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アニー  作者: 玲於奈
3/5

兄貴

なし

嵐が去って

店の外に出て

掃除するふりをして

朝日を眺める


それが戦い後の

俺の流儀


朝日がまぶしい




どうしてこの人は

こんなに心配性なのか


時間に正確に

兄貴は現れる


黒いコートを着て

電信柱にもたれかかって

たばこを吸う


いまじゃ路上で

たばこもすえないとこも

あるのに


この人はおかまいなし


まあ、めっぽう

かたぎには見えないから


しょっぴく

警官もわかってるんだろうけどね


わかっちゃいるけど、

兄貴は、そんなちんけなことでは

つかまらない


あくびをしている

俺とすれ違いに

コンビニ入口から


声もかけずに

向かうのは

芸能雑誌コーナー。


おじきに頼まれて

週刊誌のパシリ。


兄貴クラスになれば

そんなことする舎弟もたくさんいるのに


律儀に

このルーティンをする


「今どきのやくざは

 きった、はった

 だけではだめなんだ。」


「あたまつかーないと」


おじきが

兄貴に言うらしい。


そして、そのおじきは新しい事業に

次々に手をだして


兄貴がそれを整理する


整理するくらいだから

まあ、もうからない


気まぐれでとにかく

やってみないと気がすまないおじき


毎回、失敗して言うことも同じ


「いいじゃないの。

 大失敗。

 エジソンだって99パーセント。

 失敗してんだよ。」


「俺なんかあ、まだまだだよ」


と言っては

またもや

肝臓に効くキノコだと

手を出し。


予想通りだまされ。



携帯の電波シールドっちゃあ

だまされ。


ほんとに次から次へと

よくまあ

やくざをだます輩がいるもんだと

つくづく感心する


事務所になにかマーキングでも

されてるんじゃないかとすら

最近思う。


しかし

兄貴はまったく

意に介さず

あやしい雑誌を

買い占めていく


さすが兄貴。


こんな時でも

うちの売り上げを考えてくれる。



そんな兄貴を俺は

敬意をもって

「アニー」と呼ぶ



なし

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