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ファウストパトローネ  作者: 喜右衛門
異世界の子供達
33/317

国防警察軍の援軍

今日も増えてた!

今のポイントは38p


毎日増えるのを見るのは本当に嬉しい。


みんなから貰えるモチベーションがこんなに励みに成るなんて、書いてて良かった。

もっと上手く、面白くを目指す!

明日もがんばる!



みんなありがとう!

 

 狭い路地を走り抜ける38(t)軽戦車。

 その後ろには追いかけるシャールb1,bis重戦車。

 そのシャールb1、後ろ向きのままで下がっている、狭い路地でのその大きな車体では回転が出来ないのだ。

 それで無くても遅いのにそれに輪を掛けて遅くなっている。

 だが、それでも砲はこちらに向けられて、危険で有る事は明白だ。


 もちろんこちらもただ黙って逃げているだけじゃあない。

 俺は火炎瓶を辺りに投げ付けて村を燃やしに掛かる。

 それで戦車を倒すのは無理でも、視界の邪魔は出来る筈だ。

 そして、戦車内でも子供達が忙しなくに動いていた。

 砲塔をイナとエノの力を借りて一生懸命に回しているバルタ。

 右に左に車体を振るマンセルと呼吸を合わせて撃っている。

 それが常に当たるのだ。


 そして、相手方の砲撃は今はとんでもない方向に飛んでいっている、やはりさっきので照準器が狂ったのだろう。 

 だが、それも慣れれば修正される。

 撃っていれば大体この辺りかとわかるように成るのだ。

 それはアメリカやイギリスの戦車の戦い方だった。

 適当な照準で撃ちズレを感覚でつかんで砲撃を近付けていって最後には当てるのだ。

 心理的には嫌な撃たれ方だ、真綿で首を絞められている様にも感じられる。

 少しずつでも、確実に狙いが良くなる砲撃はプレッシャーが凄い。


 急に戦車が斜めに傾いた。

 突然の事に驚く。

 視界の悪い戦車の中では何が起きても突然なのだ。

 先に指示していた深めの階段を斜めに掛け降りているようだった。

 横倒しに転覆しないかとヒヤリとさせられたのだが、マンセルの腕も相当なのはもう証明されている。

 操縦士としてその能力は本物だ。

 バルタだけが凄いわけじゃあ無い。

 狭い視界で見えていない所は予測と経験で補っている。

 それはカンで戦車を走らせているのだが、そのカンも決して外さない。

 それはこれ迄のマンセルの経験に裏付けされたものなのだろう。 

 しっかりと自身の操縦士としての連度を上げている。


 「敵を振り切るなよ」

 そんなマンセルに注文を着けた。

 「少しづつでもいいから、村の外に引っ張れ」


 「時間稼ぎにしか為らないじゃないか? いつか殺られるよ」

 泣き言だ。

 経験でわかっているのだ、このままじゃあ勝てないと。


 「その時間稼ぎだ」

 だが適当な事を言ってでも、やらせるしかない。

 「そのうちに国防警察軍の援軍が来る……それまで持ち堪えれば良いんだ」

 あまり……期待はしていないが。


 「それは、何時だよ」

 叫んだマンセル。


 「もうすぐだと思うよ」

 花音の声だ。

 「まだ、少し遠いけど……多分だあれだと思う」


 「見えたのか?」

 俺も思わず叫んだ。

 「規模は? 戦車は居るか?」


 「多分居る!」

 花音がそう告げる。

 「あの平べったいのがそうだと思う……小さいけど」


 「平べったい? 突撃戦車か駆逐戦車か! なら勝てる」

 そのどちらもサイズのわりに強力な砲を積んでいる。

 平べったいのは、その砲が大きすぎて回転砲塔に収まり切らないからだ。

 3号突撃戦車もヘッツァーも7.5cm砲だシャールb1を抜ける。

 小さいと聞いて想像するのはその2台のどちらかだ。

 多少の砲の違いは在るが、どちらにしたって貫通力は8cm以上。

 対してシャールb1は最大装甲厚が6cm。


 「それが三台居るよ、あとトラック一台と……バイクかな? が、いっぱい」


 「中隊規模か!」

 戦車三.四台が一つの小隊。

 機械化歩兵がトラック一.二台で一つの小隊。

 それにバイク歩兵部隊か。

 村一つにそれはやりすぎのような気もするが……今の俺達には心強い。


 「結構速いみたいだし、すぐに村に着くと思うよ……キャ!」


 「着いたら教えてくれ、そこに敵戦車を誘導する……キャ! ってなんだ?」

 最後のは可愛い子ぶってか? にしては変だ。

 そんな子では無かっただろうに?


 「大丈夫! エレン達が頑張ってるから」


 「……どういう事だ?」

 まさか……そこに敵兵が来たのか?


 「ちょっと撃たれてるだけ、誰も怪我はしてないし」


 ! なに!


 「さっきから五月蝿いの」

 

 「マンセル! 高台に迎え! シャールは後回しだ!」

 連絡が途切れ途切れだったのは、襲われていたからか!

 迂闊だった、まさか高台の方にも兵士を向けるとは。

 それをさせないために、砲撃と戦車で隠れて攻撃していたのに。

 戦力の分散と言う気を起こさせない為にだ。


 「大丈夫だよ、相手は一人だけだし……エレン達も勝てるって言ってる」

 花音が少し慌てたように返答を返してくる。

 俺達もギリギリで、その邪魔はしたくないとの思いなのだろう。


 逃げた奴か、はぐれた奴か?

 1対3にしたって、相手は銃を持っているんだろう!

 そして、こっちの3は子供だ!


 「急げ! マンセル」

 

 「急げって言われても、もうさっきから全速だよ」

 

 「なぜだ? こっちの戦車の方が速いだろうに」

 全速で逃げれば簡単に降りきれる筈じゃあないのか?


 「奴ら、建物の壁を壊してショートカットしてる、俺には抜けられる壁がわからん、その先がわからん」


 地の利か!

 ここは奴らの村だ、生活もしていた所だ。

 何処の壁が安全かも熟知している。

 かたやマンセルは目の前迄行って初めてソコが行けるかどうかを判断できる。

 はなからわかってソコに向かう者とでは速さが違うのか。

 

 「避けるので精一杯だ」


 「兎に角! 高台だ」


 だがこのまま敵戦車を引き連れてでは、それも危ない。

 

 「もう、村を抜ける……葡萄畑が見えた」

 それはつまりは隠れる建物がもう無いとの叫びか。


 「段差を使え!」

 段々畑の土手で砲の射線を切れ。


 「上か? 下か?」

 

 「……下だ! 奴より下を進め」

 奴等はもうコチラに攻撃の手段が無いのはわかっている筈だ。

 なら狙いやすい、見晴らしの良い上を選択する筈だ。

 俺達は、上に行ってもいい的に成るだけだ。

 奥へ隠れるスペースも無かった筈、それほど広くない棚田だ。

 形としては階段状の道が段差で区切って横に並んでいる感じだ。

 

 隠れる建物が無いなら、奴等もショートカットはもう出来ない。

 開けた畑では純粋にスピードの勝負だ、それならふりきれる。


 「だけど、それじゃあ高台から離れるぞ」

 マンセルも子供達を心配しているのだろう。

 高台に行くのに下に行っては遠回りだ。


 「もうここで倒してしまう」


 「策でも有るのか?」


 「葡萄畑は村の外れでもうここは丘の中腹だ、ドンパチやってれば気付いて貰えるかもしれない」


 「国防警察軍の戦車に狙撃を期待するわけか……」

 そんな他人任せでは、子供達の元にはいつに成るのか? 

 そう続けたいのだろう。


 それはわかっている。

 だから、もう少し積極的な策も有る。

 「花音、エレン達に無茶をするなと言っとけ、それとそこを離れろ……逃げるんだ」

 

 「わかった……あと援軍が村に入ったよ、アンと何か話してる」

 

 「到着したか、ならすぐに反攻作戦が始まるな村の制圧も近い」

 それは制限時間が付いたって事にもなる、花音達はそれまでの間を逃げ切れて居れば、それで勝ちだ。


 「でも……ヤッパリなんか、戦車が小さいよ」

 それは回転砲塔が無いからだ、だから高さはこの38(t)の軽戦車よりも少しだけ低い……。

 ……背の高さで大きい小さいと言っているんだよな?


 突然に轟音が戦車内に響いた。

 それが俺の思考を途切れさせる。

 「撃たれたのか?」

 マンセルに叫ぶ。

 

 「近くに奴らの主砲が着弾しただけだ」

 榴弾砲の爆風を浴びたか。

 それをちゃんと避けきったと言いたいのだろう、少しだけ冷静に返答を返すマンセル。

 それは諦めたか?

 それとも、さっきの策の話の途中で終わらせても俺が冷静に花音に指示を出していたから、その策を信用する気になったのか?

 多分、後者なのだろうな。

 やはり……やるしかないな。

 

 「バルタ、ヤツの位置がわかるか?」


 「はい、後方の一段高い棚田の縁を真っ直ぐに走っています」


 「ここら辺りは……高低差は確か、戦車1個半程度だったな」

 つまりは三メートル程だ。

 

 「マンセル、その段差の壁に寄せて……速度を緩めろ」

 一息置いて。

 「奴らを倒すぞ」

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― 新着の感想 ―
[良い点] プラガ38(t)でシャールb1を屠る 普通に考えるなら不可能と言い切れる しかし、創作物の中ならば、或いは・・・ [気になる点] 高低差を利用して策を弄する 天井をぶち抜く ドテッ腹に風…
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