夜の我楽多屋2
203号室の人外さんの
17・メリーコールで女子トーク
を読まないと分からないお話かもです
夜の9時を少し回った頃、我楽多屋にとある妖怪が来店してきました。
「いらっしゃい」
「こんばんはー!」
来店してきたのは、小豆を持った、小豆洗い。
「あの、ここは相談にも乗ってくれると、同僚から聞きてやってきました」
「相談ですか?良いですよ」
「ククリも聞くよ」
我楽多屋の店主、蓮は小豆洗いを近くのテーブルに座らせて、自分も小豆洗いの目の前のイスに座った。
「それで、相談したいことはなんでしょうか?」
「実は」
小豆洗いが言うには、同じ職場で働いている、メリーさんが好きらしい。でも、彼女と話すとどうしても直ぐに小豆を投げつけてしまう。それを治したいから、こうして我楽多屋に訪れたと話した。
「メリーさんのこと好きなんだ!」
「だって、健気に働く姿とか、幼さを残した顔で笑われたら、惹かれるだろ」
恥ずかしいのか、小豆洗いは手持ちの小豆をククリに投げつけたが、ククリはその小豆を妖力ではね返し、結果的に小豆洗いの顔面に小豆が直撃する羽目になった。
「いててて」
「うーん、そうですね。とりあえず、まずは、照れ隠しとして小豆を投げるつける事を止めましょうか。ククリ、小豆洗いから小豆を没収してくれるかな?」
「了解!」
小豆を没収された小豆洗いは小豆が無いと落ち着かないのか、そわそわしている。
「あとは、相手の話をちゃんと聞くこと」
「聞かないとダメだよ?」
「うぅ、分かりました」
「それと、この小豆は君がちゃんとメリーさんと目を見て会話できたら返すからね」
「えっ、まさかオレの事を監視するのか⁉︎」
「いえ、ちょっとした知り合いに頼んで、君がちゃんと出来たかどうかを教えてもらうだけです」
知り合いという単語に小豆洗いは、小さな脳みそをフル活用して考えたが、おもい当たる者はいなかった。
「知り合いって飛頭蛮だよね」
ククリがボソッと言ったがどうやら小豆洗いの耳には聞こえていなかったようだ。