第一話 天使の目覚め
「っ……ここ、は?」
天使ちゃんはゆっくりと目を覚ます。
そして、身体を起こして周囲を見回す。
「知らない部屋、なのです……どうして、わたしはここに――」
と、ここで天使ちゃん。
最後の瞬間の事を思い出す。
「そうなのです! わたしは悪魔ちゃんに負けてしまったのです!」
そういえば、悪魔ちゃんは言っていた。
天使ちゃんを悪魔界へと連れて行くと。
もしそれが本当ならば、のんびり寝ている場合ではない。
天使ちゃんはすぐさまベッドから飛び起きる。
そして、部屋からの脱出法を探していた。
まさにその時。
「こ、これは!?」
天使ちゃんの目に映ったのは、大きな姿鏡だ。
そこに映るのは当然、天使ちゃん自身の姿――。
金髪ロングの髪の毛。
淡く発光する天使リング。
そして、汚れ一つない白のワンピース。
「あ、悪魔ちゃんにやられた傷が治っているのです!」
それどころか、服も修繕されている。
おかしい。
なんせ、天使ちゃんは捕虜なのだ。
こんな扱いをする理由は――。
(っ! そういえば、悪魔ちゃんは言っていたのです! わたしを堕天させてやるって……ま、まさか……そういう事なのです!?)
要するに。
これは堕天計画の一環の可能性があるのだ。
「も、もう甘やかしは始まっている!?」
そういえば、この部屋はやたらと綺麗だ。
埃一つ落ちていない。
これでは天使の日課。
お掃除をすることが出来ない。
「い、いったいどうすればいいのですか……」
などなど。
天使ちゃんが焦り始めたその時。
ガチャッ。
と、扉が開く音が聞こえてくるのだった。