転生者の持つ最強のスキル
201ポイント!
200の大台を越えた。
凄いぞ
みんな有り難う。
何処まで伸びるのか楽しみに成ってきた。
明日も頑張る。
みんな有り難う。
俺の発した、何の用だ? のその問いに顔を見合わせる、小汚ないジジイにしか見えない元国王と、子供の成りをしたゾンビのマリー。
先に口を開いたのはマリーだった。
「楽しそうにやってるみたいね」
笑みも溢さず真顔のままで。
「お陰様で……まだ生きてる」
俺は少しだけ笑って返した。
……。
少し言い様が悪いと付け加える。
「これは皮肉ではなくて、本心からそう思っている」
実際にそうなのだ、目の前の元国王は何もしていないとそんな顔を見せているが元国王が一言、俺の事を言及してくれた。
それを聞いた部下成り家臣成りが何かをするのを理解したうえでだ。
だから今ここに居られる。
「そう、良かったわ」
ジッと俺を見ている。
「貴方のシャーマンの力だけど……あまり使わない方が良いわよ」
少し予想外の話が出て来て驚いた。
「なぜ?」
俺のこのスキルに関しては、マリー達が俺よりも遥かに詳しいのは知っている。
おれ自身がわからな過ぎるのでも有るのが。
「それは、ネクロマンサーを元にした派生スキルと考えると……同じ欠点を持つと考えられるからよ」
「欠点?」
「そう、致命的な欠点……死者の意識を自身と繋げるその能力は、繋がった心同士が混ざる可能性が有るのよ」
眉を寄せて、その意味を考えてみた。
「……それは、悪い影響でも有るのか?」
今も、数人の意識が薄くは有るが、微かに感じられている。
「有り体に言えば、良くても性格が変わる事」
大きく息を吐いて続ける。
「悪い場合は……自我が崩壊する可能性も有る……貴方では無くて、取り込んだ死者でも無い、混ざって出来た別のモノに成るよ」
もう一度、俺をジッと見る。
「貴方……自分の性格が変わったって、自覚はどう?」
「どう? と、聞かれても自分では良くはわからんが……変わったのか?」
「さあ、私は貴方の事は良く知らないから、変化なんてわからない」
小さく肩を竦めて見せた。
今度は眉と同時に顎に手を添えて考えた。
「内面的な事は自分では見えないが、行動で考えて大きく変化が有るとすると……人を殺せた……生きる為に仕方無くだが、元の世界に居た時では有り得ない行動だと改めて思う」
例え殺されそうに成っても、刀を向けられ振り被られても、ただその場で固まるだけだろう。
異世界に来て、殺人鬼の魔王と初めて相対した時のそのままの様に、反撃等は考えもせず、逃げる事も出来ない筈だ。
「それはまた別の話だ」
それまで黙っていた元国王が口を開いた。
「人が殺せる様に成ったのは変化だと思うが?」
「その元の要因が違う」
首を振った元国王。
「それは転生者だからだ」
「転生者は魔物と同じという……アレか」
「そう、同じだ……転生によって脳に傷が付く、その外傷による結果だ」
自身の頭を指でつついた元国王。
「魔物もそうだがそのせいで攻撃的に成る、自身よりも弱いモノに対しての攻撃に罪悪感が無くなるのだ、だからそこらいらに普通に居る害の少ない魔物も人間も、総て含めて簡単に殺せる様に成る」
「でも、魔物だろう?」
「そうだ、だが良く考えろ……元の世界に居た時に道端で出会ったドブネズミを殺そとしたか? 精々嫌な顔に成るくらいだ」
俺の顔を覗き込み。
「もっと言えば野良の仔猫だ、ノミや病気を撒き散らす可能性は有るが、それを理由に誰かが仔猫を殺して居るのを見掛けたとしよう……嫌な気持ちに成らんかったか?」
確かに、そんな事をすればニュースに成る可能性だって有った。
魔物も同じか?
でも、魔物はこちらを殺しに来るぞ?
「例えばそうだな……国を追い出された、悪い女に騙された、罠に嵌められ殺されそうに成った……その時、どうする?」
「自身を攻撃される様な酷い事をされれば……」
そこで言い淀んでしまう。
今ならその相手を殺すだろう。
だが、元の世界の日本では?
相手を殺す事は思いはしても、実行はしない。
誰かに……警察に訴えるか?
自身の潔白を証明しようとするか?
あるいは逃げるかだ。
その後にも、その相手を殺す事はしないだろう。
法の裁きを受けろと恨むのが精々だ。
テレビで見た家族を殺された者の訴えも、死刑にしてくれと言うだけで、自身で手を下すとは言わない。
たぶん俺もそうなれば同じだと思う。
俺以外の者もそうだろう。
ずしりと重いモノを感じて目を閉じる。
「俺達転生者は脳に障害を持ったキチガイなのか?」
「ワシも」
自身を指差し。
「マリーも」
マリーを指差し。
「お前もだ」
最後に俺を指差した元国王。
椅子の背に凭れ掛かり大きく息を吐く。
そんな俺を見てマリーが続けた。
「でも、それは事故の後遺症の様なモノで転生者の責任じゃあ無いわ……大方、神様か女神様が居たと仮定しての、転生者に生き延びる為に与えてくれた最大のスキルなのでしょうね」
「確かに……他のどんなスキルよりも強力かも知れない」
「槍やら剣やら魔法やらも、殺せ無ければただの飾りだ」
無理矢理にだが、少しだけ笑って見せた元国王。
「詰まり、自分が脳に障害を持ったキチガイで有ると……それを肯定しろと」
「いや、受け入れて制御しろ……だ」
「その為にカードに幾つかの機能を足したのよ」
俺は自身のカードを取り出して見てみる。
「そのカードに貴方が倒したモノの履歴が残るでしょう」
そう言って近付いたマリーが俺のカードを覗き込む。
そして、すぐに驚いた顔で。
「あんた……いったい、どれだけ殺したの!」
その様子に元国王も眉を寄せたので、見れる様にテーブルの上に置いた。
そして、それを覗き込んだ元国王が呆れた様に。
「魔物も人も凄い数だな」
それには肩を竦めるしかない。
確かに殺したし獣人の子供達にも命じた。
そして、そしてその罪悪感は殺したという事に対してでは無く、子供にそれをさせたという事にしかない。
「唯一の救いは、人はまだ殺してないってことね」
カードの一部の数字を指差したマリー。
だがそこには数字と人数の文字が見える。
その数も相当に成っている。
「これは、人に分類されているけど人では無い者の数よ……本当に人を殺せばこの横に有る赤色の文字の-0が増えるわ」
人で有って人では無いモノ?
それは犯罪者か転生者か、そんな所なのか。
それもどうかと思うが。
「仕方の無い処置よ、それ等も人にすれば転生者は漏れ無く犯罪者にしか成れないからよ」
「情状の酌量の最大限の適用だ」
そんな事を言っては居るが、それも無理矢理なのだろう。
常識的には有り得ない。
目には目を歯には歯をのこの異世界の法を拡大解釈してもそうは成らないだろう。
「とにかくこの赤文字の数字は増やさない事だけは注意して」
「そんな事は言われなくても……」
俺のその返事をぶったぎって。
「町中に普通に歩いている子供の首を締めたらどうなるだろう? の、その好奇心だけで殺した者も居るのよ……転生者には」
「元の世界に未練を残した者は特に危険だな、ここは自分の世界では無いとして来訪者として好き勝手するヤツも居る……そんなヤツは帰れないと知ると今度は自暴自棄で暴れまわる、また転生者は強大なスキルを得やすいから余計に始末が悪い」
チラリと俺の格好を見た元国王。
「お前さんは大丈夫のようだな、その格好は似合っておるよ」
そう言われて自分に目を落とすが、これは元の世界の背広がボロボロに破けたので仕方無くに来着ているだけだ。
現にダンジョンに行った目的の1つが新しい背広だった。
そして元国王の格好を見る。
成る程、これは趣味で着ているのでは無いのかも知れない。
自身の身分を隠して少しでも敵対するものを遠ざけようとしての選択なのか。
「爺さんは……何人殺した?」
その問いには曖昧に笑って返すだけ。
その意味する所を考えると……だから国王を引退したのだろう。
そして、自身を魔王と名乗った。
暫くの沈黙の後に、俺はただただ大きく息を吐くしか出来なかった。
俺も……何時かは……。




