春霞 作りかけの 砂上の楼閣
施工途中の耐震強度を気にするのは日本ぐらいだ。
棟上しても、すぐには瓦は乗せない。壁が出来てからだ。特に現代の建築物は、柱でなく壁で強度を持たせる。だから、作りかけの強度は弱くなる。
ましてや、かの国である。柱の鉄筋などは極端に少ないだろう。施工途中の強度を論じるのは、海外ではあまり意味が無いだろう。それは業者のリスクマネージメントである。
解体では下からおこなう工法がある。これが安全にできるのは、日本人ぐらいだ。いまだ多くの日本人にとって、不名誉は金を失う以上に恥なのだから。
日本人の至高の思想は、恥という概念だろう。それは命よりも重いのである。ゆえに、悲劇も生むが、死を安らかなものにもしてくれる。
世界中が勘違いしていることだが、「もったいない」も恥から生まれた文化だ。大量のゴミを出すこと自体が恥だし、使えるものをゴミに出していると周囲から陰口を叩かれる。もともと「もったいない」は自発的な言葉ではなく、他者が注意する時の言葉だ。
「もったいないことをして、罰が当たる」
他人の「もったいない」=自分の「恥」なのである。
おそらく、欧米人の文化では解らないだろう。なぜなら、かれらの恥は神との契約において自分で感じるものであり、他者から決め付けられるものではないから。日本人の恥は他者によって決められるものである。だから、地域などそのコミュニティー毎に定められるものなのである。




