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ファウストパトローネ  作者: 喜右衛門
異世界の戦争
168/317

本当の戦車戦

318ポイントか。

今日ものびないか……。


難しいな……。

何処が悪いのだろうか?

考えなければいけないか……。


うーん。


後……前作のダンジョンカードに感想が来た。

このファウストパトローネにも幾つかの感想が来ているけど……本当に嬉しい。

直接に返信はしないようにはしているけど……だって、ネタバレを書いてしまいそうで怖いから。

でも感想は本当に嬉しい。


有り難う。

読んでくれて、文字で返してくれるその手間は本当に面倒臭い事だとも思うのにそれでも書いてくれたのが本当に嬉しい。


みんな有り難う。

まだまだ頑張る。

また明日。



 後部から白い煙を吹き上げるt-70軽戦車。

 バルタの放った砲弾は後部のラジエーターを突き破りエンジンにまで達した様だ。

 完全に動きが停まる。

 だがそれで終わったわけではない。

 味方がやられたフェイク・エルフ軍、ほんの少しの時間差を空けてbt-7の2輌が飛び出して来た。


 そのタイムラグはわざとなのか、それとも味方……車格的にも行動を見ても、この3輌編成の戦車隊のリーダーだったモノがやられて慌てたのか、それはわからないが。

 しかし、そのタイミングのズレはこちらを慌てさせるに十分なフェイントとなった。


 倒したt-70の後ろ、地面の起伏に隠れていたbt-7の1輌が丘の上の頂点に現れてこちらを狙おうと砲を向けている。

 その右の一段奥にも残りの1輌のbt-7がヤハリこちらを狙っている。


 『避けろ」

 キューポラから半身を出して覗いて居た俺とその2つの砲とで目が合った気がしてとにかく叫ぶ。

 

 その叫びに緩み掛かっていたアクセルをもう一度踏み込むマンセル。

 38(t)軽戦車は倒した敵のt-70を盾にする形で丘を下る。


 『魔石弾入った」

 ハンナも叫ぶ。

 こちらも少し緩んだ様だ、再装填に何時もよりも時間が掛かっている。

 それはバルタも同じで今更ながらに砲を回転させていた。


 皆が緩む気持ちもわからんでは無い。

 面と向かって、敵戦車をマトモに倒したのは、このチームに為って初めての事だ。

 それに、今までは敵の砲弾を避ける事が最優先された。

 もちろん今だってそれの優先順位は高い、撃たれれば確実に穴を空けられる。

 だが、先に撃てさえすればそれが避けられるのだ。

 そして、それが出来た。

 やれると証明された事で気が緩む。

 同時に選択肢が今までは逃げる一択が、逃げるか撃つかの二択に為ったのも大きい……判断に時間が掛かっても居るのだ。

 それは俺も含めての事だった。

 何度か経験を積めばその判断も短い時間に詰められるのだろうが……初めての今回は目一杯の時間を掛けてしまっていた。

 

 『あ! 駄目」

 慌てているバルタの叫び。

 『射線が切れた」

 t-70がほぼ目の前に有る。

 

 『横をすり抜けろ」

 低い位置で建て直しだ。

 bt-7も下は狙えない。


 『戦車長! 頭を引っ込めて下さい、倒した戦車が何時爆発するかわからないですよ」

 俺の指示通りに横を抜ける進路を取っての忠告。

 真横で爆発されれば、戦車は無事でも乗り出している俺は吹き飛ばされるからだろう。

 まあ、殆どの火はハッチの都合で上に吹き上げるのだがそれでも多少は横に出る。

 その多少も気にするほどにギリギリを抜ける積もりの様だ。


 まあそれは運……なのだが、俺もその運に賭ける気は更々無い。

 ただ引っ込むだけでそれは賭けにも為らないのだから。

 と、出して体を支えて居た両腕を先に中に入れて身体事滑り込ませようとした……その時。

 チラリと目に入る。

 t-70の砲塔が動き始めている。


 『まだ生きているぞ」

 エンジンが焼けただけで砲塔も中の戦車兵も倒し切って居なかったか。

 俺達の戦車はもうほぼ横に来ている。

 『このまま通り過ぎれば後ろから撃たれる」

 

 バルタが叫んだ。

 『右!」

 砲塔を右に回転を始める。

 

 敵の砲塔は左回りに俺達を追い掛けてくる。

 動き初めの速さのせいか敵の砲の方が速い。


 『マンセル!」

 俺が叫ぶその一瞬早くに、右の履帯だけを止めたマンセル、アクセルは全開のままだ。

 バルタの叫びに先に反応していたのだろう。


 体を揺すって必死に砲塔回転ハンドルを回すバルタ。

 軽くは為ったがそれでも回転ハンドルだ回すスピードには物理的に限界が有る。

 それを補うマンセルの戦車の右旋回。

 スピードに乗っての急旋回なので戦車の車体は前に滑っっている。


 敵の砲が90度を過ぎようとしている、後半分の回せば俺達が的に為る。

 バルタとマンセルの共同作業でもまだ半分もいっていない。

 加速が付く分挽回は出来るが……どちらが速いかの勝負に為っている。

 『回せ回せ回せ!」

 俺の叫びがこだまする。


 その叫びを邪魔するかの様に砲弾が戦車の前に着弾した。

 bt-7の撃った弾だ。

 前に届くと言う事は敵も斜面を降りてきている。

 それを首を降って確認する。


 『気にするな! あれは当たらん」

 bt-7は狙う為に丘の頂点を越えて斜面に迄進み、それでもまだ前進を続けている。

 いや、勢い余って停まれ無いようだ完全に滑り落ちている。

 『もう一発来るがそれも当たらん!」

 もう1両も同じような状態。

 『奴等は新型の照準器を持っていない筈だ! 走行間射撃の命中率は25パーセント、早々当たるもんじゃあ無い」

 これが新型の照準器なら……それでも50パーセントだ。

 だが、本当のところ敵との距離が近い……この距離なら相当に命中率は上がっている筈だ。

 俺の叫びは気休め程度で運しだい。

 今撃った方の戦車は手前のヤツだ、砲から白い煙を立ち上げている。

 そちらはすぐには撃てないと決めてかかりもう1輌を睨み付けた。

 砲手と装填手があの小さい砲塔の中に横並びで配置されているのはこちらの34(t)と同じなのだが、向こうも砲手と車長は兼任だ。

 滑り留めの無い履帯は車体の向きを安定させ難い、詰まりは照準器のレンズから一度外れるとそのマトを探すのにも時間が掛かるし。

 そして、そんな滑って暴れる戦車では再装填にも時間が掛かる。


 後方の敵はその砲をこちらに向けていた。

 もう何時でも撃ってこれるコイツの一発を凌げればの話だ。

 その戦車ピタリと停止する。

 完全に狙われた!


 『マンセル! バックだ下がれ!」

 

 微調整を始めた敵戦車の砲。

 同士撃ちを嫌って躊躇したか?

 

 叫びと同時にガクンと揺れる38(t)。

 同時に叫んだバルタ。

 『撃ちます!」

 その言葉依りも先に砲が火を吹いていた。

 そちらの確認はせずにもう一度叫ぶ。


 『前進!」

 また大きく揺れる38(t)。

 急加速を始めたその後ろに敵の砲弾が着弾した。


 『バルタ砲を回せ! ハンナは再装填! 弾は何でもいい一番近いヤツを放り込め!」

 撃った砲塔は止まること無く回り続ける。

 『急げ! 次は当てられるぞ」

 俺の目線は最初のbt-7に移っている。

 後方に為ったt-70の確認は後回しだ。

 撃ってこないんだからバルタの勝ちの筈だ。

 

 敵戦車の砲が微妙に迷いが見えた。

 次弾は放り込めたが、俺達が照準器から外れたか?

 近過ぎてレンズの倍率が邪魔をしたのだろう。

 そう判断した俺は背中のルガーp08拳銃を抜いて構える。

 位置の確認に砲手兼戦車長が覗きに出てくるかも知れない。

 所詮は拳銃だが当たれば儲けものだ。

 

 だが覗きに出てくる迄も無くに砲が止まった。

 『撃て!」

 撃たれる!


 『まだもう少し!」

 バルタとハンナの返事はほぼ同時。

 

 その返事を聞かずに俺は拳銃を撃っていた。

 カンカンカンと軽い音で跳ね返される9mm弾。

 『衝撃に備えろ!」

 そう叫ぶのだが俺は拳銃を撃つのは辞めない。

 バルタのハンドルを回す手も緩まない。

 マンセルはもう一段ギアを上げた。


 ドンと爆発音が響く。

 

 だが俺達には当たっていない。

 見れば敵の砲の先にも煙は見えない……が、側面から薄く煙が見えた。

 俺から見て右側。

 そちらに顔を向けると遠く見える限界に対戦車砲をが見える。

 そこには国軍の兵士6人が忙しなく動いている。

 対戦車砲を人力で押して向きを変え、砲弾を詰め込む作業だ。

 3.7cm、pak36だ!

 この戦車の砲と同じモノだ、砲単体で300キロと少し……それを人力で押して運んで来たのか。

 まあそれが、あの砲の本来の運用の仕方でも有る。

 しかし、助かった。


 だがもう1輌がまだ居る。

 『バルタ! 撃て!」


 砲の照準は既に次の戦車に向けられていた。

 指示と同時の砲撃。

 ドンと音共にbt-7の砲塔に穴を空けた。

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