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~ 蛭児 の 旅 ~

蛭児 の 草笛の音は 潮風に乗り 程なく メーゼ の元に届いた …


メーゼ は 潮風の流れを頼りに 直ぐに 蛭児 の 元へと向かった …


メーゼ が 蛭児 の 元へ 着く迄の 間 …


エイド は 獅子の話の お礼にと 蛭児 に 南の海の話を聴かせた …


「南ノ海ニハ 海賊ッテ言ッテネ 海ヲ跨イ デ悪サヲスル 荒クレ者達ガイルンダケド … デモ … 彼等ハ 私ノヨウナ 海ノ生キ物ニハトテモ 礼儀正シクテ 優シイ … ダカラ … 人間テ言ウノハ 難シイ … ソウダ ! 蛭児ガ モシモ 海賊ニ 出会ッタナラ パーレイ!ト言ウトソノ海賊ノ頭ト 交渉ガ出来ルンダッテ 聞イタカラ 覚エテオイテ!」


と そう 蛭児に 教えた …


エイド から海賊の話を聞き終えてから 程無く メーゼ が やって来た …


蛭児 は エイド の はぐれた仲間の事を メーゼ に 話した …


「ソウ言エバ … 二日程前ニ イルカ ノ 群レガ 何カヲ探シテイタヨウダ ト 仲間ガ 話シテイタナァ … チョット 待ッテ下サイ …」


メーゼ は 空に向かい ア~ァ ア~ァアァ !と 鳴いた …


すると 直ぐ様 カモメが 二十羽程現れ 蛭児の 葦船の上で クルクルと 輪を描いた…


メーゼ と カモメ の仲間達 は 暫く話すと…


「解リマシタヨ! 此カラ 私達ガ 空ヲ飛ビ イルカ ノ 群迄 ゴ案内 致シマショウカ?」


と そう聞いた …


蛭児 は 頷き …


「善かったね エイド ! 」


と 微笑んだ …


早速 皆で イルカの群を 目指し出発した …


メーゼ と仲間達 は 空を飛び エイド は 蛭児の作った 草輪を 身体に巻きつけ 葦船を引きながら 海を進んだ …


蛭児 は 心の中で …


独りぽっちの海は …


暗くて 深くて 恐ろしいけど …


メーゼ や エイド と 一緒なら …


海 は キラキラ 輝いて 天の川みたいだ …


僕 は 独りじゃない !


と 嬉しくて そう 叫んでいた …



高波 小波 乗り越えて ~♪


僕らは 海を進むよ ~ ♪


へィオ~♪ へィ~オ~ ♪



何時しか 蛭児 は 上機嫌で 歌い出していた …


半日 程 海を進み 海がオレンジ色に染まる頃 海面を跳びはね 何かを探す イルカの群を 見つけた …


「キュェッ! キュェ~! キュッキュェ~!」


エイド は 嬉しそうに 仲間のイルカ達に向け 鳴いた …


仲間の イルカ 達 は エイドの鳴き声に 皆 振り返り エイドを 囲み 輪となって …


キュッキュェ キュッキュッキュ~♪


と 嬉しそうに クルリクルリ と 海面に跳びはねた …


「アリガトウ 蛭児! アリガトウ メーゼ !」


エイド は 蛭児 と メーゼ に お礼をすると


「コレヲ … 海デ 困ッタ事ガ 起キタナラ コレヲ 使ッテ! 必ズ 私達ノ仲間 ガ 助ケニ行クカラ!」


と 小さな貝殻を 鼻先に乗せ 蛭児 に差し出した …


「有難う エイド ! 」


と 蛭児 は エイド に お礼を言い 小さな貝殻を 受け取った …


仲間の イルカ達 は 一斉に 慌てて 岸辺に寄ると 皆で 海を漕ぎ進むに 丁度良い 平たい木と 木の枝を数本 蛭児に 贈った …


「有難う イルカ達 !」


と 蛭児 は ニコリと笑った …


エイド は 何度も振り返り 仲間達 と帰って行った …


メーゼ は 葦船に羽を降ろすと …


「蛭児 様 此カラ ドウシマス? 元ノ海へ戻リマスカ? ソレトモ … 」


蛭児 は 心配そうに聞く メーゼ に …


「うん! 僕は海を進むよ メーゼ … 僕は…良くあらずの子だけど … 海にいると 沢山 有難う と 言えるよ ! 母上 や 父上 の元では 言えなかった 感謝の言葉を … だから 僕は 海を行くよ!」


メーゼ は ニッコリ と 微笑み …


「流石デス 蛭児 様 !貴方様ハ 強ク優シイ獅子ノ子デス ! 」


と 嬉し涙を浮かべた …


其から 蛭児 は 大海原へと 旅に出た …


旅先で 知り合う者達を 勇気づけたり 得意になった 魚釣りで 釣れた魚を贈ったり …


時には 「パーレイ!」と 人間の海賊達と交渉をして 港の人々を助けたり…


そうして 世界中の海を 旅した …


それから 何年もの月日が流れ…


蛭児 の船は 葦船から木の船となり 自分に似た 境遇を持った 気の合う六人の仲間達 と共に 旅をしていた …


海で 蛭児 に 出会った者や 話しをした者達は 何らかの幸福を授かると 海賊達から 口々に 噂が拡がって行った …


「なぁ 蛭児 … どうして あの島国の 海へは行かぬのじゃ?」


と 頭の長い福禄寿が聞いた …


「別に 深い意味等ないさ … 只 あの島国の周りは 何処もかしこも 波がキツくてね …」


と 蛭児 は 遠くに うっすらと見える 島国を目を細めて 哀しそうに 見つめた …

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