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ファウストパトローネ  作者: 喜右衛門
異世界紀行
72/317

奴隷兵士

155……。

あう……。

減ったか。


仕方無い。



でもまだまだ読んでくれる人は居ると……頑張る。

有り難うみんな。


 さて今のこの状況はどうしたものかと広い駐車場を覗き見る。

 敵の姿は見えないのだが至る所で銃撃音が響いている。

 完全に戦場の真っ只中だ。


 俺達を巻き込んでの戦闘をしている2グループ、そのどちらにも肩入れする義理は無い。

 と言うよりも、どちらの標的はこちらのアンなのだから敵なのだ。

 そのまま敵同士で潰し合いをしていてくれた方がこちらとしても有難い。

 だからと言ってただ見ているだけは許してくれないようだ。

 隠れていた車のサイドウインドウが砕け飛ぶ。

 流れ弾かそれとも狙われてかの判断に悩む弾筋だ。

 いったん下がるか。

 ここは隠れる所が多過ぎる。

 どうせ狙われるのなら広くて見通しの良い道路で迎え撃つ方がプーマが有る俺達には有利な筈だ。

 何より敵が見える。

 今の処は銃声の連続音しか聞かれない。

 片方の武器はその音からしてstg44の様だ。

 もう片方はわからない……銃ではなくて魔法なのかも知れない。


 『みんな、一度下がって道路で迎え撃て』

 アンを引き連れて、姿勢を低くして列なる車の横を走り抜ける。

 ほぼ満車のガレージはまるで塹壕のようだ。

 

 『駄目、エレン達が突っ込んだ』

 エルの叫びだ。


 さっきからの銃声はエレン達なのか?

 双方で同じ武器を使っているのか。

 

 『私達は大丈夫、もう何人か倒した』

 エレンだ。


 『バルタ、そこから狙えるか?』

 この状況で敵と味方の区別が着くか?


 『銃の音が同じ……』

 同じ銃では区別が着かないのか。


 『みんな、安全な所に隠れて銃を止めろ』


 『わかった、ちょっと待って』


 その間もお俺達は移動を続ける。

 流石に広いと言ってもショッピングモールのガレージだ、普通に走れば数分も掛かる筈も無いのだが、見えない敵と弾を避けての移動はそんなにスムーズにはいかない。

 

 『止めるよ!……今!』

 エレン達が同時に叫んだ。


 だが、銃声はまだ聞こえる。

 それが敵の音だ。


 『撃ちます!』

 バルタが叫ぶと同時にプーマの5cm砲が火を吹いた。

 爆音と同時に数台の車が跳ねる。

 位置は出口側スロープの近く。

 1つのグループはそこか。

 『もう一発、いきます!』

 次弾が速い、ゴーレムが装填している筈だが、普段の見た目からは想像し難い速さだ。

 さっきの場所から少しだけズレた位置に着弾した様だ、また車が飛ばされている。

 

 『突撃するよ!』

 エレンが叫ぶ。

 『私は左から回る!』

 アンナか?

 『じゃあ私、右ね』

 ネーヴだろう。

 

 あの三人には敵が見えているようだ。

 『無理に突っ込むなよ、支援はバルタに任せろ』

 もう下がれとは言わない。

 この戦場を見るに、そちらの方が危ない。

 支援砲撃が出来る今の有利な状況では敵を無力化させた方が良さそうだ。


 と、何処からか車を飛び越えて鉄の缶詰の様なモノが飛んできて足下に転がる。

 その缶詰、木の棒が刺さっている。

 ポテトマッシャー、24型柄付手榴弾だ。

 それを横の車の下へ慌てて蹴飛ばして、アンを抱えてその反対の車のボンネットに転がる。

 「きゃ!」と、アン。

 ほぼ同時に2つ向こうの車が跳ねた。

 だが、その行動は敵に姿を見せてしまった様だ。

 少し離れた場所で鉄のヘルメットを被った数人が立ち上がりこちらに銃を向けた。

 その為りは完全にドイツ兵士、それも第二次世界大戦の歩兵そのものだった。

 素早く体を捻りもう一度車の影に……。

 だが、それが間に合う筈も無い。

 撃たれたと覚悟を決めたのだが、予想に反して銃の弾を弾く甲高い音が響いてきた。

 何が起こったのかと、隠れた先から確認すると。

 間に盾を持った冒険者が居た。

 フルプレートアーマーの冒険者のリーダーと名乗った男だ。

 

 俺がその男を見咎めたその瞬間に。

 先に男が叫ぶ。

 「早く逃げろ」


 「味方か?」

 逃げる体勢に成りながらに男に声を掛ける。


 それに反応して叫び返すフルプレートアーマー。

 「そうだ! だから逃げろ」


 それを信用するかしないかは別にして、今は助かったのは事実だ。

 『冒険者は撃つな!』

 盾の冒険者から目を切って。

 『でも、見付けても警戒は怠るな!』


 『そんなの誰か誰だかわかんないよ』

 最前線に立つエレンだ。


 『敵は、鉄の黒いヘルメットが目印だ』


 『わかった』

 『それなら目の前のコイツらだね』

 『もうじき全滅だ』

 笑っている様にも聞こえた。

 人の命随分と軽く為っている。

 だが、それが戦場なのだと知っている、人の命はガソリンよりも軽いのだ……だから腐った死体はガソリンと同じく水に浮く。


 『油断して……撃たれるなよ』

 その軽い命は敵も見方も同じだ。

 だけど知った人間が死ぬのは腹が立つ。

 俺の身内で可愛い子供達なら尚更だ。

 その先は考えたくもない。


 俺は、フルプレートアーマーを軸に回り込みドイツ兵擬きの背後を取った。

 そいつは目の前の盾に夢中らしい、こちらに気付いていない。

 まあ、確かにそうだろう撃っても撃っても弾が跳ね返されるのだから、気に為らない方がおかしい。

 俺は後ろからソイツをmp-40で撃った。

 驚いて振り向いたその兵士の目からはすぐに光が消えてその場に倒れ込む。

 別の所でも同じ音がする。

 いつの間にかに居なくなっていたアンが戻ってきた。

 「あと何人だ?」


 俺は頷いて倒した兵士から装備を奪う。

 stg44……。

 24型柄付手榴弾……。

 カンプピストルも持っていた。


 せれぞれを強く握る。

 正解は最後に握った細身のトレンチナイフの様だった。

 意識が流れ込んでくる。

 

 ……。

 何処かの農村風景だった。

 男は、他の兵士と一緒に歩いている。

 軍隊の行軍のようだ、男の横……農道の中央を戦車が列を成していた。

 3号戦車に2号戦車も見られる。

 列を辿れば4号も見れるのだろうか?

 男は装甲擲弾兵だったのだが徒歩で歩いている。

 この部隊に配属されたトラック為りの車両が足りていないのだろう。

 装甲擲弾兵が歩きなんて……そうぼやく隣の兵士とは違って、男は逆に喜んでいた。

 車両に乗れば速いかも知れないが、それは戦場に早く着くと言う事だ。

 男は兵士には成ったが、それは国を守りたいとか戦争をしたいとかでは無く、端に仕事が無かっただけだ。

 手っ取り早い就職だったのだ。

 飯付で金を使う事もない兵士なら、給料はそのままだ。

 そして男には四人の子供も居た、国はその生活費を援助してもくれる、月に50ドイツマルクにプラスして男の給料の25パーセントが妻に届く。

 死ねばそこで終わりだが、生きてさえ居ればそれがズッとだ。

 なので、戦場には遅く着いた方が良いのだ。

 そんなだから総統に対しての思い入れもない、だから男は煙草を咥えている。

 回りを見れば殆どの兵士が煙草を吹かしていた。

 前に居る若い兵士は、友達の兄貴が志願したので俺もと手を上げただけのようだし。

 その隣は、女から逃げるのに軍隊に入ったと言っていた。

 別の男は、結婚をする条件に軍隊に入れと女の親に言われたそうだ、その女の家はドイツ労働者党の熱烈な支持者だったそうだ……ナチ党の支持者なんて録なもんじゃ無いと思うが、惚れたのなら仕方無い事なのかも知れない、苦労しそうな奴だ。


 「虹か?」

 何処からか声が聞こえてくる。

 男は、それに答える様に空を仰ぎ見た。

 七色の光が空全体を覆っている。

 「オーロラってヤツだ」

 誰かがそう言ったが……それは違うと男は首を捻る。

 「ソ連の新兵器かも……」

 そんな不安そうな声も聞こえてきた。

 まさか……と、笑った男。

 七色の光に包まれて居るのに、別段体がおかしく成ったわけでもない。

 ピンピンして生きている。


 だが、次の瞬間心臓が掴まれる痛みと共に世界の色が変わった。

 何が起こったのかはわからないうちに意識がプツリと切れた。


 次に目覚めた時には、背の低い妙な格好の男達に囲まれていた。

 そして、何故だかその男達に逆らえないと心が叫んでいる。

 

 その背の低い男達の一人が、普通の黒い服を着た男に銀色のカード出して重ねている。

 その瞬間に逆らえないのは黒い服の男に変わった。

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