのこと自体がバティスタには許せないことだったが、セシリアとの婚約破棄後すぐ、ガランスに婚姻を求めたことが彼にとってはあり得ないことでしかなかった。


・・・お前は、セシリア様を傷つけるのか。


キャルがガランスとの婚姻を求めた際は、バティスタは両親やガランスの前で大声を上げて反対した。


しかし、両親からは「では、キャルの代わりの相手がいるのか?」と問われるとバティスタは答えることはできなかった。


バティスタも理解はしている。


ガランスが背の高さのために、婚姻の声がかからないことを。


その中でキャルはガランスの見た目など気にせず、彼女の想いを受け止めた。


結局、ガランスの立場を考える両親に説得されたバティスタは、やむなく婚姻を認めるしかなかった。



この婚姻の話は、王都内に一気に広まった。


もちろん、前婚約者であるセシリアも当然耳にした。


この話を聞いた時、セシリアは驚きを隠せなかった。


・・・キャル、あなたは何を考えているの?


まさか、キャルが自分と婚約破棄をしてすぐに、別の女性と婚約するとは考えもしなかった。


しかも、自分の取り巻きの一人である騎士バティスタの妹であるガランスというのが信じられなかった。


セシリアは、ガランスのことが苦手だった。


ガランスがキャルに好意を抱いていることは、セシリアは気付いていた。


それでも自分が婚約者であり、皇女である限り、いや、親族であるバティスタが近くにいる限り、ガランスがキャルに想いを伝えることができないのも理解していた。


それが、ガランスへの優越感であって、彼女のことなど眼中にはなかった。


そして、セシリアはキャルと婚約破棄をした。


こうすることで、キャルが自分に泣きついてくると考えていた。


キャルを愛するあまり、彼のことを考えることもせず、ただただ彼が従うことを望んだ。


それが、セシリアの愛の形であり、キャルも受け入れてくれるはずだと彼女は信じていた。


・・・あなたは私しか愛してはいけない。


キャルはいつでも自分に心を寄せてくれている。


彼に、無理難題を押し付けても受け止めてくれる。


そのような傲慢な考えを持つセシリアはある意味、<こじらせ女子>だと言えた。


だからこそ、キャルがガランスと婚姻の話を進めたこと自体が自分への裏切りだと感じていた。


自分から破棄をしておいて言うのもおかしいのだが、セシリアは自分の立場が皇女である限り許されると考えていた。


しかし、父であるティベリウス王は、キャルとガランスの婚姻を認めた。


ティベリウス王は言う。


「お前が勝手に婚約破棄をしたのに、何故二人の婚姻に反対するのだ?そもそもお前がキャルに対して冷淡な態度を取ったのが原因だと気付かないのか?」


ティベリウス王は、厳しくセシリアを注意したので反論することができなかった。


その後、短い謹慎処分を言い渡されたセシリアの元に、キャルがガランスに婚姻を申し込んだと取り巻きの一人から報告が届いた時、彼女の胸の中で悪念が渦巻いた。


・・・罰を与えないといけませんわ。


セシリアは、その日からキャルへの制裁を考え始めた。


それがのちに自らを破滅させるものになるとは思いもせず。


謹慎を終えたセシリアが、気晴らしに談話室に足を運ぶといつものように取り巻きたちがいた。


ただし、バティスタはいない。


彼は妹の婚姻を恥じてか、その場に参加していなかった。


だが、セシリアにはどうでも良いことであった。


所詮、バティスタは役に立たないとセシリアは思っていた。


セシリアは無言のまま席に座る。


セシリアの機嫌がよろしくないと知った取り巻きたちは、空気を読んでか彼女に話しかけることはしない。


その中で空気が読めない令嬢が一人いた。


メイソン嬢である。


彼女はバティスタがいないことを良いことに、キャルの悪口を言い出す。


「驚きましたわ。まさか、あの男が婚約破棄の当てつけかのように、ガランス嬢と婚姻をするとは。まったく、何を考えていることやら」


そう言うと、メイソンは笑い出した。


しかし、他の者は笑えなかった。


セシリアの雰囲気が硬化したのに気付いたからだ。


しかし、メイソンには関係ない。


彼女は自分が空気を読めないことなどわかっていなかった。


キャルの悪口を言えば、セシリアは喜んでくれると信じているからだ。


「セシリア様、彼らに罰を与えましょう。セシリア様を蔑ろにして、決闘と言うくだらないことを行うキャルラインを許してはいけません。だいたい、キャルのような男は・・・」


その瞬間、メイソンは左頬に痛みを感じて倒れた。


「セ、セシリア様?」


セシリアが扇子でメイソンを殴打したのだ。


「黙りなさい」


セシリアはメイソンを睨みつける。


「も、申し訳ございません」


メイソンはすぐに頭を下げる。


「あなたには失望したわ」


そう言うと、セシリアは談話室から離れた。


・・・キャルは私のもの。たかだか貴族の令嬢がキャルを中傷するとは恥を知りなさい。


セシリア自身、キャルを孤立させ自分の籠の中に取り込もうと考えて、メイソンやバティスタを使って彼の悪い噂を流した張本人だった。


だが、目の前で愛するキャルを馬鹿にされるのが許せなかった。


まったく矛盾した行動だったが、セシリアには関係なかった。


・・・とにかく、キャルを取り戻さなければいけませんわ。


セシリアが新たな策を考えていると、専属の執事から声をかけられた。


「ヘラス王国から使者が来ております」


ヘラス王国はセシリアが嫁いだ国であった。


彼女は第一皇子であるメルヴィスと結婚をしたものの、結局は離婚をした。


結婚に関しては、第一皇子のメルヴィスに熱狂的に婚姻を請われての結果であり、セシリアは外交的な面から自然の流れで彼と結婚をした経緯があった。


しかし、セシリアはメルヴィスに心を許さなかった。


メルヴィスはセシリアに心を奪われていた。


離婚後も、メルヴィスはセシリアに再婚を申し込む使者を送っていた。


父であるティベリウス?王も、娘にメルヴィスと再婚して欲しいと望んでいるので、ヘラス王国とのやりとりに口を出さなかった。


セシリアは応接室に向かう途中で足を止めた。


彼女の脳裏には、キャルを苦しめる策が浮かんでいた。


・・・良い考えが浮かんだわ。


キャルが苦しむ姿が目に浮かんでくると、セシリアは笑みを浮かべた。


・・・キャル、あなたを逃がしはしないわよ。

次はセシリア皇女を信仰するあまり、キャルに対して拗らせている意地悪令嬢の話です。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] セシリアが新たな策[https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E7%AD%96%E3%82%92%E5%BC%84%E3%81%99%E3%82%8B/]を…
[一言] 「キャルが苦しむ姿が目に浮かんでくると、セシリアは笑みを浮かべた。・・・キャル、あなたを逃がしはしないわよ。」 病んでいますね。しかし、その行為を王が止めることができないのなら、王もたいし…
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