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第三章 ダキア公国の騎士は皆を守るため狂皇子の策謀に挑む。

今回はキャルと狂皇子となったハーシェルとの戦いです

誤字脱字、感想などお待ちしております。

「父上も兄上も甘すぎますね」


ハーシェルが嘲笑する。


「どう言う意味だ?」


イルディコー王がハーシェルに問い質す。


「こんな機会が簡単に訪れるのですよ?行動を起こすのは当然ではないですか」


さらにハーシェルが嘲り笑う。


「だって、王位を手に入れられる上に、セシリア様を手に入れられるのですよ」


「それは叛意だとわかっているのか?」


メルヴィスの声が震えている。


「もちろんです。セシリア様を手に入れるにはこれが一番良いですから」


ハーシェルが手を挙げる。


それが合図となり、歩兵たちが前に歩み出す。


「それと・・・そこにいる騎士にも死んで頂く」


ハーシェルがキャルを見る。


その眼差しには殺意が浮かんでいる。


「メルヴィス様、すぐにイルディコー王を連れてセシリア様の元へ向かって下さい」


キャルがメルヴィスに静かに呟く。


キャルは周囲を確認する。


すでに会場は半分近くが、ハーシェルの歩兵たちに囲まれている。


「キャルライン殿?」


「あの大盾の中でなら、イルディコー王を守れます。後のことは我々にお任せ下さい」


そう言うと、キャルはすぐさま近くにいた馬に騎乗する。


「ハーシェル様、あなたの望みはわかりました。では、私はあなたのお相手いたしましょう」


キャルはハーシェルに対して、あえて笑い返した。


それがハーシェルにとって、当然、気に喰わないものであった。


「貴様・・・やはり、許せないな・・・」


ハーシェルが歯軋りしながら、さらにキャルに憎しみを向ける。


目の前にいるのが、セシリアの想い人というだけでもより怒りが増していく。


そして、ハーシェルが手を振り下ろす。


「殺せ!!」


それが合図となり、歩兵たちがキャルたちに襲い掛かった。


キャルも歩兵たちの集団に向かって駆け出す。


それはメルヴィスの決闘の時よりも上回る速さであった。


それと共に、最初の一撃を目の前にいる歩兵たちに向けた。


突き出されたランスが一気に歩兵たちを吹き飛ばした。


決闘用のランスではあるが、その威力は絶大なものであった。


続けざまにキャルは、自分を囲むために左右に展開しようとする歩兵たちにランスを振り下ろす。


瞬く間に、ランスが歩兵たちを捉える。


短い悲鳴と共に、また歩兵たちが吹き飛ばされる。


「そんな・・・」


ハーシェルは唖然としていた。


キャルの攻撃だけで、ハーシェルの歩兵たちの数が一気に減ってしまったのだ。


その間にも、メルヴィスとイルディコー王は配下に護られてセシリアの元へ向かっていた。


その光景を見たハーシェルは、動揺を隠し切れない。


「矢だ!!矢を放て!!」


観客席にいた弓兵たちが矢を放つ。


だが、キャルは馬とランスをうまく操りながら矢の束を次々を躱していく。


これも戦場を経験したキャルならではのものであった。


・・・これが騎士の力なのか。


ハーシェルは衝撃を受けると共に、視線の先にいるセシリアを確認する。


大盾に囲まれているセシリアの表情が見えない。


だが、セシリアがキャルの姿に見惚れているのではと感じていた。


実際は、ハーシェルの想像した通りであったが、それだけでも彼はセシリアを許せなかった。


「セシリアに向けて、矢を放て!!」


セシリアを呼び捨てにするほど、ハーシェルが激高していた。


だが、その命令は無駄になる。


弓隊から悲鳴が上がった。


ハーシェルはそこに目を向けると、大柄な男がロングソードを使い、次々と弓兵を斬り倒していた。


それはジョナスであった。


「新手だと!?」


ハーシェルがより動揺する。


自分の計画が予想を超えて、次々と崩れていくのだ。


一方で、キャルはジョナスの姿を見ると笑みを浮かべる。


実は、決闘の前にキャルとアチソンはジョナスに命を下していた。


それは、自分たちが襲われた場合を考え、会場のどこかに身を潜めて観客席にいる敵を駆除するよう伝えていた。


ジョナスはその命に従い、会場内に身を潜めていたのだった。


キャルやアチソンはジョナスの強さを理解していた。


それは集団での戦いが得意な剣術を駆使することであった。


だからこそ、今回のように集団でいる弓隊や歩兵隊に有効であると。


ジョナスはキャルたちの期待に見事に応えた。


ジョナスが繰り出すロングソードで、弓隊は瞬く間に崩壊した。


ジョナスのあまりの強さに、弓兵たちが散り散りになって逃げだした。


「師匠、やりました!!」


弓隊を倒したジョナスが剣を掲げる。


「ジョナス、油断するな!!」


「はい!」


大声で返信しながら、後ろから襲い掛かった歩兵をジョナスが簡単に切り捨てる。


「そのまま、残りの敵を倒すんだ!」


「わかりました!」


ジョナスは観客席に残る敵を見つけると、再びその中に飛び込んだ。


キャルも騎兵として、次々と敵を無力化していく。


彼のランスが的確にハーシェルの歩兵たちを捉える。


ある者は突きで後ろで吹き飛ばされ、ある者は袈裟振りで左右に同じく吹き飛ばされた。


「殺せ!殺せ!」


ハーシェルは叫び続けていた、


だが、キャルが冷静に敵を倒していく。


ハーシェルが気付いた時には味方は自分の周りにいる少数の歩兵たちしかいなかった。


観客席にいる味方も、ジョナスの勢いに押されて逃げ出しているところであった。


「はっ!!」


キャルが残された歩兵たちに向けて、馬を向ける。


残りの敵も度合いを緩めるつもりはなかった。


彼の馬が二度ほど駆け抜けた時には、その歩兵たちもランスで駆除されていた。


キャルは周囲を確認し敵がいないと知ると、ゆっくりと馬をハーシェルへ向けた。


「外の、外の兵士はどうした!?」


ハーシェルは味方のいない周囲に向けて、大声で叫ぶ。


「あなたの配下はジュリア・ブヤメッド殿たちが対応してくれているでしょう」


そう伝えると、キャルは馬から降りる。


「・・・ブヤメッド家が動いているのか?」


「あなたも王族ならわかるでしょう。彼らはあなた方に忠誠を誓っているのですよ。このような動きに気付かないはずがないでしょう」


キャルがジョナスに下した命はもう一つあった。


それがジュリア・ブヤメッドに助力を求めるものだった。


彼女に決闘当日に何かが起こる可能性があると伝え、その上でジョナスと同じく密かに会場の周囲を警戒してもらうよう願い出た。


ジュリアもハーシェルの動きにおかしい点があることに気付ていて、キャルに協力すると約束してくれた。


会場の出口から声が聞こえなくなった。


おそらく、ジュリアたちが敵を制圧したのだろう。


「あなたの負けですよ」


キャルはこの事態を起こしたハーシェルに対して、怒りを込めてランスを力を込めて地面に突き刺した。


「ひぃ!?」


ハーシェルはその圧に負けて、後ろによろめいた。


「あなたもヘラス王国の王族として責任を取って下さい」


キャルはイルディコー王に顔を向ける。


イルディコー王もその言葉に納得していた。


「・・・まだだよ」


「はい?」


「・・・まだ終わってないよ」


しかし、ハーシェルが薄笑いする。


「何を言っているのですか?」


キャルは憐みの目でハーシェルを見る。


彼が自棄になったのではと思っていた。


だが、それはまったく違うものであったとこの後知る。


「君には大切なものがあるだろう?」


その問い掛けに、キャルはまだ理解できていない。


「だから・・・その大切なものを、僕が壊してあげたよ」


「どう言う意味ですか?」


キャルの心に不安が生じる。


「ガランス・ドゥラーノ」


ハーシェルの表情が驕慢になる。


「・・・まさか」


キャルがハーシェルが何を伝えたかったのか、ようやく気付いた。


「そうさ、君の大切なものは今頃、天界にいるのさ」


ハーシェルが大声で叫ぶ。


「ガランス・ドゥラーノは今頃、僕の手の者に殺されているよ!!」


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― 新着の感想 ―
[一言] それをここで告げても状況的には意味が無いんだけどな…
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