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 学園の定期実技試験というのは、日本の学校で言う体力テストみたいなものだ。種目に剣術だの馬術だの社交ダンスだのという耳慣れないものは混じるのだが、まあ似たような感じだ。

 十種目の内、各々得意な種目を三種目選んで参加すればいい。


「私とあなたで同じ三種目を選んで競い合うのよ。本当はペアで競い合うようなもので、あなたとイェルドがペアを組めれば一番いいんだけれど――――」


 たしかゲームではそうやって好感度を上げていた。

 なのに――――。


「ダメダメダメ! 絶対にダメよ! だって、ペアってことは、あなたが組むのはエドウィンでしょう!」


 先ほどから『ダメ』の回数が段々増えていっている――――。


「相手がエドさまだとなんでダメなの?」


「怖いからに決まっているでしょう! それに、エドウィン相手で勝てるはずがないわ!」


 怖いというのは疑問だが、ハイスペックなエドウィンに勝てないというのは納得である。


「だったら、できれば私はベンさまと組みたいな」


「ダメダメダメダメったら、ダメ! そんな羨ましいこと許せるわけがないでしょう! 私、抜け駆け禁止って言ったわよね!」


 エイミーは、すごい勢いで『ダメ』出しした。

 まあ、気持ちはわかるからビアトリスも今は引き下がる。


「だったらどれにする? あなたが私に僅差で勝てるような種目がベストよね。あなたの百メートル走のタイムは何秒?」


 その後、ビアトリスとエイミーはどの種目で競い合えるかを検討した。

 結果、三種目の内二種目をなんとか選んだのだが――――。


「――――上体起こしと柔軟ね。……なんというか、すごく地味な種目になっちゃったわ。あなたってヒロインなのに体力がなかったのね」


 呆れ果てるビアトリスに、エイミーは顔を赤くした。


「違うわ!私はちゃんと平均より上の成績よ! おかしいのはあなたの方でしょう! なんで悪役令嬢なのに、こんなに高性能なのよ!」


 それはおそらく幼いときからエドウィンと一緒になんでも頑張ってきたせいだ。

 ビアトリスの目標は、エドウィンにとって、結婚するのはNGでも公務は優秀で知人として近くにいる分には気にならない程度の人物だった。つまり、天才と評される第一王子の近くにあって優秀と目される人物を目指し努力してきたのだ。それなら大体の人より優秀なのも頷ける。


「もう、本当に信じられない悪役令嬢ね。……とりあえずこの二種目で勝負することにしましょう。あとの一種目は重ならないように選べばいいわよね。言っておくけど、現時点では私の記録がいいからって僅差なんですからね。当日までに練習して勝ったりしないようにしてよ!」


 エイミーが釘を刺してくる。


「わかったわ。手を抜いてちゃんと負けるようにするわね」


「それはいや! 勝負は正々堂々したいから、練習だけ止めて!」



 果たしてそれは正々堂々と言えるのだろうか?


 首を傾げたビアトリスだったが、まあいいかと思って頷いた。


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