近代化した魔術の世界
2話目です。主に説明パートとなっていますが、よろしくお願いします。
2話 近代化した魔術の世界
ルイスとの戦闘で敗北したあの日の約1日後、鏡司は今、国の上層部の者と面談をしていた。それはもちろん昨日の規律違反、民間人の迷惑となる場所での武器の使用についてのことだった。
「君ね、困るよ。保安官として民間人に規律保持を厳守させる立場でありながら、自ら規律を破るなんて。」
鏡司にそう説いているのは、川村翔主に、この日本国内の治安保持を目的としている組織の上層部だ。
「俺は保安官として、当たり前の行動をしただけです。何度も言いますが、相手は世界的犯罪の魔術を使っていたんですよ。あの場合は民家人に少し迷惑をかけてしまったとしても、あの場で奴を殺すべきでした。」
世界的犯罪な犯罪の魔術。近代化が発達したこの世界では、魔術を使う事は世界的に禁止されている。もし、この決まりを破る者がいたら例外なく死罪とされている。なぜ、この世界では魔術を使うことが禁止されているのか。その理由を説明するには、約500年ほど遡らなければならない。
西暦1950年、第二次世界魔術大戦。この戦争には、ほとんどの国家が参加を強いられていた。戦争への参加を拒もうとした国は全面的に魔術でつぶされ、自分たちの国を守るためには、戦うという選択肢しかなったのだ。鏡司の生まれ育った国、日本ももちろんこの戦いに参加していた。日本は昔から、魔術大国とされてきていたほど、魔術が発展していたため、とても善戦していた。
しかし、第二次世界魔術大戦には連合国が参戦していた。ロシア、ドイツ、フランス、イギリスなどの大国を柱とした、主にヨーロッパの国々を対象とした連合国だった。連合国相手に日本という一つの国家で戦うのは、リスクが高いという決断をした日本政府は、アメリカと同盟を結んだ。この同盟は、世界中のあらゆる国々に電撃が走った。。事実的に世界2トップの国同士での同盟、この世界における最強の戦力の誕生だった。世界中のあらゆる国々が、少しでも自国への被害を抑えるためにこの2国の傘下に下ると思われたが、ここで連合国が大きく動き出した。連合国は世界にこう訴えかけた。
『もしも、この戦争で我々連合国側が勝利することに成功したら、この世界から、魔術という兵器を完全に消滅させることをここに誓う。平和を望む同志の国々よ、我々と共に立ち上がり平和な世界というものを実現させようじゃないか。』
この、後に『世界和平宣言』と呼ばれる世界宣言は多くの国々を奮い立たせた。この頃の世界の国々は、自国を守るために魔術戦争に明け暮れており、もしも勝利することが出来たら世界から魔術がなくなり、平和を実現するという連合国の叫びは、平和を望むたくさんの小国を、連合国の勝利のために奮い立たせるには十分すぎたのだ。
ほとんどの国々が連合国に入りその後からの戦争は実質、日米 対 連合国の一つの大きすぎる戦いになった。
そこからは、まさに地獄そのものだった。連合国と日米の戦争は、およそ10年間も続いた。死者数約10億人、民間人も巻き込んだ本当に最悪な戦争になった。しかし、長い時間と大きすぎる犠牲の上に連合国は日米との戦争に勝利したのだった。
その後、日本とアメリカは領土の大半を失い連合国の傀儡国となった。戦争の後処理も落ち着き、魔術を完全に消滅させることを全世界共通の目的とし、あらゆる政策をし世界から魔術をほとんど消滅させることに成功したのだった。
ただ完全に魔術を世界から無くすことはできなかった。その大きな原因とされているのが、人口約5万人しかいない小国だが、日本に次ぐほど魔術が発展していたプリミネス王国だ。この国は唯一第二次世界魔術大戦に参加しないことを許された国であり。魔術のことをどんな国よりも愛していたのである。魔術がなくなる危機だと知ったこの国は、国王の家族とその家臣約30名がどこかへと逃亡した。その他の国民も、その30名の逃亡を了承しており、国王たちを狙う世界の人々を撒くため全力を尽くしいていた。
そして現在に至るまで国王たちの消息を掴むことはできないままになっていた。一人でも、魔術師が生き残してしまっていたら、その者が別の者に教え、その者がまた別の者に教えてといつまでも魔術がなくなる事がないと考えた世界の国々はある法律を世界すべてに厳守させることにした。
『魔術を使用した者、魔術関係のものに関わった者は、その者の事情を全く考慮せずに全世界共通で死罪とする』
魔術を死罪とする世界共通の法律はここで生まれたのだった。
日本とアメリカは戦後約20年間は傀儡国として過ごしていたが、世界を平和にしようとしているのに傀儡国があるのはおかしいという連合国の考え方から1980年世界から独立を認められた。
そして、現代西暦2480年。日米も加わり、今も変わらず世界の完全平和実現のために、各国で協力しあっているのだった。
今回は、世界全体としての過去について書いてみました。どうだったでしょうか、感想をいただけると嬉しいです!