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ファウストパトローネ  作者: 喜右衛門
異世界の子供達
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騒動

ポイントが54に成っていた。

また上がっている。

単純にとても嬉しい。


書いててとても励みに成る。

だが慌てるな……ペースを守るんだと自分に言い聞かせる。

話の続きが次々と頭に出て来てしまうのだ。

が、決してペースを変えてはイケナイのは良くわかっている。

雑に、ダイジェストの様にはしてはイケナイのだ。

だが、ドンドン浮かぶ話は次に繋げれば良いのだ。


と、嬉しすぎて少し焦ってしまった作者であった。


ありがとう!

みんな!


まだまだ頑張る!


 翌朝、アンの叫びで叩き起こされた。

 何時の間にかに日も登り、列車も動き始めている。


 寝惚けた眼を擦りながらにアンを見る。

 「なに? どうした?」


 その俺を、アンが震える指で差しながらに。

 「なにをしているの! していたの!」

 寝起きに耳にキンキンと響くかな切り声。

 今起きたのだろう、髪の毛がボサボサで、光沢の有る柔らかそうな寝間着もヨレて歪んでいる。

 

 ん?

 何事だ?

 と、あまりの剣幕に驚き俺は体を起こす。

 そのとたんに腕から何かがゴロリと転がった。

 はて? と、見ればエレン? それともアンナ? ネーヴかもしれない。

 とにかく犬耳三姉妹のうちの一人。

 正確には俺のベッドにはその三姉妹が居て、転がったのがそのうちの一人。

 ベットにはもう一人居た、バルタだ。

 足元に丸まって寝ている。

 俺が寝ている間に勝手に潜り込んで来たようだ。

 だが、アンが狼狽えているのはただ一緒に寝ている事だけでは無いのは一目でわかる。

 この四人……全員が裸だ。

 辛うじて下着は着けているのがまだ救いだが、しかしイキナリこれを見ればアンも驚くのは仕方無い。


 「お前ら……なんで裸だ」


 「ふえ?」

 寝惚けたバルタ。


 「なんで人の寝床に入ってくる!」 

 とにかく叩き起こした。

 「バルタはなんで丸まっているんだ!」 


 「それは、バルタの何時もの寝相よ」

 一つ上の段に寝ていたのであろうエルが首だけを出して答えて。

 「おはよう」

 と、何事もなくに挨拶をする。

 首だけしか見えないが、エルも明らかに裸だ。


 「お前もか……」


 「何が?」


 「だから……なぜに裸だ?」


 「だって、エルちゃんが服を着たまま寝るとシワに為るからって」

 両目を擦りながらにヴィーゼがアンの背後から起き出してくる。

 もちろん裸だ。


 それにアンが反応した。

 「ぎゃあ!」

 自身の背中で寝ていたヴィーゼに気付いて居なかった様だ。


 「わかったから……もう服を着ろ」

 犬耳の三姉妹、バルタ、エル、ヴィーゼ、其々を指差して。

 朝から騒がしい。

 「イナとエノもだ!」

 まだ見ては居ないが、どうせ二人も裸なのだろう。

 

 「花音ちゃんは?」

 ヴィーゼがモゾモゾと服を着だした。


 「花音もか!」

 何処に寝ているのかはわからんが、叫ぶ。

 「全員! 服を着ろ」

 

 

 一騒動の後は朝食。

 パンとスープのみだが。

 子供達は騒がしくガッついていた。

 

 「さっきは済まなかった」

 アンが謝罪する。

 「寝起きで驚いて、つい大きな声を上げてしまった」


 「いや、謝るのはこちらだ……子供達が失礼な事をしたんだ」

 他人の居る所で裸は駄目だ。

 特にヴィーゼにはしっかりと注意だ。

 他人様の寝床に入ってはイケナイ!


 「いや、頭ではわかっていたんだ……この子達が裸に羞恥心を持っていない事を」

 

 ああ、そう言えば馬車で着替えるのを手伝って貰ったな。

 確かにあの時も裸で出てこようとしていた。


 「寝間着が無いのがイケナイのよ」

 パンを齧りながらにエルがボソッと。

 「着替えが無いんだから、仕方無いでしょう」

 

 「わかっている……俺が解放されたら買いに行こう」

 チラリとアンに視線を飛ばして。

 すべてはアンが悪いのだ。

 「だから、裸は恥ずかしいという事はいい加減に覚えてくれ」

 

 「私だって恥ずかしいわよ」

 ボソリと続ける。

 そのエルの呟きに、イナとエノも頷いていた。

 それ以外の子供達には耳にも入らない様だが。

 

 「獣人にも裸を見られると恥ずかしい種も居るんだな」


 「獣人は関係ないわ、あの子達限定よ」

 三姉妹とバルタとヴィーゼと花音を指すエル。


 指された花音。

 「私だって恥ずかしい……けど」

 うつむき。

 「服……臭いんだもん」

 顔が真っ赤に成る。

 「何日もおんなじ服着て、洗濯も出来ないし」


 「はいはい、わかったよ」

 右手でスープを啜りながら、左手のパンでアンを指して。

 「文句はアンに言ってくれ」

 さっきは俺も謝ったが、元をただせばやはりアンが悪い。


 「なぜ私?」

 パンを喉に詰まらせて。

 「騒いだのは謝ったでは無いか……」


 「俺を何時までも解放しないから、子供達の服も買いに行けないからだ」

 半分は冗談なのだが。

 子供達は全員がその冗談に乗っかり、アンをジッと見詰める。


 「それは……私のせいじゃない」

 子供達の圧に負けている。

 「貴方がやり過ぎるからだ」

 立ち上がって俺を指差して叫んだ。


 「食事中は騒がない」

 その態度にボソッと注意。

 「子供達が真似するだろう?」

 ほぼほぼ冗談で。


 「……ハイ」

 静かに座り直すアン。

 「ご免なさい」


 警察軍の司令官でも、元々は貴族で良いトコのお嬢さんだ、マナーで怒られるのには素直に従うのだろう。

 だが、目はブチブチと文句を言っている。


 と、そこにノックがした。

 チラリと俺に了解を求めるアン。

 ……だから、今は俺は捕まっている容疑者だ。

 ここの仕切りはあんただろうが。

 「呼んでいる様だぞ」

 

 小刻みに何度か頷いたアン。

 立ち上がり扉を開けた。

 訪ねて来たのは国防警察軍の兵士の一人の様だ。

 名前は知らないが顔は見た事が有る。

 もっとも、見知らぬ顔でもその制服でわかるのだが。

 その二人は扉から半身を出して小声で話をしていた。

 内容は聞こえない。

 

 俺はバルタを手招きして、顔を寄せる。

 「何の話だ?」


 少しビックリしたバルタ。

 「トラックが2台近付いて来るのですが……それに今、気付いたようです」

 バルタは既に気が付いて居たのか。

 「黙ってたわけじゃあ無いんです……言って良いのかわからなくて」


 チラリと俺は目線を落とす。

 手錠だからな。

 「伝える必要も無いだろう、トラブルに成りそうでも俺では何もできんしな」

 これ以上暴れるとまた解放が延びそうだ。

 「で、トラブルに成りそうか?」


 「わかんないです……武器は持っていますが、魔物対策かもしれないですし」

 

 『その話……なぜヒソヒソ話なの?』

 エルが突っ込む。

 

 『あ! 念話でも良かったか』

 それに頷いてバルタ。

 イキナリ直接に小声でと為ればそりゃ驚くな。

 どうもイマイチ慣れない。


 兵士との話を終えたアンが戻って、黙って朝食の続きを始める。

 少し考え事をしている様にも見える。

 扉は開け放たれて固定されていた。

 客車内の他の声も雑音混じりに部屋に入ってくる。

 内容迄は俺では無理だが、バルタの耳がピクピクと反応しているので聞き分けられて居るのだろう。

 『一応は警戒をするそうです』

 バルタからの念話だ。

 

 「ときにアン、聞きたい事が有るのだが」

 パンを齧りながらに軽い調子で。

 

 それに反応して俺に目線を送るアン。

 その目はさっき迄とは違って司令官の目だ。

 「なんだ?」

 短く答える。


 「列車強盗とかは良く有るのか?」

 スープを啜り。


 アンが食事を止めた、中途半端にパンとスープを持ちながら。

 「良く有る事だ」


 「なら、ヤッパリ何が有っても列車は停めないってのは常識なのだろう?」

 冒険者達の芸と料理と夜は停めていたみたいだが。


 「もちろんだ」

 値踏みする目だ。


 「何かが来るようだな?」

 扉を指して。

 「チラリと聞こえたのだが」


 眉間にシワが寄るアン。

 聴こえないように注意はしていたのだろう。

 実際に俺には聞こえなかったが。


 「心配は無い」

 しくじったと顔には出ている。


 俺の横に何時の間にかに移動をしたバルタが袖を引っ張り。

 『武器を取り出した様です、そんな音が混じってます』

 念話で告げる。

 もちろんアンには聞こえない。

 『加速して……ドンドン近付いて来ます』


 『わかった……暫くは様子見だ、みんなも気付いて無い振りをしておけよ』

 子供達を見渡したのだが。

 もう既に理解していた様だ。

 アレだけ騒がしくしていたのに静かに座って居る。

 食事も中断して指示さえくれれば何時でも動けると、そんな格好になっていた。

 その緊張感は隠せない様だが、それに気付ける程にはアンに余裕は無さそうだ。

 仮に気付かれても、アンが何か緊張している様なのでそれが伝染したとでも言い訳が出来そうな雰囲気でもある。


 まあ……大事に成らなければそれで良いのだが。

 との俺の考えに被せる様に銃声が響いた。

 『今のを撃ったのはどっちだ?』

 バルタに向けて。


 『追って来るトラックの方です』

 

 俺の口許が曲がる。

 「始まってしまったか」

 同時に向かいのアンは部屋を飛び出した。

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