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3話 対魔術師用特殊暗躍機関【VMS】

「世界的犯罪だと、魔術師だったのか!」


鏡司と面談中と川村は肝を抜かれたかのように大きな声を上げて驚いている。

「何度も言っているだろ。俺ははっきりと見たぞ、奴が魔術を使っているところをな!」


「にわかには信じがたいが・・・そいつの名前は分かるのか?」


「名前か。たしか・・・ルイス・ヘンリーと名乗っていたな、日本人ではないんだろうな。」


「ルイス・ヘンリーだと⁈ 本当にそう名乗っていたんだろうな!」


鏡司がうなずくと、川村は飛び跳ねるように席を立ちどこかへと電話をし始めた。電話を始めてから数分後、川村は少し落ち着いたようで静かにさっきまで座っていた席に戻ってきた。


「なんだ、あの名前に聞き覚えでもあったのか」


「いや、私の勘違いだったようだ。だが、お前と一緒にその場にいた別の者からの証言とも一致している。その名前は、新しく世界指名手配者のリストに入ることになっただろう。」


「これで分かっただろ、相手は凶悪犯罪者だったんだ。俺の、発砲した判断は間違っていない!あの状況は規律を破るのも致し方ない状況、例外だったんだ。」


 これで、意味のない面談から解放されるだろうと考えていた鏡司は勢いよく川村にそう返した。しかし、川村の答えは鏡司が考えていたものとは大きく違っていた。


「いや、それを決めるのはただの保安官であるお前ではなく、国の上層部だ。あの場で行うべきだったことは、一度上層部に判断を仰ぎ、その指示に従うことだ。我々は組織として動いているんだ、君一人の判断でそんな大事な事を決めてもらっては信用問題に関わる。正義のヒーローごっこでっもしたいなら一人でやってくれ」


 鏡司は川村の返答に対して呆然とすることしか出来なかった。少しの間流れた静寂を鏡司は、突如として破る。


「ふざけるな!上層部に確認なんてしている間に、民間人に被害がでたら誰が責任を取るんだ!上層部ってやつは救える身近な命よりも、組織の信用とやらが大事だというのか!」


「ああそうだ。いいか、お前のような下っ端には分からないだろうがな、組織というものは信用を失えば何も出来なくなる。そうなってしまえば、いざって時に何もできずにそれこそ、救えたはずの命も救えなくなってしまうんだぞ。民間人を救いたいという気持ちがあるのならもっと協調性をもつことだ。」


 この二人はまさに真反対の性格であり、お互いがお互いに言いたいことを言い合っていたこの空間には緊張感が流れていた。そんな独特な空間を、簡単に壊すものがいた。


トン!トン!


 面談室に対するノックの音がしたと思うと、その男は許可も取らずに中に入ってきた。


「ちょっと!流石に勝手に入っちゃまずいですって!」


「え?別にいいだろ。こっちが呼ばれたんだし(笑)」


 入ってきたのは、一人ではなく男女の二人組だった。


「お、翔さん!どーもー(笑)」


 入ってきた男がそう言うと、待っていたかのように二人組に対して話を始めた。


「やっと来たか。いかれた【VMS】の連中が」


「うわー、ひどいっすね。そっちから呼んで来たんじゃないですか(笑)。それで、新しくうちに入るって奴はそいつのことっすか。」


「ああ、こいつのいかれっぷりはVMSに合っている。異端者同士仲良くするんだな、それじゃーな」


 そう言うと川村はなんの説明もなしに席を立ち、3人を残して部屋から出ようとしていた。


「おい待て!誰だよこいつら、VMS?なんだよそりゃ!」


鏡司は声を荒げてそう言った。

「いきなりすいません。VMSってのは、対魔術師用特殊暗躍機関の略称のこおで、簡単に言うと、魔術師撃退を専門とする世界和平連合直轄の組織なんです。」


 鏡司の問いに対し、そう答えのはさきほど部屋に入ってきた二人組の一人、水沢楓みずさわ かえでだ。VMS組織の一員であり、小柄な少女だ。

「おー、かえでちゃん説明上手!ま、そーいうことだから、よろしくな元保安官の少年(笑)」

 

 このように、毎回だらききった声話しているのは佐伯慶さえき けい。楓と同様に先ほど部屋に入ってきた男で、こちらもまたVMS組織の一員である。


 「分かっただろ、お前は今からVMSに入れ。この組織は慶の許可さえでれば誰でも入れるからな。もっとも,こんないかれた組織に喜んで入る物好きなんてそうそういないだろうがな。」


「うわー、翔さんキビシー(笑)」


何一つ理解が追い付いていない鏡司をよそに、3人は淡々と話を続けている。

「いやなんで俺がそのVMSってとこに入らなきゃいけないんだよ。誰も志願なんてしてないぞ。」


「まだ分からないのか、もうここにお前の居場所はない。それでもお前が自分の目的のために魔術を無くしたいというのなら他に道はないぞ」


 翔のこの言葉は今の状況の核心をついていた。鏡司も頭が冷えたのか、冷静に考えておりこの場には数分静寂の時間が生まれた。


「で、どーする。うちに来るの、来ないの。」

 静寂を破ったのは慶だった。

「一つ聞くが、もし俺がVMSとやらに入ったら。魔術師どものいかれた戦闘能力にも張り合い、奴らを殺すことが出来るのか?」


「ああ、それは保証しよう。うちにはそのための技術がそろっている。」


「ぜひうちに来てください!歓迎します。」


 鏡司の中ではすでに決心がついていた。


「ああ、いいだろう。俺は俺の目的のためにVMSに入る!。」



 ここで、鏡司がVMSに入ったことで彼の人生は大きな荒波に巻き込まれていくだろう。それを乗り越え、心身共に成長したときこそ彼の人生の目的が達成されるとき。VMSとしての彼の、新しい人生の幕開けだ。


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