第三話 悪魔の拷問2
「う、くっ……こんなの……だめ、なのですっ!」
敵地である以上、抵抗することでは出来ない。
このままでは、悪魔ちゃんに甘やかされてしまう。
「っ」
天使ちゃんは怖さから、瞳を閉じる。
いったい、どれくらい甘やかされると堕天してしまうのか。
それがわからないからだ。
そして、仮に堕天したとき。
はたして、天使ちゃんの意識は残っているのか。
神に弓を引いたり、人間達に害を成す存在になってしまうのではないか。
(いや、なのです……わたしは、まだ――)
と、天使ちゃんが考えた。
まさにその時。
カシャンッ!
と、聞こえてくる何かが割れるような音。
直後。
「あ、熱いのじゃぁああああああ~~~~~~~~っ!」
と、何やらジタバタした様子の悪魔ちゃんの声。
いったい何が起きているのか。
「?」
気になった天使ちゃんは、目を開く。
すると見えて来たのは。
(床にティーカップが……ひょっとして、落っことして割ってしまったのです?)
さらによく見てみると。
悪魔ちゃんのお腹は濡れており、何やら赤くなっている。
きっと、熱い紅茶を被ってしまったに違いない。
「うっ……ぐす――熱い、のじゃ」
と、再び聞こえてくるのは、悪魔ちゃんの声。
見れば彼女、自らのお腹を見下ろしながら、泣きそうになってしまっている。
それを見た瞬間。
天使ちゃんの中に、何かが奔った。
(放っておけないのです!)
天使ちゃんは天使だ。
例え相手が悪魔であろうと、苦しんでいる人を放置するわけにはいかない。
などなど。
天使ちゃんはそんな事を考えた後。
「悪魔ちゃん、ここに寝っ転がるのです!」
言って、悪魔ちゃんをベッドへと、無理矢理寝っ転がらせるのだった。




