表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
387/689

何時の間に 大きな現実 小さな虚構

 かつては、小さな現実世界と大きな仮想世界に分かれていた。


 人々は、現実社会のなかの小さなコミュニティで暮らし、果てしない仮想空間で夢見ていた。

 最初の仮想空間は魑魅魍魎が跋扈する夜の帳の中だった。

 次の仮想空間は外の世界。山や海の向こう。あるいは宇宙。


 若者は仮想空間だった都会に現実として住み始めた。そこは、巨大な空間。人間という生き物は元々小さな巣穴という空間で安らぐ習性がある。


 大きな空間は夢を与えるが、不安も与える。小さな空間は窮屈だが、安心がある。


 かつては、夢に向かって大きな外へ飛び出し、故郷という小さな田舎に帰ってきた。今は大きな都会で過ごし、疲れたら帰るところがない。そこで、仮想の小さなコミュニティに籠る。


 仮想空間は巨大だが、一人が見ている範囲は、現実よりもはるかに小さい。かつて、大学紛争に参加した学生も巨大な社会に絶望した学生が過激な小さなコミュニティに居場所を見つけた。


 夜の街は現実とは離れた仮想空間だった。だが、そこにいる魑魅魍魎が現実社会にあふれてきた。かれらは、巨大な現実社会に疲れた者を小さなコミュニティの巣穴に引き込む。そこは、小さくて居心地がいい。いつしか、そこが現実となっていく。


 大きな世界は夢を与えるが、小さな世界は安心を与える。


 人は不器用だ。せいぜい二つの世界でしか暮らせない。得てして二択思考に陥る。この罠から逃げ出すには三つ目の世界があることを知るしかないだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ