~ 七難即滅 七福即生 ~
「だってぇ あの島国 ジパングって言われてるのよぉ~♪ 私達に ピッタリじゃない~♪ねぇ 蛭児 寄りましょうよ♪」
紅一点 弁財天が そう甘えた …
「あの島国の民達は 農耕も漁業もこなすと聴いたぞ … 蛭児 … ワシらは行かねばならぬぞ … そうであろう? ワシは 農耕 お前は漁業 ! 寄らぬ訳は何処も無い … 」
と 大黒天 は そう言った …
蛭児 は 渋々 頷くと …
「皆に 頼みがある … あの島国で 蛭児 とは決して言わないでくれ ! 恵比寿 と そう呼んでくれ … 島を出る迄 其まででいいんだ!だから … だから … 」
と 蛭児 は 俯いた …
「何も恥じる事は無かろう? 息子が立派になって戻った … 只 其だけじゃ!」
と 毘沙門天 が 言った …
「恐いのか 蛭児 ?」
と 布袋尊 が 蛭児に聞いた …
「嫌 恐いとか そうじゃなくて… ただ …」
蛭児 が 応えると …
「恐くないのなら 善かろうて ! 恵比寿で善かろうて!」
と 寿老人 は ニッコリ微笑んだ …
「おぉ ! 近づいて来たぞぉ~! 帆を張れ ~! あのっ 新調したやつね !」
大黒天の声に 高々と 上がった 赤い帆には 金糸で 寿 と 書かれていた…
「さぁ ! 皆 上陸じゃ~!!」
ワッハハ ~! アッハハ ~ !と 皆 笑い声 を高々と上げ 船を降りた …
七難即滅 ! 七福即生 ! 七福神でございま~す!!
ワッハハ ! アッハハ ! 七福神の笑い声は島国の隅々迄 拡がり 満たして行った …
蛭児 の 耳に 風の声が 聴こえた …
オ帰リ … 蛭 児 …
強クナッタネ … 優シクナッタネ …
待ッテイタヨ … 信ジテイタヨ … 蛭 児 …
蛭児 は ニッコリ 微笑み 嬉し涙を流し …
「有難う… 父上 母上 … 私を生んでくれて有難う ! ただいま 故郷 ! 故郷に 善き事が続きますように … 七難即滅 七福即生!!」
と 胸を張り そう叫んで 仲間達と一緒に 大声で笑った …