若獅子よ 敗北も 計画の内
あまり勝負の世界のことを先読みするのはよくないと思うが、最近の藤井六冠の戦い方を見ていると、あえて力を抜いている勝負があるのではないかと見えてしまう。
以降、生意気なことを書く無礼を容赦願いたい。
さて王座戦だが、永瀬王座はやりにくい相手であることは間違いないだろう。千日手など変則的な勝負が多い。時間と体力と削られる。さらに勝負勘を狂わされるということもあるだろう。王座を最後にするなら、早々に王座戦から離れ、他の勝負に日程を使いたいと思うだろう。王座戦一回戦敗退は予定通りなのかもしれない。わざと負けるというのではく、新戦法を試すといった勉強会のようなことをして結果負けていると考えられないだろうか。
さらに渡辺名人との対戦が続く。同じ相手でやりあったほうが戦法もたてやすいだろうし、相手も同じぐらい疲れている違いない。
そこで、思い返されるのが、棋王戦第三局。劣勢が続くなか、突然の終盤の詰めろ。しかし、逆転負け。勝負を捨てたわけではないだろうが、ここで勝っても彼にとっては不本意なだったのではないだかろうか。棋王としては、実力勝負で防衛戦を締めくくりたいと考えてもおかしくは無い。
さらに、ここで棋王戦が終われば、名人戦までの間、渡辺名人には十分な時間が生まれる。排水の陣で望むだろう。しかも勝った渡辺名人は、望み薄の藤井将棋の弱点探しに時間を費やす。
すでに知られている弱点らしきものは、中盤の駆け引きに惑わされる点と持ち時間が無くなってからの読みであろう。しかし、羽生戦で中盤の駆け引きは勉強したように思える。最近は積極的に自ら仕掛けにいっている。持ち時間については渡辺戦では相手の持ち時間と合わせるように推移している。弱点はあるだろうが、それを突かせない鎧のようなものを身に着けつつあると感じる。
もし、本当に勝敗をコントロールしていると考えるなら、七冠も近い。




