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飛頭蛮、口説かれる②

最近、メリー先輩は小豆洗い先輩と一緒にお昼ご飯を食べている模様です。

そして、メリー先輩は音楽活動もしているらしい。この前、偶然、音楽番組を見ていたら、なんとメリー先輩がギターを弾きながら歌っていたではありませんか⁉︎


驚きのあまり、キムチを床に落としてしまいました。で、翌日、社内ではメリー先輩の話で持ちきりになり、私も自分のことのように嬉しく思いました。


私の希望としては、メリー先輩のクリアボイスでアニメのOPを歌って欲しいかも。


「また、小豆洗いにお昼、誘われちゃって」

「いいですよー。いいですよー。」

「なんで、最近は私も食べるのかな?」

「まぁ、まぁ。ほら、向こうで小豆洗い先輩が待っていますよ。早く行ってあげて下さいな」


メリー先輩を送り出しあとは、私もお昼ご飯タイムです。現在、私が所属する28部署の部屋には、私しかいません。つまりボッチ。ですが友達は他の部署にちゃんといますよ。でも彼女達は、私が所属する28部署の岸涯小僧(がんきごぞう)先輩の元に行っていることでしょう。


いくら、友達とはいえ嫌いな先輩のところに行かれては、私は動けません。


あの先輩を見ると大抵は女の妖怪を連れていて、毎日ハーレム状態ですよ。あぁ、今日のお昼もたくさんの女妖怪に囲まれてお昼を食べているんだろうな。


私にはあの先輩の良さがこれっぽっちも分かりません。むしろ、分かりたくない。だって、私の頭で遊ぶ先輩なんですよ!それに、この前だって、いきなり私の体から頭を取ったかと思うと。


「何するんですか!」

「サッカーボールにはちょうど良いかな」

「はぁ?」

「ククッ。冗談だ、本気にしたのか?バカじゃねぇの」


カッチーン

こんな感じだったかな。思い出しただけでも腹が立ってくる。そうだ、ちょうどお昼ご飯も食べ終えたし、音ゲーでもするか


「今日こそ、フルコンボ目指すぞ!」


私はデスクの引き出しから3DSを取り出して、太鼓の○人のカセットを入れました。そして、選択する曲はGUMIが歌う天○弱。さーて、気合い入れますか。


ドンドンカッ、ドドトドドンッ、ドンッカッドンッカッ、連打ー。連打ー。ドドンカッ、カッ、カッカッカッ、連打ー。


あと少し、あと少しでフルコンボになった時、私はゲームに集中して気づきませんでした。部屋に何者かが入って来たことに!


カッカッカッドンッカッドンッドンッドドンカッ、連打ー。連打ー。連打ー。ドドドドドンッ


「ふっ」

「ひゃぁ!」


突然、耳に息をかけられて変な声が出てしまいました。それに、驚いて椅子から落ちてしまい、腰が上がりません。


「いたたた」

「驚き過ぎだろ」

「岸涯小僧先輩ですか⁉︎」


なんと、私のフルコンボを邪魔したのは憎き岸涯小僧先輩でした。


「フルコンボがぁ」

「太鼓の○人か。うわ、良の数多いな」

「先輩のせいで、フルコンボが達成出来なくなってしまったではありませんか!」

「オレのせいだと?」


何言ってるんだコイツという目で私を見下ろしてきますが、私も負けじと睨み返します。


「はぁ、もういいです」


岸涯小僧先輩と話すと良いことなんて1つもないから、ここはさっさと退散しましょう。私は手早く3DSをデスクの中に片付けて、部屋から出て行こうとしましたが、その前に岸涯小僧先輩の右手で頭を鷲掴みにされてしまい、頭と胴体が離れ、簡単に部屋から出ることは出来ませんでした。


「飛頭蛮、逃げるな」

「いいえ、ここは逃げます」


私は離れた体を呼び戻すついでに、岸涯小僧先輩の手にある私の頭を取り返そうと手を伸ばしましたが、その手を空いている左手で引かれ、なぜか私は岸涯小僧先輩の胸の中にすっぽりと収まってしまいました。


「捕まえた」

「なっ」


頭だけでも岸涯小僧先輩から離れることが出来ないかと思って、動かしてみたけど、うんともすんとも言いません。ちなみに体の方も岸涯小僧先輩から逃れようと力いっぱい抵抗していますが、動かない。


「離して下さい!このっ、変態イケメン!」

「おっ、イケメンなのは認めてくれてるんだ」


にやりと、意地悪そうな笑みで見下ろされました。この近距離で身長差、本命の沖田様に見下ろされるなら本望だけど、よりにもよって岸涯小僧先輩だと。


これが、リアルか。と思いながら、私はまだ、岸涯小僧先輩の身体を突っぱねて抵抗しています。離れろー、離れろー。


「きゃっ」


抵抗していましたが、岸涯小僧先輩がさらに力を込めたようで、さっきよりも一層に、くっ付いてしまいました。体がね。頭は岸涯小僧先輩の右手の中に収まったまま。


「オレに抵抗することは好きの裏返しかな?」

「は?先輩の頭はお花畑か」


黒い笑みで、今までに出したことの無い地を這うような声で言ってしまいました。


「自惚れするのも良い加減にしろっ!」


ガンッ!


「痛っ」


私は、渾身の一撃つまり、頭突きを岸涯小僧先輩にヒットしました。どうやら、私の頭は石頭のようで、岸涯小僧先輩に大ダメージを与えましたね。


大ダメージを与えたことによって、私の体と頭は自由になり、素早く頭と体をくっ付け、私は急いで他の部署にいる友達の元へと行きました。


「岸涯小僧先輩はいつものハーレムにいた方がお似合いですよーだっ!」


腹の虫が収まらなかったので捨てゼリフに、言ってやりました。もう、先輩後輩の上下関係はどこへやら。

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