駅
おおおお!
46ポイントだ!
だが、今日はあまり喜んでも居られない。
ギリギリだった。
もう少しで書ききれないところだ。
油断した!
危なかった~。
でも、日刊だとこう言う事もあるよね。
前の時も何回か有ったし、雑に成ってしまう部分が気に為るのだけれど。
それよりも毎日見てくれている人の為にも、まずは書かないとね。
雑な部分は後でも直せる。
と、作者は言い訳をしてみた。
ポイント!
ありがとうう!
俺は色んな人で溢れ帰る駅のホームに居た。
この街の外れに在る唯一の駅らしいそこ。
もちろん側には子供達も居る。
……アンもだが。
そして、俺の両手はヤッパリ繋がれたままだ。
移動はアンの監視付きで列車だそうだ。
「汽車だね」
花音が指差している。
多分、本物を見るのは初めてなのだろう。
目の前の蒸気機関車に目をキラキラとさせている。
花音は、もちろん写真も撮る。
撮り鉄さながらに、前から横から後ろからパシャリパシャリと走り回っていた。
将来は鉄オタか?
しかし、不思議な景色だ。
真新しい白いレンガの建物と木とコンクリートの駅。
ここまで来るまでに見掛けた街中も同じ様な造り。
近代的と迄は言わないが、それでも複数階の建物が密集していて、そこに居る人々の中には金属製の鎧や剣や盾、それに槍も弓も……そんな装備の者が普通に見掛けられる。
銃や戦車が有るのに、それにどおいう意味がと思うのだが。
その上で子供がやたらと多い。
男女比でも明らかに男が多い。
そして、その者達の身分が一目でわかる、服装でだ。
明らかに身分の有る服装。
シンプルだが小綺麗な服装。
汚いが服を着た者。
汚い布切れだけを纏った者。
それは上から貴族、自由民、不自由民か解放奴隷、そして奴隷もしくは無国籍人……獣人でも亜人でも無いのに非人ってやつか?
呼び名と分類はわからないが、そこには明らかに階級の身分が存在している様だ。
異世界のファンタジーと言うよりも……嫌な感じの中世ヨーロッパだ。
国民の殆どに夢と希望を持つ事さえ許されない、そんな感じに見える。
それが狭い町中に密集していた。
一歩、出れば何もない草原なのに、何故にわざわざ街に集まるのかがわからない。
魔物のせいか?
そんなに頻繁に出てくるモノでも無さそうだが。
その危険よりも、無国籍の非人のレベルではまともに生活も出来ないだろう。
人扱いをされているのかも怪しい。
それなら街から離れて暮らしても良いのでは? と、思うのだが。
それでも集まらなければいけない、何か理由が有るのか?
サッパリわからない。
所々に見える、そんな遅れた文明。
その中に蒸気機関車。
鉄道まで在る。
召喚されたダンジョンと俺みたいな転生者が適当な知識と道具を広めて、このいびつなパッチワークの様な感じが出来上がったのだろうか?
中途半端な知識が文化として為る前に、その便利さで無理矢理に広まった?
多分そうなのだろう。
それも、それぞれの転生者の自分にとってだけ都合の良い知識だけをよってたかっての事の結果か。
ここが王都と違って田舎の方の地方都市だから余計にそう見えるのかもしれない。
王都の様な中央に行けば、もしかするとそんな違和感等も感じないのかも。
それでも剣と魔法の異世界では無いのは確かだが……いや、元はそうだったのかも、か。
俺達の目的地はその王都だ。
行けばそれも確かめられるだろう。
そして、今は乗車の準備を待っている。
その手配をしているのはマンセル。
「なんとか成ったよ」
そう言ってこちらにやってくるマンセル。
戦車を汽車に載せる段取りをしていたのだ。
「それなりの金額だがそれでも随分とまけさせたし、これで納得してくれ」
そう言って俺にカードを示す。
今は、その俺のカードはマンセルが管理している。
容疑者扱いの俺ではそれは使えないからだ。
そして鉄道を仕切って居るのはドワーフだと言うのも有り、マンセルが交渉に行ったのだ。
線路もそれ事態が鉄だし、蒸気機関車も鉄の塊だ。
それらを管理するにはドワーフの方が効率が良いのだそうだ。
線路を敷くのもドワーフだと矢鱈に早いらしい。
そんなわけで駅の管理は人間だが、鉄道はドワーフなのだ。
それはドワーフの地位をほんの少しだが保証をしてくれている、大事な要因でも有るらしい。
亜人であるドワーフが人間の非人よりもましに生きていけるその一番の理由だ。
「じゃあワシは積込を手伝ってくる」
そう言ってすぐに離れるマンセル。
積み込み自分でやると言う条件でも飲んだのだろう。
人が普通に戦車を運べばベラボウな金額に為るらしいからだ。
マンセルが見えなくなると。
今度は汽車の後ろに客車が1輛押されて来た。
俺達が乗る機関車の最後尾に付けられる。
押してきたのは三メートル程の背丈の石の人形……見たままにゴーレムと言うものだろうそれ。
「うわ! 今度はゴーレム?」
花音が写真を撮る。
「単純な力仕事はゴーレムがやるのだ」
花音の疑問にアンが答えている。
俺もそれに耳を向けている。
「人が扱うには特殊なスキルが必要だが、亜人と獣人の一部ではそれも必要無くて良いからドワーフ達が良く使っている」
「人は駄目なの?」
「特殊能力である共感力の差だ」
「じゃあ、バルタ達は使えるのかな?」
俺の後ろで固まっている獣人の子供達を指差して。
「一体くらいは……小型なら使えるんじゃあ無いかな?」
そこは明言はしないアン。
もしかすれば単に知らないだけか?
獣人の能力等に興味も無いか……。
それでも一応は答えようとしてくれている、獣人に対しての差別も無いと迄は言わないが、アンは少ない方なのだろう。
「錬金術師なら人でも造れるし、使えるよ」
「あ! なら私」
「花音ちゃんは錬金術師なんだ」
ふーんとアン。
「まだ、何にも出来ないけどね」
「学校には行ってないの?」
「小学校? ……ズッと休んじゃってる」
「しょうがっこう?」
首を捻るアン。
「錬金術師の学校じゃあないの?」
「この間迄は別のとこ……田舎に住んで居たんだ」
アンの様子にマズイのかなと、誤魔化した俺。
「この街も大概に田舎だけど……」
やはり首を捻る。
「それよりも、王都に行くんだろう?」
話を変えて。
「ヤッパリ……遠いのか?」
「汽車の旅で10日程は掛かりますね」
「そんなにか!」
「ここは国のほぼ端ッコですからね」
仕方無いですよと首を振る。
「それは、退屈しそうだな」
俺も首を振る。
「何か暇潰しでも無いのか?」
手錠に繋がれた者が言うことでも無いのだろうが、取り敢えずは口にしてみる。
スッと指を指して。
「新聞か何かを買いますか?」
その指された先に人だかり。
良く良く見れば売店の様だ。
異世界のキヨスクか!
まさかそんなモノがと、目に入って居ても認識出来ていなかった。
「お菓子は有る?」
花音が無邪気に聞いた。
背中に固まって居た子供達がざわつく一言。
「有るよ」
明るいアンの答え。
背中に7人分の視線を感じた。
目の前の花音を足せば八人分だ、圧が凄い。
「買ってやるよ」
その瞬間に腕を取られて引っ張られる。
八人に下から。
「おい、おい」
これは、俺では無いアンだ。
手錠を掛けた者が勝手に動き回るなと、言いたいのだろう。
だがもう遅い、すぐそこの目の届く所に有るのだから多目に見ろとばかりに聞こえないフリを決め込んで歩く。
「おばちゃん、新聞をくれ」
キヨスクならおばちゃんだろう。
実際に売店にいたはおばちゃんだったし問題ない。
「それと、お菓子は……」
と、目を走らせるその前に子供達は、もう既に掴まえていた。
虹柄に捻った長い棒飴。
板チョコレート。
小瓶に入った練り飴。
缶に入った飴。
ブリキ缶のキャラメル?
棒状の揚げドーナツ?
モナカの様なもの。
ミカン。
裸の物は粗く茶色い紙に乗せてくれたおばちゃん、はいよとカードを出す。
個人のカードではないのだろうそれはレジの代わりか。
ふむ、ヤッパリ良くできていると、感心しながらに懐を探る。
上着のポケットを探る。
ズボンを叩く……。
……。
アンを見た。
「だから止めたのに……」
やれやれと近付いて代わりに払ってくれた。
さっきの、おい、はカードの事だったか。
俺は今は使えないし……そもそもマンセルに預けている。
「すまん」
情けない。
「釈放されたら返すよ」
「いいよ、奢っとく」
俺の溜め息と汽車の汽笛が同時に出た。
「もう、乗れそうだ」
アンが俺を引っ張って最後尾の客車に乗り込んだ。
子供達も口の回りをベタベタにしながら着いてくる。
口にお菓子が詰まっているので静かで良いのだが……良いとこの子には見えないだろう。
別に良いんだけどね。




