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ファウストパトローネ  作者: 喜右衛門
異世界情勢
118/317

動かない事を戦略にした魔物

238ポイント!

下がってしまった。

昨日ふて寝したからだろうか、、、、


明日も頑張って

またポイントを貰える様にしよう。


書こう。


みんな有り難う!

また明日!

 

 ダンジョンを覆っている草木が魔物だとして、その動きは遅い。

 道路を塞ぐのに、両側から動き始めたと過程しても1時間以上は掛かっている?

 さっきスーパーを出たのが1時間くらい前だったと思う。

 その草木も隙間から覗く事の出来るレベル迄の厚みしかない。

 完全に覆われている迄はいっていない?

 コレが全力の動きなら、時速4メートル?

 人が歩く速度が時速4キロとすると1000分の1……。

 ほぼ動かない魔物か。


 しかし戦略としては優秀だ。

 出口を見付けられなく為った人もその他の魔物も、凍結された街では食料もてに入らず……いづれ力尽きる。

 それにこれだけ密集していればその隙間を潜ろうとしても、時速4メートルのその動きであっても押さえ付ける事は可能だろう。

 無理に押し通るなら直接絡めとり。

 ただ出口を探すだけなら倒れるのを待つ。

 

 その食料がと、言う部分は俺には効かないが。

 だが出口に辿り着けないなら……それでもいづれは。


 それでも草木だ。

 対処としては、刈り取るか? 燃やすか? だが。

 この雨では燃やすは無理だろう。

 さっきは火薬で燃やそうとしたが、それでも火薬が尽きれば火も消えた。

 ガソリンを掛けても雨に流されるだろうからそれも無理そうだ。

 

 刈り取ると言っても……。

 少し考えて、側に在った車に乗り込んだ。

 オートマの様だ、都合が良い。

 エンジンはそのままで草木の正面に停めてソコで降りて、フロアーカーペットをしゃがんでドア越しにずらす。

 アクセルを挟んで引っ掛かる様な形に為るようにして、その手を離した。

 カーペットにアクセルを押された車は、無人の常態で進み始める。

 そして草木に突っ込んだ。

 助走の距離が対して取れなかったので然程のスピードでは無いが、コンビニに突っ込めばガラスくらいは割れるであろう速度は出せていたと思う。

 が、草木はそれを受け止めた。

 衝突後、少し進んで多少の草木を刈ったかも知れないが、車そのものが突っ込み草木に絡みその力を殺されてしまう。

 今は停まった車の前輪だけが空回りしていた。

 

 1トンの重さでもこれくらいか……。

 刈り取るにしても、少しずつ削る様にか?

 それでは時間が掛かかり過ぎるか?

 なら10トンの戦車ならどうだ?


 『エル! マンセルと話がしたい』

 

 「私に言わなくても、この距離なら私とペトラの中継を使えば直接出来るわよ』

 ダンジョンを走り回った距離を考えても、初めてエルと念話した村で売られた時の草原の馬車での距離より遥かに遠いと思うのだが、中継でそんなに伸びるのか。

 いざと成ったらマンセルにとは思っていたが、ここから直接にとは考えていなかった。

 エルに頼むか、ダンジョンの縁に行けばと思っていたのだが、届くなら。

 『マンセル! 助けてくれ』


 『マンセルさんなら、お酒を飲んで寝てますよ』

 マンセルに飛ばしたと思った念話の返事はバルタが返して来た。


 『叩き起こしてくれ、植物の魔物に囲まれて出れないんだ』


 『植物の?』

 ハンナが割って入ってきた。

 『ニーナそれってわかる?』


 『さあ……そんな魔物は知らないけど、でも植物なら引き抜くか焼くか枯らしてしまえば?』

 ハンナに振られたニーナが答えてくれる。

 『そこにコリンが居るじゃない、除草剤とかは?』


 そうかコリンは薬師か!

 車の助手席に座るコリンに目を向ける。

 「この雨じゃあ、薬も流れてしまうわ』


 『他に無いか?』

 薬が駄目なら他だ。


 『じゃあ……オルガの発酵は?』


 「発酵?』


 『発酵って菌でしょう、植物を枯らす菌なんてそこいらじゅうに有るわよ』


 「どうやって?』

 聞いたのはオルガだ。


 『土の中に有るから適当に菌を活性化させてみれば?』

 オルガもそうだがニーナもその発酵のスキルが今一良くわかっていないのだろう、適当にしか答えられない様だ。

 『スキルの発酵蔵以外でも、近くに居るだけでも発酵のスピードが上がるんでしょう?』 


 「土って……』

 それがここに在るのか? そう聞きたい目だ。


 『都市だから、街路樹が在るかも知れないが……』

 だがそれをここで見掛けていない。

 何処かの建物の中に観葉植物の鉢植えくらいは有るかもだが、その土は菌のコントロールは去れているだろう。

 具体的に除菌して、有益な菌だけをそこに足す……そんな事を。

 それは街路樹にも言えそうだ。

 『植物の為に用意された土は駄目だろう』

 他に土は?


 その場に立ち尽くして考えていた俺は、無意識にだが首を巡らし辺りを見渡した。

 見えるものは道路。

 草木。

 放置車両に列なる建物。

 そして釣具屋。

 

 その釣具屋はブラックバスの専門だ、だからルアーを置いている……人工物だ。

 普通の釣具屋なら生餌を置いてはいるのだが。

 その中にミミズも有るだろう、紙の箱とビニールに腐葉土と一緒に入れられて50匹程のミミズ……。

 目当ての菌が居そうだ。


 ブラックバスを釣るなら一番確実なのはそのミミズだ。

 どんなルアー依りも確実に釣れる。

 だがそれはルアーを使いブラックバスをゲームフィッシュとする人達には邪道と言われる。

 隣でミミズを投げられればどんなに凄いプロでも簡単に釣り負けるからだ。

 だけど、小さな子供に釣りの楽しさを教えるには手っ取り早い事も確かだ。

 現に子供用の浮き付きのブラックバス用の仕掛けも売っているし、そもそもそんな事に拘っているのは日本人のルアー好きの釣り人とアメリカのルアーで飯を食っている一部の者だけで、本場のアメリカでさえミミズの方が主流なのにだ。

 

 目の前のその店がどう考えているかだが、もしかして……。

 この近所に川なり池なりが在って、子供が多いなら……。

 そんな少ない可能性でも、確認はしてみようと考えた。

 幸い時間はたっぷりと有る。

 積極的に攻撃してこない魔物なのだから。


 車の後席のハッチを開けて乗り込み、運転をしているイナに声を掛ける。

 「もう一度、あの釣具屋に頼む」

 


 俺は釣具屋に飛び込んだ。

 後ろからは三姉妹も一緒だ。

 「カラフルで派手な短い釣り竿を探してくれ」

 三姉妹は竿を知っている、ついさっきそれを見せたのだからだ。

 そして俺もさっきほぼ店の中を回っている。

 興味も無かったので気にもしていなかったので目に入らなかったと思いたい。

 

 「これ?」

 ネーヴが声を上げた。

 そこはボートのコーナーだった。

 俺にはシュビムワーゲンが有るからとそちらに目を向けなかった所だ。


 駆け付けると、バケツに入れられた竿が何本も纏めて入れられている。

 成る程、この店ではボートを見に来た客に一緒に子供向けを買わせようと考えた戦略か。

 ならばと、そこから背後に目を向ける。

 カラフルな竿で目を引いて、振り向けば仕掛けが売っている……その通りだった。

 そしてその影に小さなペルチェ素子を使った小さいアウトドア用の冷蔵庫が有る。

 一応は売り物の見本でも有るようだが、コードは背面に延びていた。

 詰まりは使っているのだ。

 この店でこの場所でとならと、開ければ目当てのものが幾つか入っている。

 釣り餌のミミズだ。

 この店はなかなかに良い店の様だ、気に入っぞ。

 そうそう来ることも無いだろうが。

 金を落とさない客でも無い俺に気に入られても仕方無いか。


 手に取ってみる。

 冷たい。

 次の問題は、時間凍結は生き物にも作用しているかだが、人間は対象外なのは自分と花音を見ればわかる。

 さて犬や猫はどうなのだろう。

 そしてこの小さなミミズはだ。


 確かめる為に箱を開いた。

 中にビニールに入った土、腐葉土だ。

 ミミズは見えない、この温度なら冬眠常態で埋もれているのだろう。

 ミミズがミイラ化しているなら腐葉土の中の菌の方が強いかも知れないが、経過時間を考えれば同じ運命だと思われる、もうここのダンジョンは転生されて何年も立っているのだから。

 

 ビニールを破り……指でほじくる。

 中からピンク色の細目にミミズが出てきた。

 そして無理矢理起こされたのを嫌ったのか、うねってもがく。


 「イケそうだ」

 後はオルガ次第だ。

 この中の菌を選り分けて、そして増やして使えるのかどうかだ。

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