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ファウストパトローネ  作者: 喜右衛門
異世界の子供達
42/317

戦闘準備開始

62ポイントに増えている。

またまた増えている。

ヨーーシって感じだ。


もう既に前作を越えている。

文字数もだけど。

それがまた嬉しい。


ありがとう。

みんな。


まだまだやれるぞー。

やるぞー。


 俺とエルとヴィーゼだけが残された客室。

 そこから覗ける外の景色にはまだ襲ってくるトラックは映らない。

 必死に逃げている列車のスピードはそこそこは出ているのだろうから、これに追い付けるには相当数のスピードが必要だろう。

 外は舗装されてない草原なのだから、追いかけるのがトラックで有るなら追い付ける筈も無いのだが……。

 今まで見掛けていた、大戦中の物ならばだ。

 だが、実際にジリジリとだが追い付いて来ている。

 その答えは……多分……。


 『うわ!』

 バルタの叫びの念話が頭に響く。

 

 『どうした?』

 俺もエルを経由した念話を飛ばした。

 

 『物置きみたいな車両を越えたら、目の前に大きいゴーレムさんが座ってた』


 良くわからない表現だが、要約すると。

 箱型の貨車、多分客車と同じような形の中身が無いバージョンか? を、越えて連結の部分の扉を開けたら……これはさっきチラッと見えたが車両の端はバルコニーの様な形で鉄の柵が合った、その真ん中が切れていて鉄の板が渡して有るだけの形。

 つまりは次の車両に移るにはその剥き出しの鉄の板を越えなければいけない。

 そして、バルタ達は次の車両が平台車のところまで来れたのだが、その平台車の上に、たぶん駅で見たゴーレムだと思うが、が座っていたと……。


 『越えられそうか?』

 想像するに、横を抜けれる?


 『大丈夫だ、ソイツは整備の為に載せているゴーレムだから人に危害は加えない』

 マンセルが返事をくれる。


 『ゴーレムが整備なのか?』

 そうゆうのはドワーフの仕事では?


 『列車を押したり、引いたり、持ち上げたり……俺達ドワーフの仕事の補助だ』


 成る程……重機かジャッキみたいなモノか。

 

 『一声挨拶すれば端まで運んでくれるよ』

 マンセルが笑う。

 『戦車はその次の車両だ、なんならそこまで運んで貰え』


 『バルタはそうして、私達は面倒だから走るよ』

 エレンが代表して言った。

 残りの二人は頷く声だけ。

 

 「走るって! 危ないだろう』

 念話なのだが思わず声まで出てしまった。


 『大丈夫……ってかもう走ってるよ』

 『バルタ、摘ままれてるね……笑っちゃうブラーンって為ってる』

 『でも結構、荷物って有るんだね……ここに有るって事は濡れても良いヤツでしょう? アスレチック見たいで面白いけど』

 三人共、楽しんでやがる。


 「ほっとけば大丈夫よ」

 俺の服を引っ張ったエルは肩を竦めて見せた。


 『到着!』

 『おっちゃん銃は?』

 『私達の突撃ライフル!』

 『そこだ』

 『ありがとう』

 『待ってぇ』

 『遅いよバルタ』

 

 『いっぺんに喋るな!』

 少しだけイラっとさせられた、誰が誰だかわからなくなるだろう。

 『それに、銃ってなんだ! マンセル絶対に渡すなよ!』


 『もう持って行っちまったよ』


 『何処へだ』


 『前に行ったな』

 ゴソゴソと動いている様子?

 『一般客の車両の後ろの連結部分の鉄の柵に飛び付いているぞ』

 戦車から頭を出して覗いたようだ。

 『ビックリする運動神経だな猿みたいだ……あ! 犬か!』

 

 『うわ! おっちゃんが失礼な事言ってる』

 『猿は無いよね』

 『犬は良いけど』


 良いんだ!

 じゃなくて。

 『何をするつもりだ』


 『ここから撃つ』

 『後ろは兵隊さんが居たけど』

 『こっちは普通の人達だもんね、守ってあげなきゃあ』


 『危ないだろう、そんな事をする必要は無い! 全部、国防警察軍の兵士に任せとけ! お前らは大人しく戻ってこい』

 

 『でも……もう戻れそうに無いよ』

 『戦車の後ろにゴーレムが座り込んじゃってる』

 『私達の通れる隙間は無いよね? あれ』


 『それにもう時間も無いようだぞ』

 マンセルが割って入って。

 『バルタあれだろう?』


 『あれですね、2台ですね』

 バルタがなにやら動きながらに。

 『撃っても良いですか?』

 砲塔に潜り込んでいたのか。


 『まだ撃つな、アンに了解は貰っていない』

 これ以上やり過ぎると、もう釈放自体が無くなりそうだ。

 『エレン、アンナ、ネーヴ、お前立ちもだ! いいな』


 「何を一人でジタンダ踏んでいるんだ?」

 そのアンが部屋に戻ってきた。


 「いや……」

 一瞬の驚きと、そのあとに丁度いいタイミングだとの感情が合わさる。

 「今、子供達が戦車に居るのだが、撃ってもいいか?」


 ぐるりと客室の中を見渡して。

 「駄目に決まっているだろう」


 『見える所にまで来たぞ』

 マンセルが教えてくれた。

 

 俺はその通りに窓の外を覗く。

 「やはりか、奴等いい車に乗ってやがる」

 少し古いアメリカ製のトラック。

 それはもとの世界でも普通に中古車として並んでいてもおかしくない形をしていた。

 今乗っている列車から見ればはるかに未来の車だ。

 200か300馬力は出ているだろう。

 追い付いて当然だ。

 「あれを引き離すのは無理だぞ」

 

 「そのようだな」

 アンも窓に寄り覗き込みながらに。

 「だが、その対処は私達がする」


 そうこうとしているうちにトラックは一気に近付いてきた。

 今までは線路から距離を離して、遠巻きに後ろを追いかけていたのが、斜めに加速してこちらに寄り列車の真横に着ける。

 そうなれば射程内だ奴等の撃った銃の弾が列車にスパスパと穴を空けていく。

 こちらからの応戦も激しくは成ったのだが相手には当たっていないようだ。

 どうも、銃が違う。

 こちらの警察軍は相変わらずのmp-40……有効射程距離は100メートル。

 だが撃ってきている列車強盗達はstg44……有効射程距離は300メートル。

 「奴等の装備はstg44のようだな?」

 親衛隊が装備していた物だ。

 チラリとアンを見た。


 だがアンは何も反応は返さない。

 不自然な程にも感じる反応だ。

 初めからわかっていて、俺に覚らせまいとの態度か。


 「あれに対処は?」

 射程が三倍も違えば一方的だろう。


 「別に用意は無い」

 事も無げにさらりと。

 「こちらは列車だこのまま永遠と走り続けられる、奴等は性能は良くても所詮は車、操縦する者かエンジンかのどちらかの限界がくれば振り切れる」


 「相手には好きに撃たせるが、近付けさせなければそれで良いという事か」

 

 「貴方も言っていたろう?」

 頷いて。

 「列車強盗の対応は停まらない事だと」


 目の前の硝子にヒビが入った。

 見れば上の方を斜めに穴が複数つたっている。


 「危ないな出来るだけ真ん中に寄って低くしていろ」

 アンが俺を窓から引き剥がして。

 「角度的にそこならそうそう当たらない」

 部屋の中央に寄ってしゃがみこむ。


 この古い列車は外壁が木と薄い鉄で出来ている。

 簡単な銃でも穴は空く。

 だが床はしっかりととした鉄の台車だ、したからは通すのは無理だろう。

 そして、撃ってくるトラックよりも列車の床の方が高い。

 射手がトラックの荷台に立てば其なりの高さはとれるだろうが、あれだけのスピードで平らで無い草原を走るのだ、しゃがんででも撃てるだけ凄い事なのにやはり立つのは無理だろう。

 なら、銃の弾の射線は低い所からだ。

 

 と、奥から見える窓の外にシュルシュルと音を立てて煙の線を引きながら低い所の俺達の頭上にと上がっていくモノが見えた。

 すぐにパッと周囲が明るく成る。


 「照明弾?」

 良くわからないとアンが首を捻る。

 それはそうだろう昼日中に照明弾の灯りは不要だ。

 だが、それは火薬でも有る。


 「不味いぞ」

 ボソッと呟いた。

 「あれを水平撃ちする積もりだ」


 「なぜ?」

 

 「迫撃砲の変わりだ、あれが直撃すればこの車両の半分は火だるまだ」

 名前は何だっただろうか?

 記憶が曖昧だ。

 記憶か? では無いのか。

 そんなモノは本来知らない。

 だが、薄くボンヤリと形が頭に浮かぶ。


 「不味いじゃないか!」

 叫んで飛び起きたアン。

 

 だからそう言ったろう。

 「どうする?」

 立ち上がったアンを床に引き戻して。

 「射程距離は200メートルもないし、それに命中精度は無茶苦茶だが……数を撃たれればそのうちに当たるだろう」

 一発でも当たれば、そこを足掛かりに近付くなり……。

 最悪は乗り込んで来るだろう。

 

 「これではもう、ただ逃げていてはじり貧だぞ」

 しゃがみこんで唸りを上げているアンの肩を叩いた。

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