第20話 パラメータを下げた意味とは
第20話投稿
パラメーターは結局更に1割ほど下げたが、そろそろ門真君たちといい勝負の数値になってきたような気がする
実際門真君たちのステータスは覗いていないのだが、レベル50、60辺りの数値と目処をつけていいだろう。本人達もそう言っていたし
ちなみに俺の40レベルの頃のパラメーターは、恐らく普通の人の80、90レベ辺りなのではないか。いや、それよりも上?
如何に俺が異常なのか分かるね!俺TUEEEEは良いけど、力に酔って傲慢に……って言うのは嫌だな。あくまで最後まで、この力は棚ぼたかもしれない可能性を残しておいて、借り物だという意識は必要だ
そんな俺がいるのは150層。階層主の階層だ
敵のインフレが激しくて、レベルもこの階層は既に200前後。たった3階層潜っただけで随分と高くなったじゃないの
魔物のステータスも、パラメーターはギルドマスターよりも上だ。魔物はやはり人族よりは強いからか、パラメーターが全体的に高い
更にここに出る敵は懐かしの『鬼神』だ。潜在能力もそりゃ高いだろうよ
少し前にオーガキングとあったときを思い出すね。あの時は確か、素手で力比べをしてたっけか……
「フッ」
『GAAAAAAA!!』
「ハッ」
『GGGGGGAAAAAAAAAA!!』
するりするりと鬼神の掴み攻撃を避ける。腕に沿って動いたり、壁や天井も使った三次元的な動きで避けたり、脇を突いたり
言っておくが、前にお前にコケにされたこと、忘れてないからな?今精算してやる
「この狭い通路じゃ、お得意のスピードも完全には活かせないか?」
『GGGGGGGAAAAAAAAAA!!』
俺の言葉を理解したのかは知らないが、怒ったような声を上げると、自身の体が壁や天井にぶつかるのも構わずに俺を捕まえようとしてくる
前に戦った時は広いところで立体的な動きを高速でされたが、この迷宮ではそうもいかないようだ
俺にとってはこの迷宮の通路は割と広く感じるが、それでも鬼神にとっちゃ狭いらしい。頭は天井についてるようなもんだし、壁までの距離は、腕を伸ばせばぶつかるほど
ほかの階層より若干広く作られてる気がするが、それでもめっちゃ狭そうにしている
それは俺にとっては好都合なだけだ
『GGGAAAAA!!』
「そんな攻撃食らうわけないでしょ」
地面に拳を叩きつけての、前方に広範囲の衝撃波攻撃。しかしその程度は壁や天井に移動してしまえば避けられる
「おいおい、俺はパラメーター下げてあの頃より低いぞ?お前はあの頃より高いんじゃないのか?だとしたら滑稽だな!」
『GGGIIIGGGGGGGGGUUUUUU!!』
おうおう、怒りずきて変な声出てますよ?
にしても煽り耐性低いなと、どうでもいいことを考えたり。捉えられなかった鬼神の動きも、今はすっかり目に見えているし、低いパラメーターでも十分立ち回れ、どうでもいいことを考える余裕もある
そう考えるとやはり技術や慣れは大切だなぁと思うわけで
「その度に異常だと思っちゃうんだよ、な!!」
『GGGYYYYYYAAAAAAA』
言葉と共に初めて剣を抜いて攻撃。この特異剣本当に切れ味良くて好きだわ~
ま、その代わり特になんの効果もないんですがね。某クラフトゲームの、エンチャントしてないダイヤモンドの剣みたいな?いや、切れ味が付いてるみたいな?
流れる血が、迷宮の床に滴る。ここの迷宮って掃除はどうなっているのだろうか?良くあるのは、スライムやらなんやらの掃除専門の魔物が掃除してるってやつだが、全部魔力に変換されて吸収されるんですかね?
もしそうだったら何気にエコで地球温暖化救えるんちゃうか?地球温暖化の原因もほとんど把握してないし、何をしたら緩和するかも知らんけどね!取り敢えずエコにしろってのは理解る
「さぁ続いてはこちら!『兜割』!!」
呻いている鬼神に対し、有名なあの技を
床から壁へと跳躍し、更に天井へと移動。重力に引かれ落ちていく身体に逆らわず、むしろ天井を蹴ることで一気に加速し、鬼神の脳天へと剣を振り上げる
頭蓋骨を砕く感触が手に伝わり、脳へと到達したのがわかる。それでも構わず力を入れ、体の落下とともに首辺りまで切り裂く
吹き出す血が顔にかかりそうになるが、手で覆うことで防ぐ。顔に血がかかると視界が悪くなったり乾いた後に落ちにくいから、出来るだけ洗いやすい手とかの方がいい
まぁ、手は手で持ち手が滑ったりするのだが、手の甲ならギリギリセーフ。ちょっと後で痒くなったりする程度か
『GGGGG……』
「おうおうまだ息があるのか。ビックリ」
脳まで剣で切り裂いたはずなのに、まだ息があるらしい
というか魔物だから普通の生物学には当てはまらんのかね。いやまぁ、脳を破壊されたら本当に即死なのかは実際のところ知らんのだが
悠々と鬼神へと近づいて、俺は既に見えているかもわからない鬼神の目を覗き込む
「すぐに楽にしてやるよ」
言葉と同時に、鬼神の額へと剣を突き立てる。今度こそ、ちゃんと絶命するだろうか
沈黙は一瞬、ピクッ、と鬼神の身体が痙攣したと思ったら、それ以降は一切動かなくなった
「……割と酷いことしてるな」
楽にしてやるよと言って倒すのはいいが、この行いに何も思わなくなった時点で結構やばいと思う
こっちに来た初日の暗示のせいか、あのバッドスキルのせいか、実は元々サイコパスな所があったのか、出来れば後者はやめて欲しい。言い訳の余地がない
凄惨な死体となった鬼神を『無限収納』に収納して、また歩き始める。ため息を吐きながら
ぬるいと身体が鈍る。でも俺の場合、レベルが上がる。だから更にぬるくなる。またレベルが上がる、ぬるくなる……
無限ループのような感じだが、実際その通りで、俺がまともに戦えるようになるには、『過負荷の指輪』で極限までステータスを抑えるか、雑魚敵は一切無視して、階層主だけを倒していくかのどちらかしかない
そしてパラメーターは、下げ過ぎると敵の攻撃を食らった瞬間に死にそうなのでリスクが高い。階層主だけを倒すにしても、この感じだと1000階層ぐらいないと、雑魚敵を倒してレベルを上げる必要なく敵を倒せてしまう気がする
「本格的に『深淵の森』へ行こうかと考えてしまうな」
あそこは裏ダンジョン的な立ち位置だろうから、行くなら魔王倒して勇者の立場を固めてからの方がいい
まぁ実際のところ、今の俺で魔王を倒せるのかはわからないのだが。レイドボスだし、異形の怪物なのか、それとも意思疎通が可能な人型なのか……実は善人だった説はあるので後者にかけたいところ
特に美人女魔王ならば全力で助けよう。相当悪じゃない限り、俺は美人さんと共にある
まぁ、800年前の勇者さんの英雄譚を読む限り、魔王は倒してなんぼらしいんだが……魔王が何も災厄を起こしてないのが気になるんだよなぁ
ただ魔物が増えたーっていう理由だけだろ今のところ。魔王がどっかの街を直接滅ぼしたわけでもなさそうだしな
……元の思考からブレッブレなんだがそれは。『迷宮ぬるいなー』から『魔王はいい奴?』まで移動したんだけど
自分自身にツッコミを入れつつ進む俺だが、またしても鬼神と遭遇。戦闘の準備をしようと思考を中断するが、そこで近づいてくる別の存在に気づく
『プルプル!』
それが何か当たる前に、丁度鬼神の背後から現れたグラが、その大きい体から伸ばされる触手で鬼神を捕まえる
『GGGGGAAAAAAA!!??』
「……あぁ。出オチで悪いがグラの食事になってやってくれ」
その先の事は語るまでもあるまい
巨体を食したグラは、その体の大きさを初めの頃まで戻し、満足そうに体を震わせる
こう、グラとは完全に別々に行動してるっていうね。一緒に戦うと、近接戦を主にしている俺だと遅れをとるからな
封印中だと、魔法を使わなければ俺はグラに勝てない気がする。いや、負けることもないと思うが、グラを倒すには絶対に魔法が必須だ
ホントに、敵に回したら厄介である
「グラ、そろそろボスに挑むから、服に戻っててくれ」
『プルプル!』
俺の言葉に素直に俺の服の中に戻るグラ。このヒンヤリとした感覚も慣れたなと思いつつ、俺は既に見つけてある階層主の部屋へと向かった
明後日2話投稿します!ストックは相変わらずですが
次回投稿は明日の16時です




