第11話 お手並み拝見
第11話投稿。非常に眠いです
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「許可証の提示をお願いする」
「これで」
買い物を済ませた後、俺は以前の様に迷宮の門にて騎士さんに探索者カードを見せた
騎士さんは前にも居た礼儀正しい人である。まぁ俺は偽装しているので、相手の方は気づかないと思うが
「ッ、貴方が───いや、くれぐれも無理をなさらぬよう」
一瞬顔が強ばるが、すぐにそう言ってくれた。恐らく俺と後ろの勇者に込めてだろう
俺のカードは勿論第一階級のものであり、現在ギルドマスターの話によると俺以外の第一階級探索者は迷宮に潜っているらしい
だから必然的に今居る第一階級は俺だけになるのだが、この騎士さんもお達しが来ているのだろうか。第一階級が連れたパーティーがいたら、それが勇者だと
第一階級だと知ってなお、無理をしないようにと告げてきた騎士さんにお礼をし、門真君たちを連れて中へ
「今更一階層から攻略しなくてもいいよね?」
「はい。えーっと、大体4、50階層辺りが良いかと」
「じゃあ今回は初ということもあるから、40階層から行こうか」
40階層へと続く魔法陣へと門真君たちを促して、転移する
この指定の場所への転移も、魔法陣が作れるようになったら魔力消費なしで出来るようになるのだろうか。後で試してみたいものだ
40階層に転移をした後は、全ての行動を門真君たちに委ねる
俺が先導していては結局意味が無いし、せいぜい助言程度に留めるつもりだ
「俺は気配遮断で気配を消すけど、ちゃんと居るから安心して」
「俺達も気配察知があるんで大丈夫ですよ」
うん。「それなら安心だね」とはならないな
取り敢えず[生体遮断]で気配諸共消してみる
「え!?トウヤさん!?」
「消えたぞ!テレポートか!?」
「すぐそこにいんだろ。さっき気配消すとか言ってたじゃんか」
「だが俺の気配察知には反応ないぞ。一応レベル6はあるんだから、全く感じないってのはおかしいだろ」
案の定のこれか。黒澤君は落ち着いているというか、的確な発言だったけど、門真君たちはどうやら自身の気配察知に反応がなくてビックリしている様子
「だから言ったでしょ?」
「あ、ホントに居た」
「やっぱり居たじゃんか」
「えと、もしかして今のが気配消してたってことですか?」
「うん。流石に感知できないだろうなと思ったから予め伝えておいたんだけど」
俺が気配遮断の時も周りは全く反応出来なかったんだ。ルサイアの暗部とやらもな
それが現在はスキル無しでも自力で気配を消せるようになった状態で、尚且つスキルも使用したら、その補正は計り知れないだろうと予測したからだが
「……色んな武器を使えて、魔法も一流以上に使えて、錬金術も使えて、気配も完全に消せて……本当に何者なんですか?トウヤさん」
「第一階級探索者はみんなこうなんだと思うよ?」
「絶対無いと思う……」
夜菜ちゃん、ボソリと呟くのは止めたほうがいいよ。俺に聞こえるからな
「別にいいじゃんかよ。コイツがメチャクチャ強かろうがそうでなかろうが、今は俺達の護衛だろ?」
「……そうだね。確かに学の言う通りだ。トウヤさんが強いというのは、護衛としてはとても心強いし」
「お、意外といいこと言うじゃん黒澤君。見直したよ」
「うるせぇ」
俺が話を逸らすために茶化してみせると、黒澤君は照れたのか前を向いて歩いていってしまう
やはりツンデレか、と俺は自身の予想が当たっていたことを思う。だから俺のことは先生でいいよ?もしくは師匠でも可
40階層に出る魔物は、『ガーザイド』という名前の、トカゲのような敵だ
この敵は大体3~5体程で出現し、その足で壁や天井を這って奇襲をかけてくる
俺の[生体感知]には4体のガーザイドが引っかかっているが、門真君たちはどうだろうか
ガーザイドは[気配遮断]を持っている個体と持っていない個体がいる。今いるやつは全部が持っている個体で、レベルも4とあるが……
「幹、敵だ」
「ん?……あぁ、俺の方にも引っかかった。夜菜、あそこら辺に向かって先手を打てるか?」
「あそこ?じゃあ『ファイアブレス』で先手を打ってみる」
「了解」
どうやら気づいた様子。京極君は密偵系なのかな?あの中でも[気配察知]の効果が高い様子
俺は相変わらず[生体遮断]で気配を切っているから、どちらにも気づかれていないとは思う。戦場カメラマンでもやってみようかな
「───『ファイアブレス』!!」
夜菜ちゃんが少し詠唱をして、中級火魔法『ファイアブレス』を発動する。結構前に、ルサイアの迷宮での『インフェルノ(笑)』の魔法だな。あっちは頭の中でインフェルノのイメージをしてたからか、ちょっと爆発的な感じだったが、夜菜ちゃんの使う『ファイアブレス』は、広範囲を熱い───それこそ数百度単位の炎で満たす魔法だ
故に、魔物と言えどもその熱には少なくないダメージを負うはずなのである
『ファイアブレス』が発動すると、薄暗い迷宮内を、出現した炎が照らしながら進んでいく
渦を巻きながら迫る炎は、その先で獲物を待ち伏せしていたガーザイドを一気に飲み込んだ
「見えた!学!夜兎!」
「へいへい!」
「行くよ!」
それと同時に、タイミングを見極めていた門真君の号令で前衛2人が突撃する。そのまま行けば『ファイアブレス』の炎に2人も包まれることになるのだが、綺麗なタイミングで炎が消え去る
そこには4体のもがいているトカゲ、ガーザイドが居た。トカゲなのでイメージ的には熱に強いというイメージがあるのだが、暑いのは平気でも熱いのはダメということか
そして炎と入れ替わりで突撃した2人が手前側のガーザイドを仕留めていく。2人の武器も中々の業物らしく、少なくとも現在俺が使っている中級の剣よりは強いだろう。もしかしたら迷宮産の物かもしれないな
スルリとガーザイドの皮膚を2人の剣が抜ける。まるで豆腐のように、とまでは行かないが、結構な切れ味らしく、切り口から鮮血が吹き出す
「うぜぇな」
「なら洗ってあげようか?『ウォーt』」
「それは服ごとびしょ濡れになるだろうが。もっと調整できねぇのかよ」
血を浴びた黒澤君がそう言い、それに反応した夜菜ちゃんが魔法を使おうとするが、それに待ったをかけた
まぁイメージはできる。体がびっしょびっしょになる黒澤君が脳裏に浮かぶ
なるほど、ドジっ子か。イヤイヤと首を振って結局魔法はかけないようだ
「ハァ!」
「『首狩り』!」
その背後では、残りの2体を仕留める門真君と京極君が。片や相変わらずの謎の聖剣っぽい剣で、片や瞬時に敵の背後まで駆け抜けると、その途端ガーザイドの首が落ちるという技で倒していた
今は何か、剣技が流行りなの?俺そんなの一つもないんだが。それとも単に名前をつけてるだけ?
俺も二刀流で『流星之剣技』とか言いながら技を放ってみようかな。後で
門真君たちの戦い方は安定したもので、基本的に京極君が敵を察知した後、遠距離攻撃が可能な門真君、京極君、夜菜ちゃんの誰かが先手を打つ
それに続いて黒澤君と天貝君がその敵へと肉薄し、攻撃。門真君と京極君は遊撃となり、夜菜ちゃんはフレンドリーファイアーを防ぐために、基本的には補助へと回る
俺から見て、この五人の連携なら夜菜ちゃんもフレンドリーファイアなんてしなさそうだが、狭い迷宮というのがあるからだろう。今のところそれで危うげなく倒しているので、問題は無いが
それに勇者ということもあるからか、みんな俺の知らないスキルを使ったり、俺とは違いパーティーの戦術を見せてくれる
その点に関しては俺より彼らの方が全然先輩だ。ずっとソロで来た俺は、パーティーを組んだことなんかない。まぁ1人で十分だからというのもあるが
だからこそ、今は護衛役も兼ねて、彼らから戦闘の基本を学んでいるところだ
ちなみに、主に観察対象は門真君だな。俺がパーティーで戦うとしたら、間違いなく剣と魔法を使いながら指揮をする彼の立ち位置だからだ
「敵!10m先の曲がり角だ!」
「了解。夜菜、弾道系の魔法を操作出来るか?」
「簡単簡単!───『炎槍』!」
京極君が気配察知で魔物を捉えたらしく声を上げ、門真君が冷静に夜菜ちゃんに頼んだ
夜菜ちゃんが魔法を使用すると、目の前に長さ2m程の、炎で出来た長槍が出現し、それは高速で射出される
千里眼で確認するまでもなく、『フレイムランス』は真っ直ぐ飛んだ後曲がり角で曲がり、その奥にいた、オークの上位であるハイオークの集団の中心へと着弾、爆発した
「確認した!オーク系統だ!」
「はいよ!」
「一撃で倒そうとしないでね!」
京極君が魔物を確認し、それに応えるように黒澤君と天貝君が突撃。曲がり角を曲がった先で、炎を受けながらもそこまでダメージを負っていないハイオークと接的する
「夜菜!魔法効いてねぇぞ!」
「え!?って、それウチのせいじゃないって!そのオークの駄肉のせい!!」
オーク相手だからって些か辛辣すぎる言葉を吐く夜菜ちゃんに、舌打ち一つして黒澤君がハイオークの膝を斬る
その大剣は大振りだが一撃は強く、ハイオークの足を両膝斬っていった
「フッ!」
「ナイスタイミング!」
その瞬間黒澤君はその場で屈む。それとほぼ同時に天貝君が黒澤君の背中を軽やかにかけ上り、ハイオークの顔へと届くように跳躍、勢いを乗せて一閃した
ハイオークにとっては恐らく急なことであり、咄嗟の反応はどうにか目線で天貝君を捉えたかというだけに留まった。その後は顔に横線を作ることとなったが
「セイッ!」
そしてそれに続くように下で黒澤君が更にもう一度一撃を加えた。些か過剰火力に見えなくもないが、初めて見た敵に対してならばいい判断だと思う
残りハイオークは2体。その内の一体は京極君と夜菜ちゃんが相手しており、もう一体は門真君が引き受けている
「───『影縛り』!」
「『霞月』!」
夜菜ちゃんが闇魔法の『影縛り』でハイオークを縛り、京極君がまたしても何かの技を使う
京極君の小太刀が閃く。そして次の瞬間には、ハイオークの全身に無数の切り傷が生まれ、血が滲み出る
「『朧利麗』!」
そして、その無数の切り傷が、一瞬にして深い裂傷へと変化し、ハイオークの身体がズタズタに切り裂かれ、血が吹き出す
───カッコイイ、超カッコイイんだけどその技!俺も使いたい!
「『光昇斬』!」
一方で門真君は、相も変わらずカッコイイ剣を光で満たして、螺旋状に回転しながらの攻撃をハイオークにお見舞いしていた
その威力は凄まじく、下から上へと攻撃されたハイオークは、身体の前面が切り刻まれ、ほぼ原型を留めていなかった
───みんな技を持ちすぎじゃない?この国じゃ何かしら技を持つのが普通なのか!俺も欲しい!
「ふぅ……みんな大丈夫か?」
「問題ない」
「大丈夫だよ」
「こっちも問題ないよ」
「ウチも平気。魔力もまだ余裕あるし、回復もしてるから」
門真君の問いにみんな笑いながら返す。チームワークも完璧、実力も文句無し。本当に練度が高いな。拓磨達よりも凄いんじゃないか?
やはり俺が見てきた世界なんて狭いってことか。拓磨、樹、美咲なんかは高校生の中でも超がつくほどの高スペックだと思っていたんだが……後叶恵もこっちに来てからは十分高スペックだな。うん。地球の頃はあんまりだったけど
門真君は恐らく拓磨に匹敵するカリスマとポテンシャルを持ってるし、京極君も恐らく洞察力やら、密偵としての能力が高い。黒澤君は技術こそほぼ力技のみだが、それを補えるほどの戦闘能力を持っているし、天貝君はテクニカルな動きで敵を翻弄する
夜菜ちゃんもサポートが的確で、フレンドリーファイアを一切していないことからもその魔法の制御が伺える
なんというか、やはり高スペックの所には高スペックが集まりやすいという事例を見た気がするな
「よし、じゃあ進むか」
「あぁ。早く帰って洗いてぇ」
「文句言っちゃダメだよ」
門真君が前を向いて再び歩き始めると、ほかの4人も続いて歩き始める
これ、俺の存在多分忘れてるなと思いつつ、俺も思考を勇者達の行動へと戻して付いて行った
次回投稿は明日16時です。眠いんで後書きはこれだけ……




