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第1章 最初の決闘をしましょうか(加筆修正済)

ざまぁ開始となります。

ご感想お待ちしております。


※文章を修正しております。

その日の王都は、昨日より小降りの雨が降り注いでいた。


キャルとアークライトは、肌寒さを感じながら徒歩で騎士団の本部に足を運んだ。


それは、ある人物たちと会うためだった。


誰もが、今日から始まる変事を予想だにしなかっただろう。


いや、キャル自身も人生を変える私事になるとは思いもしなかった。


騎士団の本部に到着すると、目的の人物たちはすぐに見つかった。


彼らはバティスタと共に、休憩室で寛いでいた。


一人はマンブルズ、もう一人はビクターである。


二人とも五爵のうち、子爵の長子である。


また、バティスタ配下の騎士であり、キャルの後輩にあたる。


バティスタはキャルたちの姿を見ると彼に声をかける。


「これはこれは、皇女様に婚約を破棄されたキャルライン殿じゃないか」


バティスタが嘲弄すると、後ろの者たちも続く。


特にマンブルズは、セシリアと婚約してからいつもキャルを見下している人物だった。


今日は特に嬉しいのだろう。


なにせ、目の前にいる男がセシリアと婚約破棄されたのだから。


「それで、俺に何か用か?」


バティスタとしては、婚約破棄の場に自分がセシリアの後ろに控えていたので、キャルが文句でも言うのではと考えていた。


だが、彼のその考えは全くの見当違いだった。


「いや、お前は関係ない。用があるのは、そこの二人だ」


キャルの視線が、マンブルズたちに向く。


突然のことに、マンブルズたちは戸惑いを覚える。


「な、なんでしょうか?」


マンブルズたちはキャルが睨んでいることにすぐに気付いた。


その眼力に気後れして、すぐに態度を改める。


「一年半前にお前たちが私に願い出た、<決闘の儀>を受けることにしたよ」


「えっ?」


マンブルズたちが唖然とする。


「何を言っているのですか?」


マンブルズが思わず聞き返す。


「忘れたのか?ほら、これを見ろ」


アークライトがテーブルにマンブルズとビクターの封書を置く。


二人はすぐにそれぞれの封書を取ると、中を確認する。


そこには確かに、彼らがキャルに<決闘の儀>を申し込む内容であった。


彼らは完全に決闘の申し込みを忘れていた。


「そ、それはもう昔の話ではないですか!?」


ビクターがすぐに反論する。


そんな昔のことを持ち出されるとは思いもしなかった。


「昔も何も、最初に決闘を申し込んだのはお前とマンブルズだろ?」


キャルの視線がマンブルズに止まる。


マンブルズの背中に言い知れぬ不安が走る。


「特にマンブルズ、お前は私に何度も決闘を申し込んでいる」


「あ、あれは昔の話です!?」


マンブルズは動揺のあまり、席を立つ。


「マンブルズ、決闘の期限に関しては法で認められているぞ」


アークライトがキャルの代わりに返信する。


彼は法務官だ。


この国の法律の専門家として偽りなど言わない。


「そ、そんな・・・」


マンブルズたちは、背中に悪寒が走るほど焦りを覚えていた。


騎士団の一員であるマンブルズたちは知っている。


キャルの実力がどれほどのものかを。


キャルはダキア公国の騎士団の中で、最強を極めた一人だった。


その実力は、現騎士団長であるアチソン・グスタフソンを超えると言われている。


しかも、十代の頃より辺境の地や紛争地帯で戦いを数多く経験している。


どう見ても、自分たちが勝てるはずがない。


「待ってくれ!なぜ、急に決闘を引き受けると言い出したのだ?」


バティスタがキャルに問い掛ける。


バティスタも、キャルがそのような行為に及ぶなど考えつかなかった。


「何故?それは私が皇女様と婚約を解消したからだ」


「・・・婚約を解消したからだと?」


そこでようやく、バティスタはキャルの思惑に気付いた。


つまりは、意趣返し。


自分を馬鹿にした者たちに対しての。


キャルは続ける。


「これまでは皇女様と婚約をしていたので、私は決闘を申し込まれても王族の関係性を考慮して、自制するしかなかった。だが、その枷は外れたんだ。だから、決闘を引き受けることにした」


キャルは笑みを浮かべる。


その笑みを見たマンブルズたちにとっては、天蓋から舞い降りた死神のような恐ろしさだった。


「なんだっけ?<お前はセシリア様の伴侶に合わない。今すぐ、婚約を破棄しろ>とか<お前はダキア公国の恥さらしだ>とか色々書いてくれてたな」


キャルは胸元から別の封書を取り出した。


「マンブルズ、お前は俺に四通も封書を送ったことを忘れてはいないだろう?」


マンブルズの全身が震え出す。


膝がカタカタと震え、立っているのがやっとの状態だった。


今更ながら、自分が何てことをしたのかと悔いた。


「いや・・・そんな・・・法務官様は本当にお認めになるのですか?」


マンブルズたちはアークライトに救いを求めようとする。


「何度も言うが、決闘は申し込みを受け取った相手が問題なければ、いつでも行っていい」


「しかしですね・・・」


ビクターが抵抗を続ける。


しかし、アークライトが有無も言わさず伝える。


「いや、これは覆ることはない。これは法で認められている。それとも何か?キャルが引き受けないとわかっていて、侮辱のために送ったのか?」


アークライトがマンブルズを睨むと、その途端、二人は黙り込んでしまった。


アークライトはその言葉の裏で、マンブルズたちが騎士として失礼極まりない行為をしたことを認めたことになると語っていた。


二人ともそれを認めてしまうと、せっかく入団できた騎士団にいることができないと思った。


「では、二人とはこの後、すぐに決闘を行う」


「こ、これからですか?」


アークライトが話すと、マンブルズたちが驚く。


「そうだ。そのために法務官である俺が立ち会うことにしている」


「待ってくれ!!それはさすがに・・・」


バティスタがすぐに決闘を止めようとする。


しかし、アークライトはバティスタを制する。


「バティスタ、お前は部外者だ。止める権利はない」


そう、決闘の申し込みをしたのはマンブルズたちなのだ。


自分には止める権利などないのも、バティスタは理解していた。


「・・・ああ」


バティスタはそれ以上何も言えず、身を引くしかなかった。


「バティスタ様・・・」


マンブルズたちは、自分たちがバティスタの助けを得ることができないと知ると、その場に崩れ落ちた。


その様子は本部にいる他の騎士や、職員たちを困惑させる。



「では、行こうか。決闘の場へと」

キャルに対してとにかく誹謗中傷する人たちが多い設定です。

揚げ足取りが好きな貴族階級や金持ちと灰吹きは溜まるほど汚い資産家階級の人々がその中心にいます。


次回は初めての決闘です。

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