出発
108ポイントだ。
地味な話でも伸びるのか?
それとも地味過ぎて、後でまとめて読もうって感じかな?
どっちだろう?
妙なところで悩み出した作者であった。
ポイントが増えるのは無茶苦茶嬉しいのには違いないのだから素直に喜ぶだけで良い筈だ。
調子に乗んなよと、叱っておくことにしよう。
そしてポイントをくれた皆には有り難う。
明日も頑張る。
有り難う。
マンセルが戦車を庭に引っ張り出した。
「でも、この人数は乗れないぞ」
確かにそうだった。
子供達は9人。
俺にマンセルにアン……そしてジッとムーズを見る。
「私は行きませんわよ」
首を振ってくれたムーズ。
着いてくるなんて言われた日には、どう断ろうかと悩まなければいけなく為るところだった。
下手に連れていってしまえば絶対に爺さんに怒られるのは目に見えている。
「合計12人か……」
今度はアンをジッと見て。
「何処かの誰かが、俺達の馬車を穴だらけにして壊してしまったからな……」
その俺の言葉に子供達もジッとアンを見る。
「あれは不可抗力だ」
ブンブンと手を振って。
「それに穴だらけにしたのは武装した村人だ」
「それにしたってなあ」
今度はマンセルが。
「市民の財産を守るのも警察軍の仕事なのに……それを取り上げて壊すかね?」
「……グウ」
唸るアン。
「そのうちに返す積もりだ……上には報告してある」
嘘だとまるわかりだぞ。
最初の、グウってなんだ?
……。
まあ仕方無い。
「マンセル、荷車か何かは造れないのか?」
ベッドを造る時に、木工の技術も有ると言っていた筈だが。
「造れなくは無いが……直ぐには無理だな部品が足らん」
「そうか……困ったな」
「私は自分のバイクで行く」
アンは慌ててそう言った。
今の話の流れで自分も乗せろとは言えなく為ったか。
「それでも……」
指折り数えて。
「戦車に乗れるのは五人……詰めても7人ぐらいか……」
4人は溢れるな。
「どうしたものか?」
背中に乗っての移動は流石にシンドイだろう、それなりに遠いみたいだし。
「庭師に荷車を借りてあげましょうか?」
そのムーズの一言に一番に反応したのはアンだった。
「本当か! 有難い」
馬車の件でこれ以上責められたく無いと思ってなのだろうが。
やはり、わかりやすい。
ムーズの両手を掴みブンブンと振っていた。
「借りられるのなら有難いが……大丈夫なのか?」
俺は一人、別の心配をする。
爺さんに何か嫌味でも言われそうだと。
「大丈夫よ、シャロン家に貸したって言っておくわ」
ピタリと止まるアンの手。
「ちゃんと返してくれるんでしょう? アンお嬢様」
ニコリとアンを見る。
ムーズもやるな。
チラッと話を聞いていただけで。
俺達がアンで遊んでいるのを見抜いて、それに乗っかってきた。
「もちろんだとも……ムーズ様」
若干に引き吊っているぞ?
「それなら、さっき玄関前で見たあの豪華な馬車が良いなあ」
花音が甘えた声で。
ブンブンと首を振るアン。
驚いて声も出ないようだ。
まあ、そうだろう……花音が見たと言うのは最初に俺が乗せられた馬車だ。
あれを壊せば相当に高いだろうからな、おいそれとは行かないだろう。
「ムーズ御嬢様、御庭師の御方は何処にお出ででしょう?」
おかしな事に為ってしまっているアン。
ムーズの手を引いて庭の奥へと、そそくさと向う。
俺も流石に笑ってしまった。
庭師に敬語は必要が無いだろうに、あんたも貴族なんだから。
「お……ばっかりだったわね、最後の一言」
呆れ気味にエル。
「四回は付いて無かった? お」
花音は腹を抱えていた。
それを見かねてか。
「チョッとイジメ過ぎじゃあ無い?」
イナはそんな俺達をたしなめた。
「やり過ぎだと思うな、アンのお姉さんは基本……好い人よ」
エノもアンの味方のようだ。
と、いうよりもこの手の悪戯は二人とも嫌いな様だ。
そしてシッカリと自分の意見も言う11才だ。
いつの間にかに風呂から出てきて、隅っこでオロオロしていたバルタも見習うべきかも知れないぞ。
歳はバルタの方が歳上なのに……。
そして、ちゃんと身体は洗ったか?
やけに早いと思うのだが……。
……最年長の14才のバルタ君。
庭師が引っ張ってきてくれた荷馬車はこじんまりとした物だった。
俺が小学校で見たリヤカーと同じ形だ、それを少し大きく、もっと頑丈にした感じ。
庭師が使う物だから土とかもこれで運ぶのだろう、頑丈で当たり前か。
「では、お借りしますね」
ムーズが小さく会釈する。
庭師はそれに困惑しながらも大きくお辞儀をして去っていった。
「あれ? アンは?」エレンがハテナ顔。
「怒っちゃった?」アンナはアチャーって顔だ。
「帰っちゃた?」ネーヴはアリャーだ。
「……やり過ぎたかな」
面白い程に反応するのでついつい調子に乗ってしまったか?
「これは、皆で謝ろうか」
そうだな、誰もアンが悪いなんて思っていないんだから。
「いえ、玄関に置いていたバイクを取りに行かれましただけのようですが」
ムーズが三姉妹に答えて。
そこにバイクに乗ったアンが戻ってきた。
bmw,R75に股がるアンは様に成っている。
まだ少女では有るが美人なのは確かだ。
相変わらずにカッコいい。
ブルンと言わせて停まったアンに。
「ご免なさい」
全員で合唱だ。
それを聞いたアン。
「まだ言うか!」
謝れと勘違いをしてしまったか?
「もう謝っただろう」
力いっぱいに叫び出す。
「え!」
全員が互いに顔を見合わせて驚いた。
「何時、謝ったのかな? 気付かなかった」
首を傾げた。
うん、ここまでアンは誤魔化そうとはしたが謝ってはいないな。
美人で可愛くてカッコいいのだが……思い込みと変なプライドが邪魔してか素直さが曲がっている。
そのせいでか今一な感じに仕上がってしまっている。
弄りたく為るのも仕方無い。
それはアンよ自業自得だと、頷いた。
「荷車が繋がったぞ」
マンセルが大声で。
「出発するか」
もう十分に暇を潰せたし。
俺達は王都を出た。
戦車が荷車を引っ張り、そこに子供達が6人乗っている。
犬耳三姉妹と花音とエルとヴィーゼだ。
残りは戦車だ、バルタとタヌキ姉妹。
そして一人、バイクで着いて来るアン。
出しなにイナとエノが委員長的な発言を念話で飛ばして皆も反省。
アンで遊ぶのは禁止となった。
11才の子供に同情されるアンもどうかと思うが。
「アン! 疲れたら言えよ」
大声で戦車の上から叫ぶ。
長距離はバイクが一番に疲れるだろうから、それに合わせる積もりなのだが。
俺の叫びを聞いてバイクを横に寄せるアン。
うるさ過ぎて耳にまで届かない様だ。
念話が届かないのも不便だ。
だがその便利な念話が鬱陶しくもある。
『バイク……良いなあ』エレン。
『カッコいいな』アンナ。
『欲しいなあ』ネーヴ。
三姉妹がアンを見ながらにズッと言っている。
『さっきから、なぜにそれを念話だ』
『べつにー』
『意味は無いよ』
『心の声だよ』
『だったらちゃんとしまっておけ、駄々漏れだぞ』
『はーい』
返事は良いのだが、この会話自体が何回目かもわからないぐらいに延々と繰り返されている。
また暫くすれば言い出すのだろう。
まあ、退屈なのだから仕方無いのかも知れないが。
大都を出で街道を走って居るのだが、見えるのはズッと同じ景色の草原だ。
その上、エンジンの調子が上がらない戦車は遅すぎた。
元々そんなに速い乗り物でもないのに……今は自転車にも抜かれそうだ。
『マンセル……後、どのくらい掛かる?』
俺もやっぱり退屈だ。
『まだ街を出て半日も立ってませんよ……まだまだ先です』
『……そうか』
俺も同じ会話を繰り返していた。
『皆……ウザイわよ』
今まで黙っていたエルが遂にキレた。
『ヴィーゼを見習いなさい、大人しくしているじゃない』
指差すヴィーゼは床に大股開きの大の字だ。
『いや……寝ているだけだし』
花音が突っ込む。
『こんなガッタガッタの振動でよく寝れるね』
『ホント、乗り心地悪いよね』
『椅子も無いもんね』
三姉妹の愚痴。
『仕方無いだろう荷車なんだから、椅子もサスペンションも無いよ……揺れて当然だ』
誰もマンセルを責めてはいないのだが……乗り心地と言われれば自分に言われているのかと思ってしまうのか。
わからんでも無いが、気にし過ぎだろう?
等と考えていると、それは俺に対してもかも知れないと思ってしまう。
『まだ舗装路の上だから増しな方だと思うぞ』
一応の返答。
それは俺のせいじゃないとのアピールだ。
『はあ……』イナの溜め息が聞こえる。
『バルタ……なんか居ない?』エノの呟き。
『うーん』
耳をピクピクさせたバルタ。
『右の丘の手前に魔物が居るね……小さいけど』
『それだ!』
『狩って行こう』
『食べられる?』
『晩御飯?』
口々に叫び出す。
それに最後はヴィーゼが反応した。
起きて間なしの顔で。
『食べる……』
瞼を擦りながら。




