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駅前の 音楽掃う ムクの群れ
日が暮れると駅前に、若者たちが大きな音を出してたむろしていたが、彼らがいなくなった。よかったと思いきや、ムクドリの大群が占拠し大声で騒ぎ立てる。
どっちも迷惑な話だが、ほとんどの人は、鳥より音楽のほうがよかったと思っていることだろう。
ひとつのものを排除しようとすると、別の何かがやってくる。人も動物も、居心地のいいところには、集まる。買い物客だけ集まれというのは、虫がいい話なのだ。
昔の人は、なにかにつけ神様の取り分というものを残した。そうして自然との距離を保ってきた。今の人間は、そういった謙虚さを失ってしまった。




