表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファウストパトローネ  作者: 喜右衛門
異世界情勢
117/317

迷宮

ぐぬぬ……。

ネット小説大賞八の一次選考に載ってない。

落選か……。

一次にすら通らないのか。

って事は、これは小説にも成っていないと判断されたのだろうな……。

う~ん……ムッチャ凹むな、それは。

面白いか面白く無いかの以前の話だもんな……。

あー遠い目になる。


しかし、それが今の実力なのだろうな。

プロに成ろうとは考えては居なかったけど、全然ダメって突き付けられるとヤハリ辛い。


これからはもう少しマシに……せめて小説の形に成れるように、一から勉強だな。

完結はまだ先だけど、その時に小説に成っていれば良いのだけど。


……そもそも小説ってなんだろう?

あれ? 考えてもわかんないぞ?

駄目だ……今日はふて寝だ。


みんな、また明日だ。

明日も書く。

明後日も書く。

最後まで書く。

答えが出るまで書く。


でも今日はヤッパリ……ふて寝しよう。

と、言うわけで何時もよりも早い時間に投下します。


明日も頑張る。


 しっかりと買い物を堪能した俺は荷物をピンクのバモスに積み込んでハッチを閉じる。

 途中ブツクサと言い始めた三姉妹には、レジ横に置いて有るチョコバーを掴んで口の中に放り込んでやったら静かに為った。

 釣りは基本アウトドアだ。

 だから非常食の様な形でチョコバーは重宝する、なので店に依っては置いて有るのだ。

 もちろん、毒味は先に俺がした。

 時間凍結とは言っても食べ物だ、腐ら無いとわかっていても不安に為る、ましてやチョコバーなんて、そんなものの味を三姉妹が知る筈もない。

 だから俺が先に食ってみた。

 腐ってはいない。

 味もそのままだ。

 ただ単に甘い。

 とにかくに甘い……そのままだ。


 それを口に入れられた三姉妹はニッコニッコで頬を押さえている。

 至福の時間の様だ。

 それからは俺がルアー選びに時間を費やしても文句の1つも出ない。

 もちろんそのチョコバーも箱事鞄に放り込んでいる。

 

 しかしこれで寄る所が1つ増えてしまった。

 食べ物もシッカリ時間凍結が効いているなら、スーパーで調達するべきだ。

 それに時間凍結の解除は俺が触る事だ、詰まりは触れなければズット新鮮なままで腐ら無い。

 俺以外の誰かに鞄を持たせて詰めさせればそれが維持出来る筈だ。

 レトルトでも冷凍食品でも刺身だってイケる筈だ。

 狭い車内が益々狭く為るが文句を言うヤツの口にはチョコバーだ。

 至福の甘さに酔いしれろ! だ。


 そのスーパーはスグに見付けられた。

 釣具やの次の交差点を曲がった所に在った。

 ここも箱買い。

 運んだのは三姉妹で、もちろん文句も言わない。

 確実に美味しいヤツだと期待に胸を膨らませてる。

 そんな胸は無いツルペタで出ているといえば腹の方で、食べて膨れるのも腹なのだが。

 喜んで運んでいるのだからそれでヨシだ。


 

 荷物でパンパンに為った車を今度こそダンジョンを脱出だと走らせる。

 もう既にライトが必要な暗さに為っている。

 そして雨の止む気配も無い。

 

 だがその出口に一向に辿り着かなかった。

 交差点を曲がる。

 角を曲がる。

 時に草木に阻まれて行き止まる。

 暗くなりライトに頼った移動はその行き止まりに当たる確率も上げていた。


 「またか……』

 ヘッドライトに照らされた草木が目の前にイキナリ現れる。

 「もう……何度目だ?』


 「お腹……空いた」

 オルガが後ろの荷物に埋もれながらに呟いた。

 俺はそのオルガをバックミラーで確認した。

 隣に同じ様に荷物に埋もれていたエルは何も言わないが腹の音は押さえているのが見れる。

 

 「いい加減、限界か?」

 彼女達の腹が減ったと言うのは実際のところそう大した問題でも無いのだろうと思われる。

 1日くらい飯を抜いても死にはしないのだ。

 それよりも、一向に出口の無い今の状況に焦りを感じ始めている……それを適切に表現出来なくて、腹が減ったと為ったのだろう。

 本当に腹が減ったのなら、後ろに積んでいる荷物から食料を取り出して、俺に食べられるようにしてくれと頼めばいい事だ。

 その事はスーパーで食料を調達した時に理解出来ている筈なのだし……。


 だが、焦っているのは俺も同じだ。

 いや違うか、俺のは焦りでは無くてイラ立ち始めている。

 何処へ車を走らせても、必ず遮られる。

 何時まで経っても目的地に辿り着かん。

 いい加減、腹も立ってきた。


 『さっきの店?』

 エレンが遠慮がちに俺に念話を飛ばしてくる。

 俺の苛立ちは外からも用意に見て取れるのだろう。

 『釣具屋だな』

 出来るだけ優しく返してやる。

 イライラを子供達にぶつけても仕様がない。


 『先に在ったお店で、休憩は?』

 『良いかも、食べ物も在ったし』

 アンナもネーヴも気を使っての提案なのだろう。

 移動を一旦止めて、落ち着けろと……そんなところか。

 だが、悪い提案では無いのかも知れない。

 同じ所をぐるぐる回ってしまっている、少し考えて動き直した方が……。

 ……。

 その交差点を曲がったのだが、そこに在る筈のスーパーが無かった。

 道を間違える筈はない。

 釣具屋から一つ目の交差点だ。

 逆向きに走ってたとも考えられない、それなら見える方向も左右で逆に為っていなければおかしい。


 交差点に戻り、釣具屋を見る。

 そこからでも看板は確認が出来る。

 完全に車を停めた俺は。

 「イナ……運転を代わってくれ」

 そう告げて外に出る。

 そして雨に濡れる事も忘れて歩き出した。

 釣具屋迄の距離、交差点から交差点の間、その奥の交差点に近い所。

 どうも見ても一本道。

 後ろからは車道を走る車が着いてくる。

 俺は歩道だ、脇に避けられて避難して放置された車と建物側から伸びる草木を避けながら、一歩一歩を懐中電灯の光で照らして歩く。

 

 途中、大きく張り出した草木が歩道を塞いで居たので一旦、車道に避けた。

 そこはたまたまなのか放置された車も途切れている。

 前も後ろも放置車両は列なるのにソコだけだ。

 そしてそれは反対側の歩道も同じに見える。

 草木が出っ張り、放置車両の列も切れている。

 一度そこを通り過ぎた俺は、その事がどうにも気になった。

 初めてここを通った時にそんな不自然なものが有っただろうか?

 草木が出っ張る?

 放置車両の列が切れる?

 それは不自然と認識出来るか?

 だが、歩いて見れば気になるのは確かだ。

 立ち止まり。

 振り返る。

 歩道は塞がれている。

 足元は……ここだけ地面にも蔦だ這っている。

 車で走ればそれを踏んだ振動が伝わるだろう。

 この場所だけならそれも印象に残る筈。

 いや、もう1ヶ所在った……この車を見付けた近くだ。

 そう言えば最初の駅前のロータリーにも草木が生えていた筈なのに……そんなモノを乗り越えた記憶も無く、普通にそこを走って百貨店の前まで行った。


 車道の真ん中の蔦の上にまで歩き、踏んで確かめる。

 足の裏には蔦の立体的な感触が確かに伝わった。

 そこを歩く足跡も見える、俺が今歩いた所だ。

 泥と誇りの上に着いた足跡。

 一部、白い道路が見える。

 白い?

 位置的には車線というわけでも無さそうだ……。

 歩道か?

 光を左右に振った。

 ここは交差点だ。

 草木の出っ張りに信号機も隠れているが、交差点なら放置車両も無いのが頷ける。

 草木で道が塞がれているのだ。

 今までもそんな所は在った。

 行き止まりには見えたが草木が無ければ道自体は続いていたのだろう。

 ここの交差点もこの草木の向こうにも道が続いている筈だ。

 と、懐中電灯の光をそちらに向けた。

 そう深くは無いのか目を凝らせば草木の間から向こうが見える。

 そして、見付けてしまった。

 スーパーの入り口だ。

 

 『エル……聞いていいか?』


 『なに?』


 『草木の魔物って……いるのか?』


 『さぁ……詳しくは無いからわからないわ』


 居るわけ無いとは言わないのか……。

 車に近付き、後席の窓を叩いて。

 『カンプピストルなんだが、普通の照明弾は有るか?』

 開けられた後席の窓から、エナを経由して渡された。

 『一発だけよ』


 頷いた俺は、スーパーを隠している交差点の草木に水平に照明弾を撃ち込んだ。


 火花を飛ばしながら草木に絡まり燃え続ける照明弾。

 一気に燃え上がるわけでは無いが、燻り焦がして煙を上げている。

 そして、足下の蔦がもがく様に動いた。

 

 『この草は……魔物だ』

 

 「襲って来るの?」

 エナが窓越しに聞いてきた。

 見た目からも殆ど動きが見えないので襲われているという感覚が無いのだろう。

 

 「直接に攻撃してくるわけでは無いようだ……』

 口元を押さえて考える。

 「たぶんだが……俺達が飢えて死ぬのを待っている?』


 「どういう事?」

 エルが後ろから覗き込み俺に問う。

 

 「コイツらの戦略だろう……道を塞いで出られなくして、飢えるのを待つ、そして最後に食われる?」

 口も目も鼻も耳も無い草木がどう食べるのかはわからない。

 食虫植物の様にそんな器官を持っているのか?

 それとも根を張って直接に栄養として吸われるのか?

 そもそも、コイツ等なのかもわからない。

 ダンジョン中を覆っているこの草木で一匹なのかも知れない。


 「どうするの?」

 

 「動きのスピードは相当に遅いのだろうが……このサイズの草木に絡まれれば身動きは出来なく成るだろうから、不用意には近付けない……か』

 だがどうにかしなければいけないのも確かだ。

 出入口はコイツ等が塞いでしまっている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ